OpenAI初のデバイスは”動く”AIスマートスピーカーか。宅内で持ち運べる相棒に
Yusuke Sakakura
Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

OpenAIは、ChatGPTに続く新たな柱として、一般消費者向けのAIデバイスを開発しています。
昨年5月には、元Appleのデザイン責任者として知られるJony Ive氏が関わる「io Products」の買収を発表。同年7月にチームの統合を完了して以降、OpenAIのCEOを務めるSam Altman氏は、AIデバイスの構想をたびたび示唆してきました。
今年1月には、OpenAIの最高グローバル渉外責任者を務めるChris Lehane氏が、初のデバイスを2026年後半に公開する予定だと説明。開発の進捗次第としながらも、年内のかなり遅い時期に詳細を明らかにする考えを示しています。
これまで形状や用途はほとんど明らかにされていませんでしたが、Bloombergによると、OpenAIが最初に投入する製品は、画面を持たず、家の中を持ち運べるスマートスピーカーになるようです。
OpenAI初のデバイスは画面なしのAIスピーカーか
Altman氏は昨年11月、開発中のAIデバイスについて、iPhoneよりも「落ち着いたもの」になると説明していました。
さらに、初めて見たときに「それだけ?」と思うほど、シンプルな製品になるとも語っています。
Bloombergによると、その正体は持ち運び可能で、画面を搭載しないスマートスピーカーになるとのこと。
スマートホーム機器の操作、音楽などのメディア再生、質問への回答、メッセージへの返信に対応するほか、ChatGPTが持つ幅広い機能を利用できると報じられています。
見た目や基本的な用途だけを考えると、Geminiを搭載するGoogle Homeや、Alexaを搭載するAmazon Echoなどと競合する製品です。
ただし、OpenAIが目指しているのは、既存のスマートスピーカーにChatGPTを載せただけの製品ではないようです。
生産性を高めるAI向けコンピューターに
OpenAIは、このデバイスを忙しい人の生産性を高めるための「AI向けコンピューター」と位置付けているとされています。
具体的な対応機能は明らかになっていませんが、ChatGPTの機能を広く利用できるのであれば、単に質問に答えるだけではなく、複数の作業を音声で依頼する使い方も考えられます。
例えば、Codexにコーディングを指示し、作業が完了したときや承認が必要になったときに、スピーカーから音声で知らせてもらう。メールや予定を確認し、返信が必要なものだけを読み上げてもらう。料理中にレシピを案内してもらいながら、別の調査を裏で進めてもらうといった使い方が考えられます。
独自性は「人格」と動き
スマートスピーカーは、すでに多くの企業が参入している市場です。一方で、生成AIを本格的に組み込んだ製品は、まだそれほど多くありません。
直接の競合となるのは、Gemini for Homeを搭載するGoogle Home スピーカーと、生成AIを活用したAlexa+に対応するAmazon Echoシリーズでしょう。

