Vega OS搭載の新Fire TV Stick、Androidアプリをクラウドで利用可能に
Yusuke Sakakura

Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

Amazonが発表した最新のFire TV Stickモデルは、最安のHDモデルにわずか1,000円を追加するだけで、4K/HDR10+対応を手に入れることができます。
この魅力的な価格設定は、Androidベースの「Fire OS」から一新し、新たに開発された「Vega OS」を採用することで実現したものです。
最大の違いはアプリ環境です。従来のFire OS上で動作するアプリをインストールすることはできず、アプリの入手はAmazon独自のアプリストアに限定されます。サイドローディングもサポートされていません。
それでもAmazonは、さまざまなアプリのコンテンツを横断的に検索でき、Fire OSベースのFire TVシリーズと同様に60万本以上の映画やTV番組が楽しめるとしています。
どうやってこれを実現するのか――Amazonはクラウド上で、AndroidをベースにしたFire OS向けアプリを実行し、Vega OS搭載デバイスにストリーミングする仕組みを導入しています。
Vega OSアプリを開発するまでの代替手段
アプリの移植方法などが記された開発者向け資料には、「Amazon Cloud App Program」についての説明があります。
そこには、Amazonのクラウドアプリストリーミングによって、Fire OSアプリをVega OS搭載のFire TVデバイスに配信できると書かれています。
仕組みは、Fire OSのAPKがAWSクラウド内の専用コンテナで展開・実行され、Vega OSデバイスにインストールされたミニアプリを通じてアクセスするというもの。Amazonによれば、Fire OS搭載のFire TV Stickとほぼ同じように、アプリを操作できます。
The Vergeは、Amazon広報の「一部の開発者は、Vega OS向けのアプリを開発している間、既存のアプリをクラウドストリーミングで提供する」とのコメントを伝えています。
つまり、このプログラムはあくまで開発者がVega OSアプリを開発するまでの暫定的なものです。料金は少なくとも最初の9ヶ月間は無料で、AmazonはVega OSアプリを展開するのに十分な時間を確保できると説明しています。
その後は月間アクティブユーザー数に応じた課金が予定されています。
Amazonが選定したアプリのみストリーミングの対象に
開発者がVega OSアプリを完成させると、デバイス上のミニアプリは完全なVega OSアプリに置き換えられます。ただし、この際にアプリデータは移行されず、新規インストールと扱いになります。
ユーザーはアプリの詳細ページで、そのアプリがVega OSネイティブなのか、クラウド配信のFire OSアプリなのかを確認できます。
なお、Amazonのクラウドアプリストリーミングの対象はAmazonが選定したアプリに限られますが、Amazonに要望を提出することも可能。
さらに、Fire TV Stick 4K MaxとFire OS 7で動作すること、ゲームやユーティリティアプリは対象外などの条件を満たす必要があります。
懸念されるのはパフォーマンスです。クラウドアプリの快適性はWi-Fi環境に大きく依存し、AWSに障害が起きた場合は利用できなくなる可能性もあります。不安な方は発売後のレビューが充実するまで少し待った方が良いかもしれません。
コメントを残す