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AirPods 4 レビュー:まるで魔法、耳が詰まらない理想のノイキャンイヤホン

bio
Yusuke Sakakura公開日:2024/09/27 12:40
AirPods 4 レビュー:まるで魔法、耳が詰まらない理想のノイキャンイヤホン

「シンプルで魔法のようなワイヤレス」

これは8年前に発売された初代AirPodsのキャッチフレーズです。それまでのワイヤレスイヤホンは、初期設定と毎回の接続が大変で、ボタンの数秒長押し、LEDの色や点滅状態の確認、製品名とはかけ離れた文字(デバイス)の選択など、今では考えられない手間をかけていました。

これをすべて不要にしたのがAirPodsです。フタを開けてiPhoneの画面を数回タップしたら初期設定が完了、次からはフタをあけてイヤホンを耳に着けるだけで利用を始められます。

MacやiPadなど利用しているデバイスへのシームレスな切り替えも含め、今ではどれも当たり前のことですが、当時は本当に魔法のようでした。

その後もアクティブノイズキャンセリングや外部音取り込みモード、空間オーディオ、ダイナミックベッドトラッキングなどいくつもの機能が追加されましたが、魔法と呼べるほど大袈裟なものではなかったと思います。

ただ、AirPods 4の耳詰まりなしのアクティブノイズキャンセリング機能はまさに魔法のようで、多くの人にとっての理想と言えるイヤホンかもしれません。

音質じゃない、体験がウリのAirPods

音質じゃない、体験がウリのAirPods

AirPodsが登場するまでイヤホンの絶対的な評価基準は音質だったと思います。

誰が何を評価してもそれがイヤホンである限り、音質が最もフォーカスされていました。それを変えたのもAirPodsです。魔法によって変えたのは音質ではなく“体験”で、体験こそが他のイヤホンと最も大きく違うポイントです。

AirPods 4の魔法は“耳詰まりなしのノイズキャンセリング”という新しい体験です。

シリコンチップを使用したカナル型とアクティブノイズキャンセリングを採用するAirPods Proは、無音の耳に自分が聴きたい音だけを流し込める良いイヤホンですが、徐々に耳が詰まるあの現象が許容できなくなり、常用するイヤホンがAirPods 3へと変わっていきました。

ただ、AirPods 3を地下鉄などで利用するとまともに音が聴けないことも多々あるので、利用するのが屋内に限られていました。

耳が詰まらないオープンイヤー型のノイズキャンセリング対応イヤホンがあればと常々思っていましたが、Appleがついに実現しました。カナル型が嫌いな人にとってAirPods 4は決定版になるはずです。

最高に快適な付け心地?飛躍的な改善なし

AirPods 4の新デザインは、劇的な変化を遂げたAirPods 3の形状ベースに微調整が行われています。

Appleいわく「最高に快適な付け心地のAirPodsを生み出した」とのことですが、見た目も実際に耳に入れた感触も変化は感じるものの、飛躍的な改善はありません。

上:AirPods 4、下:AirPods 3
上:AirPods 4、下:AirPods 3
左:AirPods 4、右:AirPods 3
左:AirPods 4、右:AirPods 3

AirPods 2からAirPods 3の進化は20点を80点にするようなアップデートでしたが、AirPods 4は80点台に収まるようなアップデートで、AirPods 3がフィットした人も、フィットしなかった人も同じ装着感を得るはずです。AirPods 3と同様にジョギングや筋力トレーニングはできても、ランニングなどの激しい運動をすると耳から抜け落ちるのも変わりません。

AirPods 2以前のモデルから短くなったステムには、引き続き感圧センサーが搭載されています。

ステムをつまむと動画や音楽の再生と一時停止、スキップ、電話の応答/終了、ミュート/ミュート解除が可能。また、長くつまむとアクティブノイズキャンセリング、外部音取り込みモード、適応型オーディオを切り替えたり、Siriを起動することができます。

残念ながらAirPods Pro 2のタッチコントロールと違ってステムをスワイプ操作できないため、音量を調整するにはiPhoneやApple Watchを操作するか、Siriに依頼する必要があります。

