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第4回:総務省がスマホ割引を再検証。Googleは“わかりやすい残価算定”、Samsungは“料金連動割引”を提案

Yusuke Sakakura

Yusuke Sakakura

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ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

2026/02/15 8:00
第4回:総務省がスマホ割引を再検証。Googleは“わかりやすい残価算定”、Samsungは“料金連動割引”を提案
総務省が、スマホ割引ルールを再検証しています。焦点はキャリアの端末購入プログラム。月々の負担が軽く見える一方で、条件や総額が分かりにくい、という声が出ています。Googleは、残価の計算が過去データ前提で“いまの価値”を反映しにくく、説明も複雑だと指摘。年数に応じて残価が一定ペースで下がる、分かりやすい算定方式を提案しました。Samsungは不公平を減らすため、端末割引を料金に連動させ、短期解約なら割引を一部返す仕組みを提案しています。

総務省が、スマートフォンの割引等を規制するルールを改めて検証しています。

以前は「端末を安く買うなら、回線契約もセット」が当たり前で、端末代の値引きは毎月の通信料金から差し引かれる仕組みでした。途中で解約すると割引も終了するため、端末の安さが回線の継続利用と強く結びついていました。

その結果、市場競争を停滞させる利用者の囲い込みや、料金比較のしづらさ、端末をよく買い換える人が多くの特典を得られる不公平感が問題視され、電気通信事業法27条の3による規制が導入されています。その後も白ロム規制など“抜け道対策”のパッチが重ねられ、ルールは市場の変化に合わせて調整されてきました。

一方で総務省は、導入時の目的を離れて規制がツールとして使われるのは望ましくないとして、27条の3が目的に見合った必要最小限の内容になっているかを点検しています。

27条の3の目的
  • 事業者間の適正な競争環境の実現
  • 利用者が自らのニーズに沿った通信サービスを合理的に選択
  • 利用者間の不公平
  • 通信料金の高止まりの解消

加えて、囲い込みを抑えるために乗り換えやすくなった環境を逆手に取り、短期解約を繰り返して通信料を十分に支払わないまま特典だけを得る「踏み台」「ホッピング」といった動きも論点です。こうした“副作用”が顕在化していることも、再検証の理由になっています。

現在は、規制の効果検証に向けた指標設定と実態把握のために、関係者ヒアリングを実施している段階。第4回では、Googleやサムスンなどのメーカーに加えて、中古スマホの買取事業者からも意見聴取が行われました。

中古スマホ業者:二重圧縮と認定中古品の過度な値引き規制を求める

中古スマホの買取事業者などで構成されるリユースモバイル・ジャパン(RMJ)は、中古スマホ市場の実態と課題について意見を述べています。

規制後は中古スマホ市場が拡大

RMJは、制度改正以降、中古スマホ市場が急速に拡大していると説明します。中古スマホの販売台数は6年連続で過去最高を更新すると予測され、直近でも年間の買取高・販売高が大きく伸びているとのことです。

また、27条の3によって過度なキャッシュバックや新品端末の極端な値引きが抑制され、市場の透明化が進んだ点は評価しました。一方で、キャリアによる残価設定プログラムや認定中古端末への値引き施策が、新たな価格のゆがみを生み、中古市場にも影響が出ていると指摘しています。

評価
  • 過度なキャッシュバックや新品端末の極端な値引きの抑制によって市場の透明化が進んだ
課題
  • キャリアによる残価設定プログラムや認定中古端末への値引き施策が、新たな価格のゆがみを生み、中古市場にも影響が出ている

課題:ハイエンド端末が中古市場に回りにくくなる懸念

RMJが挙げた大きな課題の1つが、残価設定プログラムによる端末回収のかたよりです。

対象機種はハイエンドモデルが中心で、ハイエンド人気機種の回収がキャリア側に集まることで、中古市場へ端末が回りにくくなることを懸念しています。

高額なハイエンドスマホがキャリアに集中している
Yusuke Sakakura

Yusuke:RMJは、価格帯別スマホ売上台数の構成比を根拠に、10万円以上の「高価格帯」端末の販売比率が拡大していると主張しています。確かに構成比は増加していますが、近年は端末価格そのものが上昇していることから、この資料だけでは、残価設定プログラムの普及が高額端末の販売を直接押し上げた、とまでは断定できません。

