経営不振のシャープは、台湾・ホンハイ精密工業の買収提案を受け入れることを決定したと各紙が報じています。両社からの正式発表はまだありません。
ホンハイ精密工業は、アップルが開発する「iPhone」「iPad」や、世界中で販売されているスマートフォンの製造を手がける世界最大手の受託製造メーカーです。
そのホンハイの狙いは、シャープの買収によって液晶技術を手に入れ、アップルが2018年にも発売する「iPhone 8」での採用が噂されている有機ELの受注獲得を狙ったものと報じられています。
ホンハイ、シャープ買収の狙いは「iPhone 8」の有機ELか
シャープの経営再建をめぐっては、政府系ファンドの産業革新機構と台湾のホンハイが名乗りをあげ、産業革新機構は約3000億円の支援案を提示、対するホンハイは総額約6500億円を提示していました。
産業革新機構は、現経営陣の退陣と、事業の撤退や売却を含めたリストラを行う方針を示す一方で、ホンハイは赤字の膨らむ液晶部門を含む、太陽電池以外の事業を切り離さないことや、40歳以下の雇用を守ることを明らかにしていたことからホンハイ有利との見方がほとんどでした。
ホンハイは、受託製造メーカーであり、シャープのように自社の製品を大きく売り出すことはありません。そのため、シャープ買収の狙いは受託製造メーカーからのステップアップと見られていましたが、「iPhone 8」での採用が噂されている有機ELの受注獲得を狙ったものとされています。
前述したとおり、ホンハイはiPhoneやiPadなどアップル製品の製造を手がけていますが、自社で開発する部品が採用されているわけではありません。
現在、iPhoneの液晶パネルを供給しているのは、ジャパンディスプレイ、LGディスプレイ、シャープの3社とされていますが、アップルは、2018年以降に発売するiPhoneにて、画像が鮮明で低消費電力に優れる有機ELを採用する見込みです。
これを受けてか、三菱化学やブイ・テクノロジーなどの日本企業が受注獲得に向けて続々と有機ELの開発に着手したと日経が伝えています。この動きは国内にとどまらず海外でも起こり熾烈な争いになるはずです。
ホンハイは、iPhone 6sやiPad Proの液晶パネルを供給するシャープを買収することによって液晶関連の技術力を獲得し、現段階から開発を行ってアップルとの取引を強化する狙いがあるとNNNは報じています。
ホンハイは、重要な取引先のアップルが2018年からスマートフォンに画像が鮮明で省エネに優れた有機ELを採用する見込みであることから、シャープの技術力を手に入れて開発を急ぎ、アップルなどとの取引を強化する狙いがあるとみられている。
引用元:買収受け入れは…きょうシャープ取締役会|日テレNEWS24
2016年夏モデルで初お披露目、買収後の「AQUOS」スマートフォンはどうなるか
また、シャープ自身が開発する「AQUOS」スマートフォンは国内では4社、海外ではソフトバンクグループのSprintにも供給しています。買収をキッカケにAQUOSスマートフォン、AQUOSブランドをどのように展開していくのか気になるところ。
4月〜5月に発表される2016年夏モデルでホンハイの買収後初となる製品がお披露目されるはずです。既に開発はスタートしていることから製品に大きな影響はなさそうですが、ブランドロゴなどには変化があるのかもしれません。
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