ドコモ、通信品質の改善に自信、25年度末に「他社並み」へ。26年度も基地局大幅増でナンバーワン奪還目指す
Yusuke Sakakura
Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

かつてドコモは、広いエリアと高い信頼性を誇り、“つながるキャリア”として長く業界トップの地位を築いてきました。
しかし、コロナ禍を経てネットの使われ方が大きく変化。動画視聴等の増加によって通信量が急増し、コロナ禍が明けて人々の移動が再び活発になると、電波もギガも十分あるのにつながりにくい――そんな現象が各地で目立つようになり、ドコモユーザーの不満の声が広がっています。
ドコモは最重要課題として通信品質の改善を急いでいますが、2025年11月に発表されたOpensignalの最新調査では、人口密集地域でのカバーエリアは依然として高く評価されたものの、通信体験や速度の指標ではわずか1部門の受賞にとどまり、楽天モバイルの2部門を下回る結果になりました。
当初は2023年末までに解消すると宣言していましたが、2年かかって改善されたものの課題は残されたまま。ドコモは通信品質の改善について「時間がかかっている」と説明しています。
2025年度末には他社並みに
ドコモは今年、品質改善に向けて以下のような最新技術を導入。5G基地局の数も2024年3月末と比べて約1.3倍に増加しています。
- デュアルバンド対応MMU(Massive MIMO Unit)の導入→混雑エリアの通信品質を向上
- HPUEの導入→エリア端など基地局から離れた場所でも安定した上り通信が可能に
- Sub6対応レピータ導入→屋内で5G Sub6のエリア構築が容易に。商業施設の通信体験を向上

今後も5G基地局を大幅に増やす方針で、2025年度下期(2026年3月末まで)は上期の約3倍となる基地局構築数が計画されています。
上期と下期の構築数に大きな差がある理由について、前田社長は「基地局建設に必要な地権者との交渉など、さまざまな調整に時間がかかっていた」と説明。
「下期の上期比3倍については完全に目処が立っている。やり切ることで状況はかなり良くなると思っている。ぜひご期待いただきたい」と述べ、計画を達成すれば他社に匹敵するレベルに到達すると自信をのぞかせました。
2026年度は25年度以上の基地局を構築
2026年度には、2025年度以上の基地局の構築を計画しています。
これは、年々増加するトラフィックへの対応だけでなく、通信品質でナンバーワンへ返り咲くための計画とも説明しました。

受信速度は向上も、スマホ決済が使えない場面も
決算会見では、これまでの改善の成果も報告されました。
2024年3月と比較して、主要都市の中心部では受信速度が25%も向上。新宿駅や池袋駅の周辺でも約20%の改善が確認されたとのこと。
また、全国の主要鉄道動線では、受信速度が40%も向上し、総武線快速(東京ー千葉間)では50%の向上、中央線快速(東京ー八王子間)では40%の改善が報告されています。

一方で、前田社長も「都市部を中心とした人流の多いエリアでは、ご不便をすべて解消に至ってない」と認めるように、依然としてつながりにくいと感じる場所もあります。
例えば、スーパーの地下にある生鮮食品売り場はセルフレジの導入が進んでいますが、混雑する時間帯はQRコードがなかなか表示されないことがあります。数日前も細い路地に面した飲食店で同じことを体験しました。
ドコモが今年発表した新料金プラン「ドコモMAX」では、Lemino、dアニメストア、NBA docomo、DAZNといった動画配信サービスを追加費用なしで楽しめる特典を提供しており、今後はこれまで以上にトラフィックの増加が見込まれます。
PayPayのQRコードすら表示されないこともある現状が果たして約半年後にどこまで改善されるでしょうか。



















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