SpaceXが10月8日、米国の大手携帯通信事業者になるための新たな計画を発表しました。
現在、SpaceXは衛星とスマートフォンを直接接続する「Starlink Mobile」を提供していますが、新たに地上の携帯電話ネットワークも展開し、T-Mobile、AT&T、Verizonと直接競争する方針です。
そのために取得するのが、建物の中にも電波が届きやすい「プラチナバンド」の800MHz帯の周波数利用ライセンス。さらに、現行世代の100倍以上の通信帯域幅を提供する次世代衛星15,000基の配備についても、米連邦通信委員会(FCC)から承認を受けたとしています。
これまで携帯電話の圏外を衛星で補完してきたStarlink Mobileが、既存の携帯キャリアと本格的に競争することになります。
プラチナバンド取得へ。T-Mobileが手放した800MHz帯
SpaceXが取得するのは、米投資会社Grain Managementが保有する全米規模の800MHz帯の周波数利用ライセンスです。
もともとはT-Mobileが2020年のSprint買収で取得したものですが、主力の5Gネットワークには活用せず、今年8月にGrain Managementへ売却。代わりに現金29億ドルと、自社の5Gネットワークで活用する600MHz帯の周波数利用ライセンスを受け取りました。
Grain Managementは取得からわずか2カ月でSpaceXへの売却を決定。T-Mobileが手放した周波数が、将来の競争相手に渡ることになります。
SpaceXは昨年9月にも、EchoStarから2GHz帯などの周波数利用ライセンスを約170億ドルで買収する契約を締結しています。
この2GHz帯は衛星とスマートフォンの直接通信に利用するもので、次世代衛星による大容量通信を担います。
今回の800MHz帯は、建物の中など電波が届きにくい場所をカバーするためのもの。SpaceXによると、既存のスマートフォンの大半がこの周波数帯に対応しており、衛星と地上のネットワークを組み合わせることで、屋内から屋外、携帯電話の圏外エリアまでカバーすることを目指します。
なお、今回の売買契約は締結されていますが、取引完了には米連邦通信委員会(FCC)の承認などが必要です。
次世代Starlink衛星15,000基を承認。通信帯域幅は100倍以上
もうひとつの大きな動きが、次世代衛星「V2 Starlink Mobile」の配備計画です。
SpaceXは、世界規模で2GHz帯を利用するスマートフォンとの直接通信に最適化された次世代衛星15,000基について、FCCから配備の承認を受けたと発表しました。

同社によると、次世代衛星は現行世代と比べて100倍以上の通信帯域幅を提供する計画です。
衛星とスマートフォンの直接通信は、地上の基地局がない場所でも通信できるのが強みですが、一度に送受信できるデータ量には制約があります。
次世代衛星では通信帯域幅を大幅に拡大し、より多くのユーザーが同時に通信できるようになるほか、地上のネットワークにつながらない場所でも動画などを利用しやすくなることが期待されます。
パートナーから競争相手へ
これまでStarlink Mobileは、T-Mobileなどの携帯通信事業者と提携し、地上の基地局がカバーできないエリアを衛星で補完するパートナー的な存在でした。
今後は自社で確保する周波数を使って地上のネットワークも展開し、T-Mobile、AT&T、Verizonと直接競争することになります。
ただし、周波数を取得すれば、すぐに携帯キャリアとしてサービスを提供できるわけではありません。
地上の基地局や通信設備の整備も必要になりますが、SpaceXはネットワークをどのように展開するのか、既存の設備を活用するのかといった詳細を明らかにしていません。
全国規模で既存の大手キャリアと競争できるネットワークを構築するには、相応の時間がかかると考えられます。
その間に、既存キャリアが衛星通信サービスをどう扱うのか、SpaceXを率いるイーロン・マスク氏が所有するXとの連携も気になります。






















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