AIチャットの分野を先行して開拓してきたOpenAIですが、ハードウェアではGoogleとAmazonに一日の長があります。
利用者への理解を深め、必要な情報を先回りして提示するだけでは、両社の製品と大きな違いを出すのは難しいかもしれません。
そこでOpenAIが重視しているのが、製品の「人格」と、人間のようなレベルで利用者とつながる能力です。
報道によると、スピーカーには自動で動く機構が組み込まれ、指示に反応するだけの機械ではなく、まるで生きているような存在感を演出するとのこと。
どの部分が動くのかは明らかになっていませんが、利用者の方を向いたり、会話に合わせて本体が反応したりするのであれば、従来のスマートスピーカーとは印象が大きく変わります。
画面の代わりに、動きで状態や感情を表現する製品になるのかもしれません。
メールなどの個人情報も活用
OpenAIは、利用者への理解を時間とともに深め、より高度にパーソナライズされたAIを目指しているようです。
そのために、メールなどの個人情報も活用する予定です。予定や過去の会話、関心のある話題を理解していれば、聞かれたことに答えるだけでなく、必要な情報を先回りして伝えることも可能になります。
メールを含む個人情報まで扱うとなれば、プライバシーは避けて通れない課題です。一方で、ChatGPTではすでにメールなどの外部サービスと連携する仕組みが提供されています。
スピーカーとの会話を支える「GPT-Live」
コミュニケーション機能には、OpenAIが今月提供を開始した高度な音声モード「GPT-Live」が使われると報じられています。
GPT-Liveは、人が話し終えるのを待ってから応答する従来型の音声アシスタントとは異なり、会話の途中で相づちを打ったり、割り込みに対応したりできる音声AIです。
聞くことと話すことを同時に行えるため、やり取りが一問一答になりにくく、より人間同士に近いテンポで会話を続けられます。また、複雑な調査や処理が必要な場合でも、会話を完全に止めるのではなく、進捗を伝えながら別の処理を進められる点も特徴です。
画面を持たない製品では、音声だけでどこまで自然に操作できるかが重要になります。GPT-Liveは、OpenAIのAIスピーカーを従来のスマートスピーカーと差別化する中核技術になりそうです。
カメラとセンサーで周囲を理解
デバイスには、カメラやその他のセンサーも搭載されると報じられています。利用者の周囲や置かれている場所を把握し、状況に合わせて応答する仕組みになるようです。
また、スピーカーは充電式バッテリーを搭載することで、部屋から部屋へ簡単に持ち運べるため、キッチンでは、食材をカメラで確認しながら調理をサポートしてもらうといった使い方が考えられます。屋外にも持ち出せる設計であれば、パンクした自転車を見せながら、修理方法を教えてもらうこともできるかもしれません。
画面はなくても、カメラとセンサーによって周囲を理解できれば、音声だけのスマートスピーカーよりも幅広い役割を担えます。
Jony Iveが関わるデザインにも注目
OpenAIは昨年、Jony Ive氏が関わるio Productsを65億ドルで買収しました。
Ive氏のデザインスタジオLoveFromも、新しい製品群の開発に関わっています。
さらに、OpenAIのハードウェア部門には、iPhoneやMacなどの開発に携わった元Appleのデザイナーやエンジニアが多数参加しているとされています。

OpenAI初のデバイスがスピーカーになるのであれば、比較されるのはAppleのHomePodです。
AIの性能だけでなく、本体の形状や素材、音質、動きまで含めて、Jony Ive氏がどのような答えを出すのかは大きな見どころになります。
製品そのものよりも、HomePodとどのようにデザインが比較されるのかを楽しみにしている人もいるかもしれません。
Appleとの訴訟が発売に影響する可能性も
一方で、OpenAIのハードウェア開発をめぐっては、Appleとの訴訟も進んでいます。
Appleは、OpenAIが同社から400人以上の人材を採用し、デバイス開発に企業秘密を利用したと主張しています。
これに対してOpenAIは、他社の企業秘密には一切関心がないと否定。訴えに根拠があることを示す証拠は把握していないとしています。
報道では、OpenAIが開発するスピーカーのオーディオシステムなどはAppleの設計と大きく異なり、同社は企業秘密を侵害する可能性は低いと考えているようです。
ただし、AppleはOpenAIのハードウェア事業に対する差し止めも求めているとされ、法的手続きの進展によっては発表や発売が遅れる可能性があります。
こうしたAppleとの関係を考えると、Apple Musicとの連携がどうなるのかも少し気になるところです。OpenAIのスピーカーからApple Musicの楽曲が流れることはあるのでしょうか。
2026年発表、2027年発売を目指す
OpenAIのハードウェア部門は、およそ5種類の製品に取り組んでおり、最初に投入するのが今回のスマートスピーカーになるようです。
最新の報道では、2026年内に発表し、2027年の発売を目指しているとのこと。
OpenAIはさらに、スマートフォンを置き換えるモバイルAIデバイスの開発も検討しているようです。ほかにも、ペンダント型のウェアラブル製品や家庭用ロボットに関心を示していると報じられています。
まずは家庭内で使う画面のないAIスピーカーから始め、音声や動きだけでAIと接する体験を定着させる。そこからウェアラブルやモバイルデバイスへ広げていくのが、OpenAIの長期的な構想なのかもしれません。










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