高いフィット感とイヤホン単独での音量調整はワークアウトには欠かせないもので、AirPods 4はアクティブな使い方には向いていません。

ノイキャンはイマイチ、中途半端。でも魔法の体験

AirPods 4の購入を検討している人が最も気になっているのはノイズキャンリングでしょう。結論から言えば10点満点中4-5点ぐらいだと思います。

ノイズキャンセリングは外向けのマイクで拾った音をH2チップがリアルタイムに解析しながら打ち消す仕組みで、ノイキャンの効果や精度はこのH2チップに依存するところが大きいです。

H2チップはAirPods Pro 2と同じですが、AppleいわくAirPods 4(とAirPods Pro 1)のノイキャンの効果は半分しかありません。

ノイキャンはイマイチ、中途半端。でも魔法の体験

これはシリコン製のイヤーチップによって物理的に外部の音を遮断するAirPods Pro 2に対して、AirPods 4が外部の音が耳に侵入しやすいオープンイヤー型を採用していることが原因です。実際に聴き比べてみると、AirPods 4のノイキャンの効果は明らかに低いです。

例えば、高架下で電車の走行音は大幅に抑えられますが、電車が来たことも去っていったことも明確にわかります。旅行者と登下校する学生で騒がしい江ノ電に乗った時は乗客の声がかなり小さくなりました。空調の音は小さくなりません。つまり、すべての音が許容範囲に抑えられますがそれ以上の効果はなく、AirPods Pro 2のように耳の中をほぼ無音にしてそこに音を流し込むような体験は得られません。

自宅や図書館など比較的静かな場所で作業することが多いならAirPods 4程度のノイキャンで十分です。騒がしい高架下や地下鉄などの走行音までしっかりとカットして欲しいならAirPods Pro 2を選びましょう。

切り捨てるならAirPods 4のノイキャンは中途半端です。3万円近くのイヤホンがこれでは許せないレベルかもしれません。

でも、これは耳が詰まらないノイキャンです。プラスチックと干渉して耳が痛くならない限りはいつまでも着けていられます。これは+1万円出してAirPods Pro 2を購入しても得られない体験で本当に求めていたAirPodsです。これからのメインイヤホンになることは間違いありません。

これまですべてのイヤホンタイプのAirPodsを購入しましたが、AirPods Pro 3が出ても買うことはない気がしています。オープンイヤー型とカナル型のハイブリッドにでもならない限りは。

音質は向上。特に低音が改善

音質は向上。特に低音が改善

AirPodsは音質で高評価を得るようなイヤホンではありませんが、Appleいわく、まったく新しい音響アーキテクチャ、歪みを低減するドライバ、ハイダイナミックレンジアンプによって大幅に改良されているとのこと。

AirPods 3と聴き比べてみましたが、確かに音質は向上しています。音楽だけでなく、映画やドラマでも音質の向上を感じます。特に低音が強くなり、深みが増しています。AirPods 2からAirPods 3になった時も大きな進化を感じたので、AirPods 2から買い替えるなら音質の大幅な向上を感じると思います。

音楽体験に関わる機能では、iPhoneのカメラ使って耳や頭の形状をスキャンすることで最適化された立体音響の空間オーディオ、映画館のような音体験が楽しめるダイナミックヘッドトラッキングにも対応。

声と雑音を分離して音量を調整することで、雑音の大きい道路沿いや風が強い場所でも快適に通話できる声を分離などスマートな音の体験も実現しています。

ただ、マイクが貧弱なのかHey Siriと発してもなかなか認識されないことが多いと感じます。Siriには首を縦に振って「はい」、首を横に振って「いいえ」の応答ができる新機能が追加されました。通知の読み上げや電話への応答時に利用できます。

できるだけ声を出さずにSiriを利用したい人は多くいるので便利な機能です。本当に正確に動作するのか懐疑的でしたが、実際に利用したところ正確に動作します。もっと多くの場面で利用したい機能です。

ノイキャンモデルにしかないもの

AirPods 4には2つのモデルが存在します。今回レビューする29,800円のアクティブノイズキャンセリング対応モデルと、もう1つは21,800円の通常モデルです。

AppleはAirPods 4の発売と同時に、AirPods 2とAirPods 3の販売を終了したことを考えれば、AirPods 2の後継機が通常モデル、AirPods 3の後継機がアクティブノイズキャンセリング対応モデルということになりそうです。

