ドコモ、住信SBIネット銀行を買収。「ドコモ銀行」構想が現実に
Yusuke Sakakura

Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

NTTとSBIホールディングスは5月29日、資本業務提携契約の締結と、NTTドコモによる住信SBIネット銀行の公開買付け(TOB)を実施すると正式に発表しました。
これにより、住信SBIネット銀行はNTTドコモの連結子会社となる予定です。
これまでにドコモは、決済、投資、保険などの金融事業を展開していますが、携帯大手4社の中で唯一、銀行業を展開していませんでした。今回の買収によって銀行業にも本格的に参入することになります。
ついに銀行業に参入、ドコモ経済圏が完成へ
ドコモは銀行業に参入するにあたって自社設立も検討したとのこと。
その中で経営基盤の安定性や収益性に加え、高度なAI、デジタル技術などの先進性を備えた銀行として住信SBIネット銀行が最良のパートナーと説明しています。
ドコモが銀行に本格参入することで、金融サービスがフルラインナップになります。
- 銀行口座:ドコモ銀行?
- カード決済:dカード
- 保険:AIほけん、ドコモスマート保険ナビ
- 融資:dスマホローン
- ポイントサービス:dポイント
これにより、銀行口座と決済、証券などの金融サービスを一体的に提供することが可能になり、ドコモユーザーはスマホ1つで貯金・決済・投資・保険・融資・ポイントに至るまでまとめて利用できます。
また、複数サービスを組み合わせて利用することで、dポイントが付与されるなど、還元施策がさらに拡充される見込みです。
- より便利でお得な金融サービスの提供
- 銀行口座とドコモの金融サービスを一体的に提供することによって、スマホ1つでまとめて便利に使える。複数サービスのご利用でお得な特典を提供
- データ活用によるお客さま理解を通じた、最適なサービス提案
- 銀行サービスを通じて得られたデータや他の金融サービスのデータを組み合わせて、ユーザー理解を深めてニーズに応じた最適なサービスを最適なタイミングで届ける
- 顧客基盤の強化
- 誰もが利用する金融サービスの銀行口座を提供し、既存のドコモサービスと組み合わせることで、顧客基盤の強化を目指す
- 金融事業の成長加速
- ドコモの販売チャネルを通じて、銀行口座や預金獲得を積極的に行い、銀行業における収益拡大を強力に推し進め、金融事業の成長に繋げる
利便性に不安の声も
一方で、ドコモが住信SBIネット銀行を買収することについて「UI/UXが使いにくい」「dアカウントはログインしにくい」といったユーザーの不満が挙がりました。
これに対して、NTTドコモの前田社長は「かなり多くの指摘をいただいている」と認め、「SBIのUI/UXを取り入れて、dアカウントの使い勝手改善に取り組む」と明言。連携時の“ボトルネック”にならないよう、改善を急ぐ姿勢を示しました。
NTTとSBIホールディングスの資本業務提携も
ドコモによる住信SBIネット銀行のTOBの詳細は以下のとおりです。
- 買付価格:1株あたり4,900円
- 買付期間:2025年5月30日〜7月10日
- 買付予定株数:47,674,496株(上限・下限の設定なし)
- 買付総額:約2,336億円
- 買付後の持株比率:NTTドコモが65.81%、三井住友信託銀行が34.19%
- 議決権比率:NTTドコモと三井住友信託銀行が50%ずつ
これにより、親会社のSBIホールディングスが保有する住信SBIネット銀行の全株式を売却し、資本関係を解消します。一方、NTTはSBIHDが実施する第三者割当増資を引き受け、普通株式2,700万株(約8.18%)を約1,108億円で取得。両社は金融領域をはじめとする幅広い分野での連携を進めるとしています。
この第三者割当増資によってSBIHDが得た資金は、SBIグループが保有するSBI新生銀行(旧新生銀行)に対する公的資金返済にも充てられるものと見られています。
- 「ドコモ銀行」誕生か。ドコモが住信SBIネット銀行を買収報道
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