2010年発売のNexus Oneから続いてきたGoogleの端末事業がようやく実を結びつつあるようです。
IDCの最新レポートによると、Google Pixelはここ数年2桁成長を続けており、初代Pixelが登場した2016年から2023年までに3,790万台を出荷したとのこと。
昨年時点で累計出荷台数は2,760万台と報じられていたため、今年は過去最高となる年間1,000万台を記録する可能性があります。
Google Pixelが好調の要因は?
Google Pixelが特に好調なのは日本です。今年5月のスマートフォン販売シェアでAppleに次いで全体2位を獲得。
日本初上陸となった2018年発売のPixel 3シリーズのシェアは一桁台が続いていたものの、2022年5月に発売されたPixel 6aの登場を機にシェアが上昇。Pixel 7が発売された2022年10月以降は数ヶ月にわたってシェア2位をキープし、2023年1月から5月のシェアは前年同期比で5倍となる平均9.6%を記録したことが日経報道からわかっています。
Counterpoint Researchの調査でも2021年第2四半期のシェアがわずか2%だったものの、2023年第2四半期には12%まで成長する一方でiPhoneのシェアは58%から46%まで低下しています。
以前はまったく見かけることがなかったGoogle Pixelですが、最近では街中でも見かけるようになりました。コロナ禍による行動制限が緩和され、記者会見が大幅に増えた今年はPixelスマートフォンを使用する記者も増えているように感じます。特に60万人以上が最も優秀だと評価したカメラとリアルタイム書き起こしに対応したボイスレコーダー機能は人気で筆者の取材ツールとしてもなくてはならないものになっています。
日本で好調の要因は端末の魅力に加えて、手ごろな価格、下取りの強化、YouTube Premiumの無償提供(期間限定)やGoogle直販で購入した場合は数万円単位のクレジットを還元するキャンペーンなど、最初のハードルを下げることに加えて、他社に流れないような囲い込みにあると予想されます。
長期かつ迅速なアップデートも魅力です。
機種代金が10万円以上もする他社スマホが2回のOSアップデートで終わってしまうなかでPixelスマートフォンは3年間保証・毎月のアップデート・3ヶ月に1回の機能追加アップデートを提供。10月12日発売のPixel 8シリーズでは、それぞれ7年間保証に大幅延長されました。
また、今年はドコモが取り扱いを再開。初の折りたたみスマートフォンPixel Fold、初のスマートウォッチPixel Watch、8年ぶりのタブレットPixel Tabletなど、昨年から今年にかけて一気にカテゴリを広げて勝負に出ています。
北米でも出荷台数が減少しなかった唯一のスマホブランド(Appleさえも20%減少した)であることも確認されており、Googleのデバイス事業は成功しつつあるのかもしれません。9to5Googleのコメント欄でも指摘されているように今後成長を続けていくのであれば、販売地域を拡大する必要があるでしょう。
Google Pixelは約20カ国で販売されていますが、年間2億2,400万台以上を出荷するiPhoneは40カ国以上で販売されています。
- 2017年:前年比2倍の年間390万台を記録
- 2019年:前年比5割増の年間720万台を記録
- 2022年10月:累計出荷台数が2,760万台に到達
- 2023年:累計出荷台数が3,790万台に到達