さらに、残価設定プログラムについて、月々の負担が大幅に抑えられるように見える表示が広がっていると指摘。加えて、保証サービスへの加入が実質的に必須となっているケースもあるといいます。

こうした条件が重なることで、利用者は総負担額を他の購入方法と比較しにくくなり、結果として囲い込みにつながりかねないとのことです。

キャリアが販売する認定中古品についても、行き過ぎた値引きが起きていると指摘します。

もともと販売価格が安い認定中古品に新品同等の値引きが適用されるケースがあり、その結果として中古品の実売価格がRMJの平均買取額を下回る状況を招きかねないとしています。

認定中古品に新品同等の値引きが適用されるケース
認定中古品に新品同等の値引きが適用されるケース

認定中古に大きな値引きが入ると、中古なのに極端に安い価格が基準になってしまい、中古の相場が割引に引っ張られやすくなります。結果として、中古事業者が端末を仕入れる価格より安く売らざるを得ないケースが増え、ビジネスが成り立ちにくくなります。

対応案:残価と値引きの“二重取り”防止、認定中古には専用の値引き上限を

こうした実態を踏まえ、RMJは残価設定プログラムについて、残価による負担軽減と値引きが重なって過度な便益が生まれる構造を見直すべきだと提起しました。あわせて、短期で返却するほど得をするような、短期返却のインセンティブは、市場を歪める要因になり得るとして禁止を求めています。

さらに、キャリア認定中古品の値引きについてもルール整備を要望。新品同等の値引きの禁止、また中古専用の値引き上限を設けるなど、過度な値引きを抑える枠組みが必要だとしています。

Google:「自由な競争」と「わかりやすい残価算定」を求める

Googleは菅野圭吾氏が登壇し、プラットフォームであるAndroidと、端末メーカー(OEM)としてのGoogle Pixel――両方の立場から意見を提示しました。

課題:残価設定プログラムは複雑でユーザーにも運用にも負担大

Googleは「現在の市場環境や27条の3の規制の効果をどのように捉えているか」というヒアリングに対して、効果はプラス・マイナスの両面があると述べました。

プラスとして挙げたのは、オープンマーケットの成長などによる端末購入方法の多様化と、通信料金の低廉化です。

一方でマイナス面については、ルールが増えた結果、説明が複雑化し、残価設定プログラムを含むキャリアの販売方法が「パッと見てもすぐにわからない」状態になっていると指摘しました。また、わかりにくさはユーザーの負担になるだけでなく、店頭で説明する側にとっても重荷になっているとします。

プラスの効果
  • 端末購入方法の多様化 (オープンマーケットの成長)
  • 通信料金の低廉化
マイナスの効果
  • 残価設定プログラムによる課題
    • ユーザーにスマホ購入の仕組みが複雑
    • 運用者への過度な負荷
    • 過去端末の買取価格を参考にすることによるメーカー間の競争環境の硬直化

加えて、運用面の負担も大きいといいます。

残価設定プログラムは、端末返却を条件に残りの支払い(残価)が不要になる仕組みですが、その要となるのが残価の算定です。もともと算定方法に明確な制限はなかったものの、残価を高く設定しすぎるケースが問題視され、近年のガイドライン改正でルールが整理されました。

具体的には、RMJが公表する過去端末の買取平均額をもとに各キャリアが残価(買取等予想価格)を算定し、総務省に提出したうえで運用される形になっています。

Googleは、こうした端末ごとの残価算定と更新の頻度が「非常に負荷が大きい」との認識を示し、運用側の大きな負担を訴えました。

負担の大きな残価の算定方式
負担の大きな残価の算定方式

さらに、折りたたみスマホの普及やAI機能の強化、OSサポートの長期化、バッテリーの高寿命化など、スマホは日々進化しているにもかかわらず、過去モデルの価値を前提に現在のモデルへ当てはめる残価算定ルールでは、現在の価値や進化を十分に反映できない――という点も指摘しています。

