iPhone 4のアンテナゲートの表示問題は20バイトの修正で解消していた

Yusuke Sakakura

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ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

2025/10/11 23:53
iPhone 4のアンテナゲートの表示問題は20バイトの修正で解消していた

今年、超薄型のiPhone Airが登場し、公式アクセサリとして“バンパー”が発売されたことで、15年前に登場した「iPhone 4」を思い出した人も多いのではないでしょうか。

iPhone 4は、特定の持ち方で電波の受信状態が著しく悪化するデスグリップ問題を抱えていました。メタルフレームの左下にある切れ目を覆うように握ると電波強度が急落するこの現象が、のちにアンテナゲートと呼ばれる大きな騒動へと発展します。

これを受けて、AppleはiPhone 4sでメタルフレームの継ぎ目の位置を変更する設計変更を行いました。一方で、当時Appleがソフトウェアのバグだと説明したことを覚えている人は少ないかもしれません。

当時8歳だったsam henri goldが大人になった今、この問題を改めて検証したところ、Appleが修正に要したコードはわずか20バイトにすぎなかったことが明らかになりました。

アンテナゲートのソフトウェアの問題

Appleは当時、電波の強度を示すバーの表示本数を決める数式に誤りがあり、実際よりも2本多く表示していたと説明しています。

そのため、電波が弱い場所に滞在したり、デスグリップによって電波が弱まっても、画面上では4本や5本のままで電波が悪くなってもユーザーは気づくことができない状態でした。

また、バーの数が大きく減るケースもありましたが、これも実際より多めに表示していたために、差が極端に見えてしまったのが原因です。

Appleはこの不具合を修正するため、バーを表示する数式を当時AT&Tが推奨していた最新の数式に変更しています。

調査の結果、電波の強さを示すバーの数を何本表示するかを計算するために我々が使っている数式が間違っていたことが判明しました。現在使用している数式は多くの場合、特定の電波の強さに対して、バーの数を誤って2本多く表示してしまいます。

わずか20バイトの修正で表示問題解消

gold氏が不具合のあったiOS 4.0と、修正後のiOS 4.0.1を比較したところ、その変更はわずか20バイトだったと明らかにしています。

バーの計算方法は単純で、電波強度(dBm)をあらかじめ設定されたしきい値と比較してバーの本数を決定するというものです。

iOS 4.0.1では、このしきい値を見直したことで、5本から0本までの幅が広がり、5本の表示範囲が狭く、ほかの範囲が広くなったため、バーがより緩やかに変化するようになりました。

Appleはアンテナゲート問題を受けて、iPhone 4の購入者にApple純正のバンパーまたはサードパーティのケースを無償で提供し、すでに購入していた人には全額返金する「iPhone 4ケースプログラム」を実施しました。

さらに、集団訴訟を経て、最終的に約1,530万ドルの和解金を支払っています。

ただし、20バイトの修正によって改善されたのは表示上の誤差にすぎず、実際の電波の受信状態が向上したわけではありません。そのため、こうした影響を避けることはできなかったと考えられます。

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