NTTドコモのiモードを創設した一人として有名な夏野剛氏がドワンゴの常勤顧問に就任したようです。
ドワンゴと言えば「ニコニコ動画」を運営している企業ですが、夏野氏が担当するのはその赤字が続くニコニコ動画を黒字化すること。ドワンゴの常勤顧問に就任した理由としては「もうけると人間性が変わることが多いが、ここはもうけても赤字の事業につぎこんでいる。そういう姿勢がいいなあと思って。(ドコモとは)対極の会社に来たことですごくせいせいしている」とコメントしています。
NTTドコモがiPhoneを獲得しなかった理由がわかるようなコメントですね~。
もうけると人間性が変わることが多いが、ここはもうけても赤字の事業につぎこんでいる。そういう姿勢がいいなあと思って。(ドコモとは)対極の会社に来たことですごくせいせいしている
この記事によれば、夏野氏が担当するニコニコ動画黒字化については「すみやかに黒字化したい。1年はかけたくない。9月末までの今期中は無理だが、来期には絶対実現する」とコメント。ドワンゴの魅力については「これ(ニコニコ動画)以外、世界に出られるコンテンツは日本にない。マジで。ドコモではiモードで海外へ出ようとしたが無理だった。ネットは国の境界がない。ニコ動には力がある」などとコメントしたようです。
すこし気になったのは常勤顧問就任した理由を聞かれて「もうけると人間性が変わることが多いが、ここはもうけても赤字の事業につぎこんでいる。そういう姿勢がいいなあと思って。(ドコモとは)対極の会社に来たことですごくせいせいしている」とコメントしたこと。
これにはNTTドコモが「iPhone 3G」の販売権を獲得しなかった理由が述べられているような気がします。ソフトバンクモバイルは、iPhoneに2年契約という縛りを条件にすることでiPhoneの価格を引き下げて販売するわけですが、端末を売ることで黒字になることはまずありません。(理由については「今週の携帯電話ニュース」を見てください。)ならば、どうやって黒字にするのか。それは2年契約という縛りを設けることで、ユーザーに2年間iPhone利用させ、発生した料金で黒字にするということでしょう。
しかし、2年間の縛りを設けて黒字にするというのはNTTドコモにも存在します。そうです「バリューコース」です。バリューコースは2年間の縛りを設ける事で毎月の利用価格を下げるというサービスです。そして、他のキャリアと少し異なるのはNTTドコモは端末の2年間利用ではなく、キャリアの2年間利用という内容。
つまり、バリューコースでiPhoneを購入したユーザーは2年間経っていなくても、違約金を払うことなく他機種へ買い換えすることができます。ユーザーとしてはキャリアと2年間契約をするだけで毎月の利用料金が下がり、その間他機種へ移行しても残額を払い続けるか、一括で払うかすれば良いだけなので自由なコースなんですが、NTTドコモにしてみれば「iPhoneを利用することで回収できたはずのお金が回収できなくなってしまいます。」これではAppleに支払う上納金の目処が立たずまずことになってしまいますよね。
ソフトバンクモバイルのようにiPhone用に販売体系を新設するという回避策もありますが、最近は総務省が「料金体系はユーザーがわかりやすいように」と散々命令を出している中でNTTドコモが提供する販売体系に2種類も似たようなものが存在するのは好ましくありません。(ソフトバンクモバイルはブループランやオレンジプランのオプションとして2年間の縛りを設けているため、似たようなプランは存在しても区別が容易にできます。)
「iPhoneのみで黒字にするのは困難」「料金体系の問題」・・・そういった理由でNTTドコモは半ばiPhoneの販売権獲得をあきらめてしまったのでしょう。今後も諦めないと言ってはいますが、そこらへんは大人の事情でしょうね。