AppleはなぜPerplexityに目をつけたのか？AI検索シフトとGoogle依存の終わり

AppleがAI検索スタートアップ「Perplexity」の買収について社内で協議したと、Bloombergが報じました。

Perplexityは、対話形式で検索リクエストを受け付け、独自の検索エンジンで集めたウェブ情報をもとに、生成AIが自然な文章で回答するAI検索サービスを提供している企業です。

日本国内ではソフトバンクと提携し、ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMOのユーザーに対して有料サービスを6ヶ月間、無料で提供しています。

Bloombergによると、Appleの幹部らはAI人材と技術の不足を補う目的で、Perplexityの買収について初期段階の議論を行ったとのことです。

ウェブ検索市場は現在、大きな転換期を迎えており、Googleが長年支配してきた市場にAI検索が本格的に台頭しつつあります。

実際にAppleのサービス部門トップ、エディ・キュー氏は、2025年4月に行われたGoogleの反トラスト法訴訟において、「Safariでの検索数が22年間で初めて減少した」と証言し、その要因としてAI検索への移行を挙げていました。

また、同氏はChatGPTやPerplexityなどのAI検索エンジンをSafariに追加することを「積極的に検討している」とも述べています。

Appleは現在、iPhoneのデフォルト検索をGoogleに設定することで年間約200億円を受け取っていますが、この提携関係が法的に規制される可能性もあり、両社にとって大きなリスクとなっています。

従来のウェブ検索は、検索連携を通じた収益モデルにとてつもない“旨み”がありましたが、これからのAI検索の時代においてはそうした“旨み”を得にくくなっているのが現状です。

こうした背景から、AI検索の価値がまだ相対的に低いうちに有望な企業を買収し、自社サービスに取り込むという戦略は、Appleにとって合理的な選択肢とも言えるでしょう。

ただし、今回の買収検討はあくまで初期段階のものであり、現時点で実際にPerplexityへの提案が行われる可能性は低いとされています。

なお、Perplexityの買収・提携に関心を示しているのはAppleだけではなく、Metaも交渉を行ったものの、最終的には破談となったと報じられています。

提携先としてSamsungの名前も候補として挙がっており、Appleの買収を難しくさせているようです。