日本の折りたたみスマホ市場はSamsungの一強状態でしたが、今年はGoogleがPixel Fold、motorolaがrazr 40 ultraといった折りたたみスマホが発売されたことで、自分に最適な折りたたみスマホを選べるようになりました。
これからSamsungは買い替えを促すだけではなく、ライバルメーカーとの競争が必要になります。競争が生まれることで折りたたみスマホの成長は早まるため、ユーザーにとっても良い環境ができそうです。
もう1つの選択肢であるPixel Foldについてはすでにレビュー済み。今回はGalaxy Z Fold5をレビューします。
サムスン電子ジャパン
折りたたみスマホだからこそ重要なソフトウェア
折りたたみスマートフォンには、FoldとFlipの2種類があります。
Flipタイプは通常サイズのスマートフォンを半分に折りたたんでミニバッグや胸ポケットに入れて持ち運べるのに対して、Foldはポケットから取り出して本体を開くとタブレットサイズのディスプレイにアクセスできます。
Samsungは今年もFlipタイプのGalaxy Z Flip5、FoldタイプのGalaxy Z Fold5を用意しています。
日本では予約開始から7日間の注文台数が前作比191%と過去最高を記録し、韓国でも予約台数が100万台を突破するなど売れ行きは好調。なお、予約台数の7割をGalaxy Z Flip5が占めるなど、一般的に人気が高いのはFlipタイプのようです。
それでも筆者の心が踊らされるのはタブレットサイズのディスプレイをポケットに入れて持ち運べるGalaxy Z Fold5です。
ワクワクをもたらすメインディスプレイの画面サイズは競合機種のPixel Foldとほぼ同じ。
画面のなめらかさを表すリフレッシュレートもどちらも最大120Hz同士です。縦横比は異なるものの本体を横向きにすれば、縦横比は同じになります。
最大の違いは美しさにあります。
幅広なベゼルのPixel Foldに対してGalaxy Z Fold5は、画面内部に埋め込まれたアンダーディスプレイカメラ(UDC)や薄型ベゼルによるフルスクリーンデザインを実現。細かなところでは画面を保護するフィルムとベゼルの隙間が小さいためホコリが溜まらず画面が綺麗な状態に保たれます。
折りたたみディスプレイは通常のディスプレイよりも柔らかく、高額な修理代金を考えると指で強く押したり、ツメが強く当たるだけでもストレスを感じますが、Galaxy Z Fold5はSペンで操作することを想定していることもあってなのか、Pixel Foldよりもの硬いディスプレイで耐久性に関して安心感があります。
縦長のディスプレイは片手でホールド可能。フロート表示のキーボードを利用することで片手フリックも可能です。
電子書籍を開くと通常のスマートフォンのように片側1ページだけが表示されます。すでに書いたように本体を横向きにすれば、Pixel Foldと同じ縦横比になるため、紙の本と同じように見開きで表示することも可能です。
残念なのは横向き一直線に折りたたみディスプレイならではのシワができてしまうこと。Pixel Foldの場合は画面のシワが画面の真ん中に縦に引かれ、本の折り目のようになるため気になりません。
本と同じ動作で本体を閉じれるため、Pixel Foldはまさに本のような体験。つくづく電子書籍に最適なデバイスだと感じます。
折りたたみスマートフォンの筋肉とも言えるヒンジの動作はGalaxy Z Fold5の方がなめらかで、手がそれなりに大きければ片手でもカンタンに本体を開くことができます。
ヒンジが固く180°フラットにオープンできないPixel Foldと比べると、ヒンジのなめらかさには明らかな違いがありました。
完成度の高さはハードウェアだけでなくソフトウェアにも当てはまります。
アプリを同時に利用して作業を効率化できるマルチタスキングはPixel Foldに比べて2つも多い4つのアプリを1画面に同時表示できます。
ポップアップで表示できるアプリは必要のない時は画面外に収納し、必要な時は画面外から再度表示することも可能です。
正直なところ3つ目、4つ目のアプリを起動するには画面が小さく、筆者は2つ以上のアプリを起動する機会はそれほど多くないと感じましたが、一度体験してしまうとPixel Foldのように2つに制限されることは許容できないはず。
アプリの大画面対応もPixel Foldより進んでいます。
Twitterアプリは全画面で表示され、Instagramはメニューアイコンが横に並ぶタブレットや折りたたみ専用のインターフェースで表示されます。
頻繁に利用するアプリの組み合わせをペアアプリとして保存することも可能。
ペアアプリはホーム画面からタップ一発で起動できるため、DAZNでバスケを見ながらXで実況したり、ボックススコアなどでスタッツを確認しながらスポーツ観戦したり、Instagramでスポットを検索しながらGoogleマップでスポットや評価を確認できる環境をすぐに構築できます。
さらに、ニンテンドーDSやノートPCのように机に置いた状態で動画を再生して画面の隅に表示されるアイコンをタップすると、下の画面にコントロールパネルが表示され、シークバーを操作して再生位置を動かしたり、10秒の早送り/早戻しで好きなシーンまで簡単にスキップできるほか、輝度や音量調整、スクショ撮影、ノートPCのようにトラックパッドでの操作も可能。
これらすべてPixel Foldにはできない芸当でGalaxy Z Fold5を選ぶべき理由になります。
快適なマルチタスキングをサポートするチップセットは特別に最適化されたSnapdragon 8 Gen2 for Galaxyです。
優秀な性能と優れた消費電力は今年発売されたハイエンドスマートフォン、Galaxy S23やGalaxy S23 Ultraでも証明済み。折りたたみスマートフォンでも快適に動作します。
Snapdragon 8 Gen2を搭載した他の機種でも確認されているようにチップそのものの発熱改善に加えて熱を拡散するベイパーチャンバーも38%大型化しています。
