1.4トン耐圧、バーナーでも自然鎮火、釘刺し試験もクリア。Ankerが本気で作った究極安全なモバイルバッテリー
Yusuke Sakakura
Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

Ankerが、モバイルバッテリーの安全性をワンランク引き上げる新製品「Anker Nano Power Bank (MagGo, Plus)」を発表しました。
スマホを約2回充電できる大容量のバッテリーを搭載し、Qi2対応スマートフォンには最大15Wでワイヤレス充電が可能。見た目はいつものMagGoシリーズのモバイルバッテリーです。
ただし、今回の主役は充電速度や容量ではありません。
最大の特徴は、Anker史上最高水準の安全性を追求した独自バッテリーセル「Neo Lithium-ion Battery(ネオリチウムイオンバッテリー)」を初搭載したこと。さらに、燃えにくい素材を使ったボディや、異常を検知すると状態に応じて使用を制限する新しいバッテリーマネジメントシステムも備えています。
求められるモバイルバッテリーの安全性
背景にあるのは、モバイルバッテリーを始めとするリチウムイオン電池搭載製品の安全性に対する関心の高まりです。
Ankerは今年2月、リチウムイオン電池搭載製品の安全性に関する取り組みを発表しました。製品を作る、使う、捨てる。そのすべての品質を見直すとともに、正しい使い方や廃棄方法の啓発にも取り組んできたとしています。
近年、モバイルバッテリーの安全性を巡っては、さまざまなアプローチが取られています。
特に注目されているのが、バッテリーセル素材の見直しです。半固体電池やナトリウムイオン電池など、リチウムイオン電池とは異なる素材を採用する動きもあります。
ただ、Ankerは「モバイルバッテリーの安全性はセルという1つの要素だけで決まるものではない」と説明します。
セルそのものの品質、筐体の耐久性、ソフトウェア制御まで含めて、製品全体で安全性を高める。今回のNeo Lithium-ion BatteryとAnker Nano Power Bank (MagGo, Plus)は、その考え方を形にした製品です。
代替素材を選ばず、リチウムイオン電池の進化を選んだ理由
事故への不安が高まるなか、半固体電池やナトリウムイオン電池といった代替素材にも注目が集まっています。
一方で、Ankerは現時点ではまだ課題が残されているとして、リチウムイオン電池を多角的に進化させる方向を選びました。
- 実証データの蓄積:リチウムイオン電池が世界中で積み重ねてきた検証データに比べると、代替素材はまだ実証が十分ではない領域がある
- 使用環境や廃棄ルール:航空機への持ち込みが制限されるものや、処分ルールが十分に整っていないものがある
- サイズと重さ:代替素材は、現行のリチウムイオン電池と比べて、同じ容量でも大きく重くなりがち。毎日持ち歩く製品にとって、コンパクトさと軽さは利便性に直結する
その答えとして生まれたのがNeo Lithium-ion Batteryです。特徴は大きく3つあります。
1つ目は、不純物を徹底的に排除したこと。2つ目は、長く使い続けても劣化しにくいこと。3つ目は、極めて過酷な釘刺し試験を100%通過可能な品質を実現していることです。
発熱や発火の原因になりうる不純物を徹底排除
Ankerによると、バッテリーセルの安全性を大きく左右するのは、電極と電解質です。製造過程でごく微細な不純物が混入すると、内部ショートや化学反応を引き起こし、発熱や発火のきっかけになる可能性があります。
Neo Lithium-ion Batteryでは、発火の原因となりうる微細な不純物を徹底的に排除。特に正極では、安全上のリスクになりやすい磁性異物を約667万分の1以下に厳しく制限し、電解液でも水分やフッ化水素などの含有率を厳しく管理しています。
長く使っても劣化しにくい設計
モバイルバッテリーは数年単位で使い続けることも多く、購入直後だけでなく、使い続けた後の安全性も気になるところです。
Ankerは劣化要因の一例として、充放電を繰り返すことでセル内部に小さな物質が蓄積するデンドライトを挙げています。内部ショートなどのリスクにつながる可能性があり、バッテリー業界が長年向き合ってきた課題と説明しています。
Neo Lithium-ion Batteryでは、負極への独自の表面処理や電解液の配合最適化によって、こうした経年変化の進行を抑えるとしています。
釘刺し試験など、複数の過酷な試験をクリア
Neo Lithium-ion Batteryは、複数の過酷な物理試験もクリアしています。象徴的なのが釘刺し試験です。
満充電のバッテリーセルに直接釘を突き刺し、強制的に内部ショートを発生させる試験で、極めて通過が難しいとされています。Neo Lithium-ion Batteryは、この釘刺し試験を100%通過可能な品質を実現しています。
さらに、135°Cの高温環境にさらす耐熱試験や、強い圧力をかけても爆発しないかを確認する耐圧試験など、複数の厳しい試験もクリアしています。






もちろん、こうした試験を通過しているからといって、ユーザーが分解したり、強い衝撃を与えたりしてよいわけではありません。製品は取扱説明書に沿って正しく使う必要があります。
難燃ボディと新BMSで、セル以外からも安全性を高める
進化したのはバッテリーセルだけではありません。Anker Nano Power Bank (MagGo, Plus)では、ボディにも燃えにくい素材を採用しています。
万が一内部で発火した場合にも引火しにくく、炎を外に広げずに封じ込める性能を備えていると説明されています。
さらに、ソフトウェア面では新しいバッテリーマネジメントシステムも導入されています。
従来製品にも搭載されていたシステムをさらに一段階引き上げ、セル一つひとつを秒単位で個別に監視。これまで以上に微細な異常まで検知できるようになっています。


検知した異常は記録され、その程度に応じて製品本体を一時的にロック、または強制的に使用できなくする機能も備えています。
さらに、使用回数が増えてきた際には、充電制限電圧を自動で調整。バッテリーの状態は、Ankerの専用アプリや本体ディスプレイから確認できます。
価格は11,990円。今後はほかの製品にも展開へ
Neo Lithium-ion Batteryを搭載した第1弾製品として発売されるのが、10000mAhのバッテリー容量を備えた「Anker Nano Power Bank (MagGo, Plus)」です。
価格は税込11,990円。ブラックは本日からAnker Japan公式オンラインストアで予約販売が始まり、一般販売は2026年夏ごろを予定しています。

Anker Japanの猿渡歩CEOは、今後段階的にNeo Lithium-ion Battery搭載製品を増やしていく方針を示しています。しばらくは従来製品と併売するものの、しかるべきタイミングで、基本的にはNeo Lithium-ion Batteryを中心とした製品へモバイルバッテリーを切り替えていく考えです。
モバイルバッテリーは、容量や出力、サイズで選ばれることが多い製品ですが、発煙・発火事故への不安が高まるなかで、今後はより「どれだけ安心して持ち歩けるか」も重要な選択基準になっていきそうです。






















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