「Pixel 9 Pro Fold」は“電話ファースト”で開発された折りたたみスマホ。Google開発秘話明かす
折りたたみスマートフォンの「Google Pixel 9 Pro Fold」発売に伴い、Googleが開発秘話を公開しました。
筆者も発売日の午前中に入手してから使用していますが、Pixel Foldからの激手な進化を実感しています。まるでプロトタイプのように感じていたPixel Foldが、わずか1年でここまでの進化を遂げたことに素直に驚いています。
今回、公開された開発秘話では、Googleが何をどのように変更して、わずか1年でここまでの進化を実現したのかが明かされています。
単なるアップデートではない、完全な再設計
Googleが語るPixel 9 Pro Foldの最大の改善点のひとつは“薄型化”です。
閉じた状態で1.5mmも薄くなり、Pixel 9シリーズと比べてもわずか2mm厚いサイズに納めることに成功。開いた状態でも0.7mmの薄型化を実現し、Googleは多くのタブレットとよりも薄いと説明しています。
薄型化により、Pixel 9 Pro Foldは米国で販売されている折りたたみスマートフォンのなかで最薄(カメラの出っ張りは除く)ながら、最大の8インチディスプレイも搭載しています。
Pixelのプロダクトマネージャーは、2台目の折りたたみスマホを開発するにあたり、薄型化が必要なことは理解していたものの、どれぐらい薄型化できるのか、実現するために何をすれば良いのかもわからないところから開発はスタートしたそうです。
合言葉は“電話ファースト”
Pixel 9 Pro Foldの開発にあたって、GoogleはPixel Foldがどのように使用されているのかに注目します。
多くの人が新しいフォームファクター(端末の形状や構造)に興味があり、タブレットのような体験という折りたたみスマホならではの追加特典を望むと同時に、閉じた状態での使用、つまり通常のスマートフォンと使用することが多いとわかったとのこと。
そこで、折りたたみスマートフォンを開発する際には、まずはスマートフォンとして開発しなければいけないと考え、チームの合言葉は“電話ファースト”になったそうです。
電話ファーストとは、見た目も使い心地も動作も、まずはスマートフォンとして感じられる折りたたみデバイスを作り、その上で折りたたみの機能性を追加するアプローチのようで、Pixelのプロダクトマネージャーは「素晴らしいスマホを作れば、素晴らしい折りたたみスマホが作れる」と語っています。
具体的には、Pixel 9 Proと同じ20:9の縦横比のアウターディスプレイ、プレミアムな仕上げ、狭いベゼルなどを電話ファーストに必要な要素に挙げています。
これらの要素を組み合わせることで、閉じた状態でのウェブブラウジングやメッセージの送受信といったスマホの日常的な行動において、Pixel FoldよりもPixel 9シリーズに近い体験を得られるとしています。
音にもこだわった新しいヒンジ
薄型化のためにはヒンジの改良が必要だったと語ります。
Pixel 9 Pro Foldには、マルチアロイ鋼と高強度アルミニウム合金で覆われた新しいヒンジが搭載されており、8インチの大画面をフルフラットで開くことができ、耐久性も向上したとのこと。
ヒンジが刷新されると、開閉の感触が変わることもありますが、Pixel Foldで好評だったことから、ヒンジのトルクを模倣し、感触を大きく変えないように開発したことを明かしています。
さらに、閉じた時の音にもこだわり、磁石を最適化してちょうど良い感触も実現しています。
shhh close ur eyes and imagine the sound 🔊 pic.twitter.com/4rcD7GUOYu
— Made by Google (@madebygoogle) August 29, 2024
折りたたみスマホ最薄ながら最高レベルのカメラ
本体の薄型化は多くの搭載スペースを必要とするカメラに影響を与えます。
そこでGoogleはカメラバーも完全に再設計し、カスタマイズされた光学モジュールを採用。最終的には、より新しく、より高性能な光学モジュールが収まるように、超広角カメラと2つのセルフィカメラをアップグレードに成功。期待されるGoogle Pixelのカメラ品質の高い基準を満たすことを目標にし、それも達成できたそうです。
こういったハードウェアアップグレードによって、Proシリーズだけで利用できる「動画ブースト」や「プロ設定」といったプロ向けのカメラツールが搭載され、折りたたみスマホのなかで最高レベルのカメラが実現されています。
また、レンズが縦に並ぶ2ラインの新しいカメラバーによって、開いた状態で机に置きながら操作してもガタ付きが抑えられています。
薄型化はカメラだけでなくバッテリーの容量にも影響を与えます。
実際にPixel Foldの4,821mAhから4,650mAhまで減少していますが、Googleは薄型化しつつも大容量のバッテリーを搭載することができたと説明しています。
冷却システムも再設計
Pixel 9 Pro Foldでは、カメラバーとヒンジの刷新によって折りたたみスマホ最薄を実現したとGoogleは語ります。
同時に薄型化を可能にした要因として、カスタム仕様の薄型ハプティクスドライバーや、小型化されたUSB-Cポート、刷新されたスピーカーなどを挙げ、多くの微調整によって厚さをミリ単位で薄くすることができたそうです。
薄型化は熱にも影響を与えますが、まったく新しいベイパーチャンバーと、熱を効率的に拡散するグラファイトサーマルスプレッダーを備えた冷却システムも再設計されたとのこと。
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