昨年9月、欧州連合(EU)がスマートフォンやタブレットなどを含む電子機器製品に搭載される充電端子をUSB Type-C(USB-C)に標準化する法改正案を発表しました。
Androidスマートフォンや充電を必要とするイヤホンの多くがUSB-Cを採用するなか、Lightningによる独自路線を取っているAppleを狙い撃ちしたものと大きな話題になりました。
実際にUSB-Cの標準化が実現するまでに複数のステップを踏む必要がありますが、今回は域内市場・消費者保護委員会では賛成43票、反対2票の圧倒的賛成多数で法改正案を支持。今後は5月に欧州議会で全体投票が行われたのち、最終的な法改正案についてEU各国の政府と協議を開始することになります。
Appleはイノベーションを阻害するものと反発
EUが各電子機器製品にUSB-Cを標準搭載させたい目的は、ユーザーの利便性向上と廃棄物削減による環境保護です。
EUに狙い撃ちされたAppleは、MacBookシリーズやiPad mini|Air|ProでUSB-Cを搭載しているものの、iPhoneやエントリーモデルのiPad、AirPodsの充電ケース、MagSafeバッテリーパックといったアクセサリにはLightningを搭載し続けていて、USB-Cが標準化されれば多大な影響を受けます。
USB-Cの標準化に対して多くのユーザーはEUの法案を支持するはず。一方、Appleはデバイスの厚みが増したり、Lightningケーブルの廃棄による環境への影響などを主張して最後まで抵抗することが予想されます。
法案発表時にAppleは「たった1種類の端子を義務付ける厳格な規制はイノベーションを促進するどころか、むしろ阻害するものでヨーロッパだけでなく、世界中の消費者に悪影響を及ぼしかねない」と反発し、移行期間がたった24ヶ月しかないことに懸念を表明していました。
EU加盟国が法案を承認した場合、少なくとも欧州で販売されるiPhoneについては2024年発売のモデルからLightning端子が廃止されることになります。
Appleが各地域ごとのモデルを減らしてコストを削減したいと考えるのであれば、日本で販売されるiPhoneにもUSB-Cが搭載されるかもしれません。一方、Lightning商法に旨味を感じるのであれば、地域によって異なるモデルを用意する可能性も考えられます。