アップルが他社とは異なる方法でiPhoneやiPad、MacBookにまで防水性を持たせることが可能な特許を出願したことが明らかになりました。
アップルが出願した特許技術「水分または湿気から電子部品を保護するための方法」とは
アップルが防水加工に関する特許を出願したことが米特許商標局が公開した資料から明らかになりました。
特許名は「”Methods for shielding electronic components from moisture”」で、日本語にすれば「水分または湿気から電子部品を保護するための方法」といったところ。
公開された資料からは、プラズマCVDと呼ばれる高度な蒸着技術と、はんだ部(電子部品とプリント基板の接合部)をシリコンシールで保護することで、iPhoneなどのデバイスに防水性を持たせるようです。
普通の熱CVDでは,ガスの供給が多い場所と少ない場所で,厚さが不均一になる。減圧CVD(LPCVD)という方法を使うと,分子の平均自由行程が延びて,分子が拡散しやすくなり,膜厚の均一性が高まる。
熱エネルギーの代わりに高周波のエネルギーを使うと,低温で成膜できる。これをプラズマCVDという。基板と対向する電極に高周波をかけて放電させ,原料ガスを分解して成膜する。
引用元:CVD(化学気相堆積)とは – 半導体製造 – 日経テクノロジーオンライン
通常の防水加工が施されたスマートフォンでは、ゴムパッキンやキャップなどデザイン性を損なう消耗品が多様される傾向がありますが、アップルは今回の特許に加え、以前にもLightning端子などにキャップを用いないまま、防水加工を施す特許技術も出願していることから、目指しているのはデザインへの影響が少なく、防水部品の消耗度も気にしなくて良い、他社とは異なる防水になる様子。
さらに、近年薄型化が進んでいるiPhoneですが、今回出願された特許には、電子部品に「わずか1~10ミクロン程度の薄膜を形成する」と記載されており、iPhoneの薄いボディに影響を与えることなく、防止加工が可能になるようです。
プラズマCVDとシリコンシールによる防水加工はApple Watchにも用いられる?
アップルは昨年9月にApple Watchを発表した際に防水性について言及しなかったものの、防水または防滴とも思える以下の画像が公開されました。
また、ティム・クックCEOはドイツ・ベルリンにあるApple Storeに訪問し、スタッフに対して付けたままシャワーに入っていることも明らかにしています。
これらの情報からApple Watchには、今回、明らかになった特許技術を用いて防水を実現している可能性もあります。Apple Watchの公式ページには、「それらの電子部品を外的要素、衝撃、摩耗から守るために樹脂の中に完全に包み込みました。」と書かれており、前述したプラズマCVDを用いているのではないかとも想像できます。
Apple Watchが防水対応になるとすれば、アップル製品として初の防水をサポートしたデバイスとなりますが、今年秋に発売されるであろうiPhone 6sまたはiPad Air3といったまた別の製品に用いられる可能性もゼロではないでしょう。
気になるのは、シャワー程度の水流や湿気の高いお風呂場での使用に耐えうる「生活防水」または「防滴」となるのか、水中でも使える「完全防水」となるのか——この特許技術がどこまでの防水性能を実現できるかです。
3月10日午前2時に発表されるであろう「Apple Watch」から何らかのヒントが得られるかもしれません。
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