LINEヤフー、1億人の日常利用を狙う「Agent i」開始。気をつかうLINEの日程調整も代行
Yusuke Sakakura
Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

LINEヤフーが、AIエージェントの新ブランド「Agent i(えーじぇんとあい)」の提供を開始しました。
Agent iは、Yahoo! JAPANのAIアシスタントとLINEの「LINE AI」を統合した新ブランドです。複雑なプロンプトを考える必要はなく、調べものから段取り、実行まで、面倒なタスクをまとめて引き受けてくれます。
たとえば、LINEでの日程調整もAIが代行します。「来月、東京でバスケを観戦したい」と入力すると、AIが候補を探し、トーク画面に予定を共有。参加可否の回答を呼びかけたうえで、返答する側もLINEやスマートフォンのカレンダーをもとに予定を自動入力できます。
よくあるのが、「あと1人だけ都合が合えば全員参加できる」という場面です。そんなときも、AIが個別トークで「(△を)◯に変更いただけると全員が参加できる日程になりますが、調整は可能ですか?」といった気配りまで含めて調整してくれます。
💬Agent iはLINEにも。面倒な日程調整をAIにおまかせ
✔︎スマホやLINEのカレンダーから空いてる日程の自動入力✔︎気を使う変更提案もAgent iがやってくれる
めんどうで気を使う日程調整をAIに丸投げできるのはめちゃくちゃ良いな pic.twitter.com/sqLd8sLEro
— Yusuke Sakakura🍎携帯総合研究所 (@xeno_twit) April 20, 2026
凄まじい速度で進化、優れた結果を生むAIを利用しているのは2割未満
LINEヤフーの慎ジュンホCPOは、生成AIについて、数年前までは何か質問すると答えてくれる「対話(チャット)」が中心だったものが、すぐに人の作業を支援する「伴走(コパイロット)」へと進化し、いまでは代わりに行動してくれる「実行(エージェント)」の段階に入ってきたと説明します。
実際、生成AIはさまざまな分野で活用が進んでおり、とくにソフトウェア開発の現場では、LINEヤフーでもさまざまなコーディングエージェントを試していて、「ものすごいスピードで生産性と効率が上がっている」と表現します。
一方で、8割以上の人は生成AIを日常的に使っていないのが現実です。慎氏は、使っている人の多くもまだチャット利用が中心で、エージェントまで使いこなしている人はさらに限られるのではないかとみています。


LINEヤフーのサービスで気軽に使える「Agent i」
「なぜ、これほど優れた結果を生み出している生成AIが、実生活では使われていないのか」――そうした課題意識から生まれたのが、“毎日のそばに、だれでも使えるAIを”をコンセプトに掲げるAgent iです。
たとえば、仕事が忙しくて保有銘柄の状況まで追えないときに、株価の動きを毎朝知らせてもらったり、旅行の最安値航空券や引っ越し先の物件探し、さらに旅行や引っ越し資金の捻出のための節約情報や節約レシピまでまとめて依頼したりと、複数のタスクを同時進行でこなせます。
生成AIが日常的に使われていない課題に対し、LINEヤフーは、毎日1億人が使うサービスの延長線上でAgent iを提供することで、利用を広げていく考えです。
あわせて、日常に寄り添うには幅広いコンテンツが欠かせないとして、LINEヤフーが展開する100を超えるサービスを活用。100万を超えるLINE公式アカウントとも連携することで、正確な情報と最適な提案が可能とします。
💁♀️Agent iのコンセプトムービー
忙しくて保有銘柄をチェックできないときもAgent iがチェック。旅行のプラン、気になっている車の最新情報など、さまざまなタスクを同時進行でこなしてくれるエージェントAI pic.twitter.com/GwabZSCY5d
— Yusuke Sakakura🍎携帯総合研究所 (@xeno_twit) April 20, 2026
Agent iでできること
Agent iは、LINEの日程調整のようにアプリに組み込まれるほか、LINEのホーム画面やYahoo! JAPANからアクセスできるウェブサービスとしても提供されます。
なお、Agent iのコンセプトは「毎日のそばに、だれでも使えるAIを」となっていますが、ウェブ提供に比べて少し距離を感じます。アプリ化の予定については、「ユーザーの声を聞きながらニーズに対応していきたい」としています。
利用にあたって複雑なプロンプトは不要です。項目をタップするだけでも使えますし、「セーターの洗い方を教えて」と人に話しかけるように入力するだけでも利用できます。




