ソフトバンクの宮川社長は8日に開催された決算説明会の質疑応答で楽天モバイルがプラチナバンドを獲得した件について「(3MHzの)帯域は狭いが、持っているのと持っていないのでは似て非なるもの。これは僕が経験してきた」「3MHzあれば相当エリアカバーできる」と評価しました。
プラチナバンド計画には「さみしい計画」
楽天モバイルが獲得した電波をキャッチしやすいプラチナバンドの価値自体は誰もが認めるところですが、帯域幅が狭いことから収容できる人数が限定されるなどの指摘がされています。
狭帯域である3MHzのプラチナバンド獲得を評価した宮川氏も「ユーザーが1000万(現在は500万突破)を超えてくるようになると帯域が足りなくなる」とし、さらにトラフィック対応に使用する周波数1.7GHz帯と700MHz帯の隙間を埋めるにはチューニングに相当ノウハウが要求されると指摘。
ソフトバンク自身の経験としてプラチナバンドの900MHzが欲しい欲しいと大騒ぎして、3年間はがむしゃらに工事して投資額は2兆円になったが、それでもまだ繋がらないソフトバンクと言われ続け、細かなチューニング作業を10年かけてようやくそこそこのインフラになったと膨大な時間がかかったと振り返ります。
楽天モバイルのプラチナバンド計画については「さみしい計画」「せっかくいただいた周波数なのでもっと活用してほしい」、楽天がやり切られるとしながらも「10年間で1万局、500億円の投資はさすがにできると思いません」とコメント。
これまで楽天モバイルは自社の基地局/回線に加えて、ローミング費用を支払ってKDDIから回線を借りることで、エリアを拡大してサービスを展開してきました。今後、プラチナバンドを普及させていけば、KDDIとのローミングも問題の赤字も縮小することができます。
計画上は2026年3月に楽天モバイルのプラチナバンドがスタートする予定ですが、KDDIのローミング提供期間は2026年9月に設定されており、宮川氏は「半年しかない」とプラチナバンドが十分に普及するまでの期間が足りないことを指摘。
ローミングが切られても十分な体制を作られると思うとしながらも「ソフトバンクが役に立てるならちょっといろんな意味で議論をしてみたい」「バックホールをお貸しするとか、そういうことについても協力してもいいと思っている」と発言しました。
つまり、楽天モバイルがプラチナバンドの普及を頑張ったものの十分ではない状態でKDDIとのローミング提供期間が終了(期間延長は両社協議の上決定と公表されている)した場合でも、楽天モバイルはソフトバンクと協力することでエリアを縮小することなくサービスを継続したり、プラチナバンドが普及するまでの時間を稼ぐことができるかもしれません。
協力の形がどうなるかはわかりませんが、ソフトバンクが楽天モバイルから対価を得られるのは間違いなく、楽天モバイルにとって協力できる相手が増えることは良いことです。
9日には楽天モバイルが決算説明会を行うことから、ソフトバンクの計画に対する苦言や協力示唆についてどのようにコメントするのか楽しみです。
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