機能差がアクティブノイズキャンセリングだけなら8,000円の差額を高いと感じる人も多いと思います。ただ、違いはほかにも多数存在しています。

屋外のワークアウトで欠かせない周囲の音を取り込んで安全を確保できる外部音取り込みモード、周囲の雑音の変化に応じてノイズキャンセリングのレベルを自動調整する適応型オーディオ、会話を始めると自動で音量を下げることで、イヤホンを着けたまま会話ができる会話感知に対応するのはノイキャンモデルだけです。

左:AirPods 4、右:AirPods 3
左:AirPods 4、右:AirPods 3
AirPods 4はApple Watchの充電器で充電可能
AirPods 4はApple Watchの充電器で充電可能

イヤホンだけでなく充電ケースにも違いがあります。

ノイキャンモデルは内蔵されたスピーカーをiPhoneから鳴らすことでAirPodsがどこにあるのかを音で探すことができます。AirPods 4は充電ケースが小型化したことで、カバンのどこに入れたのかわからなくなることも増えそうなのであると便利な機能です。

ワイヤレス充電も利用できますが、AirPods 3にはあったMagSafeのオプションがなくなったのは残念。充電ケースが小さくなったことに関係があるのかもしれません。その代わりにApple Watchの充電器を使って充電することもできます。これもノイキャンモデルだけ。通常モデルはUSB-Cでしか充電できません。

これが8,000円の違いです。個人的には追加で支払う価値が十分あると思います。通常モデルのAirPods 4は、AirPodsを初めて使う人向けだと思います。

ちなみに共通の変化として充電ケースの背面からリセットボタンが消えました。

AirPods 4では、何度かステータスランプ付近を2回連続でタップすることでリセットできます。これまでの充電ケースは使用を繰り返すと、リセットボタンの溝が黒くなっていたので良いアップデートですが、複雑化したリセット方法は都度調べる必要がありそう。ただ、それもApple Intelligenceに対応したSiriに聞けばリセット方法を教えてくれるはずです。

まとめ:理想のオープンイヤー型ノイキャンイヤホン

まとめ:理想のオープンイヤー型ノイキャンイヤホン

電池持ちはノイキャン利用時で4時間と案内されています。

これまで8年もAirPodsを使ってきて電池持ちに悩まされたことはほとんどありません(どちらかといえば充電ケースの充電を忘れて困ることが多い)。バッテリーテストも兼ねてできるだけAirPods 4をつけっぱなしで利用したところ電池持ちに物足りなさを感じましたが、休憩なしで4時間連続で聴き続けることはほとんどないので、電池持ちで困ることはあまりなさそうです。

来年にはAirPods Pro 3発売の噂もありますが、現時点ではこれ以上のワイヤレスイヤホンがあるのかと思うほど気に入っています。

良いか、悪いか、ではなく自分が求めていたものが見つかりました。おそらく今後は同じコンセプトのイヤホンが続々出てくることが予想されます。AirPods 4に比べて価格面で優位に立つイヤホンや音質に優位性があるイヤホンも登場すると思います。

ただ、iPhone、ipad、Macとシームレスに接続できるワイヤレスイヤホンは限られるため、Appleユーザーにとっては決定版になるでしょう。耳が詰まらないノイキャンに魅力を感じ、過去のスタンダードなAirPodsが自分の耳に合っていたのであれば、買っても後悔することはなく、AirPods 1/2/3からの買い替えをおすすめできます。

ランニングなど激しいワークアウトで使用せず、通常使用でも耳から抜け落ちないならAirPods Proからの買い替えも良いと思います。ノイキャンを妥協できない人やワークアウトでも頻繁に使うのであれば、来年発表が噂されるAirPods Pro 3まで待つと良いでしょう。

AirPods (第4世代)
AirPods (第4世代)¥ 29,800シリーズ史上最高のフィッティングを実現した最新モデルです。AirPods Pro 2と同じH2チップを搭載し、アクティブノイズキャンセリングに対応。適応型オーディオや外部音取り込みモード、会話を感知して音量を自動で下げる機能もサポートします。充電ケースにはスピーカー搭載で見当たらない時も音を鳴らして探せます。
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