その結果として、ユーザーが自由に端末を選ぶ機会が狭まり、メーカー側も新しい技術を積極的に投入しにくくなるリスクがあるとしました。

対応案:残価は期間に応じて一定で減少するモデルで計算を

Googleは、残価設定プログラムの課題として以下の3つを挙げました。そのうえで、これらを網羅的に「完全に」解決できるとは限らないと前置きしつつ、解決策として提案したのが期間に応じて残価が一定の率で減少するモデルです。

  • ユーザーにとって複雑なスマホ購入の仕組み
  • 運用者への過度な負荷
  • 進化分を価値に考慮しない残価算定法による、自由な端末選択の狭まりとメーカー間の競争環境の硬直化

具体例としてGoogleは、スマホは所得税法上の区分でいえば「電子計算機」や「通信機器」に近いと捉えられることから、4〜6年程度で価値が一定のペースで減少するようなモデルをルール化し、残価率を計算してはどうか、という考え方を示しました。このようにシンプルな算定方式にそろえることで、ユーザー側も理解しやすくなり、店頭で説明する側の負担も軽くなる、というのがGoogleの提案です。

全てのスマホに4〜6年で定率で減少するモデルを提案
全てのスマホに4〜6年で定率で減少するモデルを提案

また、SamsungもRMJが作成・公開している過去端末の買取平均額をもとに、キャリアが残価を算定する流れについて、「RMJがベンチマークを作っているが、形骸化しているのではないか」と指摘。

残価率のグルーピングがキャリアの裁量で算出されることから、「同じ端末でもキャリアによって残価率が非常に異なる」ほか、3つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」のような新しいタイプまたは革新的な製品などが出てきたときに、RMJのベンチマークが参考にできるのかといったとこを危惧していると述べ、Googleと同じように、経過期間に応じて、一律に線形で減価する算定方式を提案しています。

Yusuke Sakakura

Yusuke:悩ましいのは、スマホの価値が「どの機種も同じペースで落ちる」わけではないことです。実際のリセールバリューには差があり、一般にiPhoneは高く、その他のスマホは相対的に低くなりがちです。分かりやすさは増えるものの、機種ごとの実態とズレた場合にユーザーの納得感を得にくいという課題も残ります。

あわせてGoogleは、27条の3における規制の最小化についても言及しました。

あるべき姿として、過度な規制がない状態で事業者が自由に競争できる環境を求め、創意工夫と競争の多様化を進める必要があると説明しています。

さらに、日本が諸外国と比べて厳しい「完全分離規制」を採っている点に触れ、「過度な規制はユーザーが最新技術の恩恵を受けることを阻害し得る」との見方を示しました。最新技術を手ごろな価格で、より早く享受できることが重要だ、というのがGoogleの主張です。

Samsung:料金と連動した割引と短期解約時の割引返還案

Samsung電子ジャパンからは大橋氏が登壇し、業界の発展の一端を担う立場として、端末に関わる部分について意見を述べました。

課題:不公平な3種類の端末値引き

Samsungは、27条の3が目的とする利用者間の不公平に関して「端末に関わる部分で若干不公平が残っている」と指摘しました。

端末の中でも割引に関して、キャリアなど事業者が提供する端末割引の原資は通信料収入であり、割引額の上限規制もこれをもとに設定されているにも関わらず、通信料収入と関わらない割引も行われており、利用者間で不公平が存在すると指摘します。