さらに、より専門的なサポートに対応するジャンル特化型の領域エージェントも用意されます。
たとえば「ファイナンス」では、新NISAをきっかけに株に興味を持ち始めたものの、相場の変動がよくわからない人に向けて、Agent iが市場で何が起きているのか、どんな投資の流れが生まれているのかをわかりやすく整理してくれます。
どのテーマや業界に資金が向かっているのか、個別銘柄にはどのような影響が出ているのかまでまとめてくれるため、難しい情報を一つひとつ読み込まなくても、相場の流れをつかみやすくなります。対話を通じて疑問を解消していくことも可能です。
こうしたジャンル特化型の領域エージェントは、現時点で7種類を提供。今後は対応領域を広げながら、機能も段階的に拡充していく予定です。
Agent iを試してみた
Agent iはすでに提供が始まっていますが、今後追加される機能もまだ多くあります。発表会場には、これから提供される機能を体験できるブースも用意されていたので、いくつか試してみました。
AIが試合経過を読み上げ。自由に聞ける解説も
スポーツナビでは、野球速報をラジオ感覚で楽しめるよう、Agent iが試合状況をリアルタイムに読み上げます。音声は機械っぽさがかなり抑えられていて、想像以上に自然でした。
さらに、チャットで攻撃や投球の意図を質問したり、勝利確率の予想を見ながら楽しんだりすることもできます。電車で移動中など映像を見られない場面はもちろん、球場で観戦しながら気になる場面の解説を頼む使い方にも向いていそうです。




物件の購入と賃貸どっちがお得?
物件検索では、好みや条件に合わせてAgent iが物件を探してくれるだけでなく、指定したエリアの特徴を確認できるAI分析や、希望とのマッチ度を築年数・ライフスタイル・間取りなど6項目で視覚的に示すAI評価も利用できます。賃貸で借りるべきか、購入を検討すべきか迷ったときに、どれぐらい価格差があるのか確認できるのも便利です。
気になる物件が見つかれば、そのまま内見予約まで進められます。


自然な応答のLINE AI予約、推し活サポート、膨大な商品比較も
「LINE AI予約」も試してみました。人気店では、混雑や人手不足でなかなか電話がつながらないことがありますが、AI予約であれば24時間いつでも代わりに対応してくれます。こちらも受け答えはかなり自然で、人と会話しているのとほとんど変わらない感覚で予約を完了できました。
予約が完了するとSMSで予約者コードが届き、来店時にそのコードを伝えることで入店できます。
LINEのトーク画面では、会話に詰まったときに文脈を踏まえて話題や返信を提案してくれる機能も提供されます。個人的に欲しいと思ったのは、会話を切り上げたいのに、どう終わらせればいいのか迷うときのAIサポートですが、現時点では提供予定はないとのことでした。
ほかにも、X上の投稿から確からしい情報を抽出したり、提携アーティストからの公式情報をまとめてチェックできたり、自分がどのように推しているのか傾向を分析してくれる「推し活」、Yahoo!ショッピングで気になった商品を膨大な候補の中から勝ち抜き形式で自動比較し、ベストなものを提案してくれる「AI比較マスター」なども用意されていました。






1億人の日常にAIエージェントを広げられるか

発表会の最後には、一部の詳しい人だけが使いこなすAIではなく、1億人が実生活のなかで自然に使いこなせる世界観を目指すと説明しました。その実現には、AIを使う段階にとどまらず、エージェントを作るところまで裾野を広げていく必要があるとしています。
まずは2026年6月までに9つのサービスの提供を始め、9月までにはビジネス向けのAgent iも投入する予定です。あわせて既存サービスとの連携も広げ、さらに誰でも使えるエージェント作成ツールを提供することで、数万規模のエージェントを生み出せる仕組みづくりを目指します。
生成AIを一部のアーリーアダプターのものにとどめず、日常に溶け込む存在へと広げられるのか。LINEヤフーは、Agent iを通じて日本のAI体験そのものを変えていく考えです。


















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