楽天モバイル、通信品質向上に2000億円強の設備投資。ローミング協定の行方と自社網強化の正念場
Yusuke Sakakura
Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

楽天が決算説明会を開催し、モバイル事業が通期黒字化を達成したことを明かしました。
黒字化を支えた最大の要因は昨年末に1000万回線を突破するなど、契約数の増加です。2025年第4四半期には、なんと59万回の純増を記録。三木谷社長は、大口の法人契約が寄与したと説明していました。
さらに、端末ラインアップの拡充や動画見放題・ギガ無制限を組み合わせた新プラン「Rakuten最強U-NEXT」によって、若年層を中心にデータ利用量の多い収益性の高いユーザーの獲得が好調だとしています。
一方、ユーザー数の増加に伴って通信品質の低下が指摘されており、解約率も上昇傾向にあります。こうした状況を踏まえ、三木谷氏は「安定かつ高品質なネットワークの提供は必要不可欠」と強調。2026年度は2,000億円強の設備投資を計画していることも明かしました。楽天モバイルが2,000億円規模の設備投資を行うのは2022年度以来となります。
トラフィックの増加で、設備投資を再加速
楽天モバイルでは、特に都市部を中心に契約者数が急速に拡大しているといいます。通信品質に不満の声も確認されるなか、増加したトラフィックを自社ネットワークで捌き切るため、都市部を中心に設備を増強し、通信品質の底上げを進める方針です。
現在、楽天モバイルのエリアは、自社回線に加えて、KDDIのローミングによる「パートナー回線」で構成されています。ところが先日の決算説明会でKDDIの松田社長は、楽天モバイルの通信障害時に「かなりトラフィックが来ていた」ことを明かし、重複エリアについてはKDDI側から停波すると説明しました。
トラフィックが増えるなか、実質的にバックアップとしても機能していたパートナー回線が縮小するのであれば、自社回線の強化は避けて通れず、設備投資の再加速には、こうした事情も含まれているのかもしれません。
KDDIとのローミング協定は9月までで、その後の契約については両社が交渉中としています。エリアと通信品質の先行きに不安が残るなか、楽天モバイルは2026年度に2,000億円強の設備投資を計画していることを明かしました。
この日公開された設備投資額の推移を見ると、全国カバレッジ構築フェーズとする2022年度までは1,600億円以上、最大2,930億円を投じていました。一方、ローミング協定が見直された2023年度以降は投資額が大きく縮小し、直近では数百億円規模にまで抑えています。

2023年に発表された新しいローミング協定は、従来は対象外だった都市部の一部繁華街を追加しつつ、地下鉄・地下街・トンネル・屋内施設など、つながりにくい場所や郊外では引き続きローミングを提供するというものです。
楽天モバイルは当時、「ローミングを活用することにより、財務負担を限定する」と説明していましたが、言い換えれば、採算の取りにくいエリアはローミングで補いながら、自社回線の整備を先送りにしてきたわけです。
昨年、建設費や人件費が高騰するなか、他社が値上げに踏み切る動きも出る一方で、三木谷氏は「値上げしない」と宣言しました。これに対し、かねて値上げの必要性を訴えてきたソフトバンクの宮川氏は「ローミング頼みの現状はフェアではない」「単なるビジネスとして割り切っているのであれば残念」と、たびたび苦言を呈しています。
他社からすれば、電波の割り当てを4社で分け、それぞれが設備投資を積み重ねて国内のネットワークを強靭化することが4社いることの意味にも関わらず、それができないのであれば、割り当てられた電波、今後割り当てられる電波をこちらに回してくれというのが本音なのかもしれません。
ローミング縮小を自社回線で埋め切れるか
KDDIはローミング協定について、楽天モバイルが立ち上げ初期に自社網だけではカバーしきれないエリアを補完する形で始まり、今後は段階的に縮小していくことを想定していると説明しています。
ローミングが縮小すれば、これまで補完されてきたエリアでは体感品質に影響が出る可能性があります。その一方で楽天モバイルは、自社回線の整備を加速することで品質の底上げを目指す構えです。ローミングの縮小と設備投資の再加速が交差するなか、通信品質の行方が気になります。





















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