その不公平は、契約期間・支払っている料金・購入する機種に分類されるとのこと。

端末割引の不公平
  • 契約期間による不公平:割引は将来の収入を原資とするが、短期解約しても割引が適用される仕組み。長期利用者と短期利用者間に割引額の不公平が存在する
  • 支払額による不公平:支払っている月額料金に関わらず割引額は同等。支払いの多い利用者と少ない利用者間に割引額の不公平が存在する
  • 購入機種による不公平:同じ料金プランを契約しても、機種により割引額が異なるため、機種間での割引額に不公平が存在する

例えば、契約期間の不公平では、のりかえで端末を購入する場合、利用実績がないにも関わらず、割引が適用されます。一方で、利用実績がある機種変更に対しては、割引がない事例も見受けられるとのこと。

のりかえ時のみ4万円超の割引
機種変更時には割引なし
のりかえ時のみ4万円超の割引

また、支払っている料金の不公平では、どの料金プランを選んでも割引額は変わらないとのこと。逆に言えば高い料金を払っていても割引は変わらず、逆に少ない料金を払っていても結果的に同じ割引が受けられるといった不公平があるとのこと。

最後に、同じ料金プランを同じタイミングで契約して購入する場合でも、機種によって異なる割引額が適用されていると指摘。割引原資が通信料であるにも関わらず、機種によって割引額が異なる状況は、ユーザー間で意図しない不公平が生じているとします。

対応策:高い料金なら高い割引を、割引方法には選択を

Samsungの調査によれば、ユーザーに対する割引や便益の提供は、海外の主要先進国においては基本的に月額料金に応じている、あるいは契約期間に応じているのが主流で、共通して公平性が担保されているとのこと。

また、端末割引が通信料収入を原資にしている点を考慮し、料金プランの月額に応じた割引額を提案。

なお、初期負担を減らすために割引を初期一括、あるいは毎月の支払額から割り引く選択はあってもいいとし、利用者間の不公平をなくすという点で、同一料金プランの割引額は機種に関係なく一律とする案を提案しました。

また、初期一括割引を受ける場合は、解約時に期間に応じて割引額を返還する案も併せて提案しています。

一括1円で買ったキャリアスマホをSIMフリースマホとして販売する事例も

短期解約問題については、メーカーにも影響があるとします。

具体的には、(推測を含む)短期解約者がキャリアで一括1円で購入した端末をオープンマーケットに流して、Samsungが公式で販売する新品価格よりわずかに低い価格で転売するというもの。

ホッピングで得た端末をオープンマーケットに流して換金している
ホッピングで得た端末をオープンマーケットに流して換金している

商品名にSIMフリースマホと書かれているにも関わらず、購入してみると、キャリアが販売したものでSIMフリースマホではなかったことや、開封済みであったことなどのレビューが投稿されていることを報告しています。こうした習慣が市場をゆがめており、利用者も不便を被る形になっていると指摘します。

Yusuke Sakakura

Yusuke:公開資料から対象のストアはAmazonと見られます。キャリアスマホをSIMフリースマホとして販売できてしまう販売側にも問題があるでしょう。

1円端末はメーカーが利益を削って作られる

Samsungは、顕在化しているもうひとつの課題として、廉価端末の割引規制をあげています。

というのも、27条の3では廉価端末の定義が2万円以下に定義づけられており、売れやすい“1円端末”を成立させるには、メーカーとしても小売価格2万円の枠に収まる端末を用意し、ラインアップとして取り扱ってもらう必要が出てきます。

27条の3で、1円端末の提供をさまたげられている
27条の3で、1円端末の提供をさまたげられている

ところが、資材やメモリなどのコストが上昇するなか、この価格帯に収めることは難しく、メーカーが利益を削ってでも2万円以下に合わせにいかざるを得ないとします。結果、制度が意図せずメーカーにとっての固定的な価格圧力として機能している、という課題認識を示しました。

なお、Samsungは、この課題も料金と連動した割引と短期解約時の返還が導入されれば、解決に向かうとしています。

今回で関係者ヒアリングは終了。今後、委員会は市場評価と効果検証、追加ヒアリング、論点整理等を行い、夏頃に最初の取りまとめ案を出す予定です。

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