実際に「FINAL FANTSY VII EVER CRISIS」や「デッドバイデイライト・モバイル」をアプリとゲームデータのダウンロードを含めて1時間ほどプレイしてみましたが、端末の温度は上がるもののパフォーマンスに影響が出ることはなく快適にプレイできました1
性能を数値化したベンチマークスコアは以下のとおりです。瞬間的な性能や長時間負荷をかけた時もGalaxy Z Fold5が明らかに優秀です。
Galaxy Z Fold5 | Pixel Fold | |
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Geekbench 6 |
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Geekbench 5 |
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3D Mark WILD LIFE EXTREME |
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3D Mark WILD LIFE EXTREME STRESS TEST |
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DBDはメインディスプレイに最適化されず発電機を修理する際にタップを正しく認識しないバグが存在しているので注意。これはPixel Foldでも同じです。(元の場所に戻る)
4,400mAhのバッテリーは、FF7ECを1時間以上プレイし、YouTubeで動画を1時間再生、Googleマップを40分使用など、ヘビーに使っても使用時間が9時間30分超えました。これを計測した時の画面オン時間は5時間40分と消費電力も優秀です。
また、90分でフル充電になる最大25Wの有線充電と最大15Wのワイヤレス充電に対応。充電しながらゲームで遊ぶ時の発熱を抑え、電池にダメージを与えない直接給電も利用できます。
Samsungがサブディスプレイと表記することもある本体外側のディスプレイはリモコンのように縦に長い形状です。
通知を確認したり、支払いの際にPayPayの支払いコードを表示したり、X/Twitterのタイムライン、Instagramのフィードを確認する程度あれば、問題はないもののキーボードによる文字入力は窮屈で500文字程度の記事を書き上げるだけでもちょっと苦痛。フリック入力ならまだマシですが、QWERTY入力の場合はさらに窮屈さを感じます。
サブディスプレイは名前のとおりあくまでもメインディスプレイの脇役で本体を閉じたまま1日を過ごすことは難しいかもしれません。両方のディスプレイをバランスよく使いたいのであれば、Pixel Foldを選ぶことをオススメします。
カメラは50MP 広角レンズ、12MP 超広角レンズ、光学3倍ズームに対応した10MP 望遠レンズで構成される3眼仕様。
本体が薄い折りたたみスマートフォンには、ハイエンドモデルのカメラは搭載されていません。Galaxy Z Fold5も同じで、Galaxy S23 Ultraの望遠圧縮が楽しめる素晴らしい光学10倍ズームの望遠レンズはお預けになっています。
10MPと4MPのフロントカメラも搭載していますが、折りたたみを活用して高画質で3つの画角を選べるメインカメラで自撮りすることもできます。
動画はナイトセルフィやポートレート、超高精細な8Kにも対応。8Kはズームしても精細さが保たれるため、保険的に広い画角で撮影するテクニックが使えます。
作例は以下のとおり。Pixel Foldに比べると明らかに色鮮やかでSNSに適した仕上がりになります。派手な写真を好む人は好きなはずです
まとめ:2つの折りたたみスマホどっちを選ぶ?
Googleの折りたたみスマートフォン初号機「Pixel Fold」は、コンセプトデバイスのようなものです。
スマートフォンとタブレットを1台に集約したような2in1デバイスと言えるPixel Foldは素晴らしいデバイスで満足していますが、ソフトウェアもハードウェアも完成されていません。足りないものが多数あります。
ただ、間もなく登場と見られるAndroid 14などのOSアップデートや3ヶ月に一度の機能追加アップデートで加速度的に進化していきます。
折りたたみスマートフォンを手に取るような好奇心旺盛の人であれば、苦痛には感じず、むしろ進化や成長の過程も楽しめるでしょう。
一方、Galaxy Z Fold5はソフトウェア、ハードウェアともにPixel Foldよりもはるかに高い完成度を誇ります。
端末価格は20万円以上のため、進化や成長の過程を楽しんではいられない、即戦力の折りたたみスマートフォンが欲しいのであれば、迷わずこっちを選ぶべき。
軽量なボディに硬く安心感のあるメインディスプレイ、アーマーアルミフレームによる高い耐久性、Sペンによる手入力、明らかに性能が優れた性能のチップセット、より長いOSアップデートも魅力です。
折りたたみスマートフォンでどちらを買おうか迷っている人がいるなら、より後悔しにくいGalaxy Z Fold5をオススメします。
ドコモ版の256GBの機種代金は257,400円、23ヶ月目に返却した時の負担金は157,080円です。512GBの機種代金は272,030円、23ヶ月目に返却した時の負担金は105,600円です。
au版は256GBと512GBはすでに販売終了。1TBの機種代金は298,200円、25ヶ月目までに返却した時の負担金は156,500円〜です。
また、SamsungオンラインショップではSIMフリーモデルを購入できます。
SIMフリーモデルは1TB、カラーはキャリアでは選べないグレー1色、FeliCaにも対応していますが、FeliCaマークのない仕様。価格は298,200円です。
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