Appleに報奨金を渡すことで独占的にモデムチップを供給していたQualcommが苦境に立たされるかもしれない。Appleは今年発売の新型iPhoneでQualcommのモデムを採用せず、2016年から採用を開始したIntelのモデムチップを独占的に採用するようだ。
AppleとQualcommの関係は泥沼化
実績あるKGI証券のアナリスト Ming-Chi Kuoによると、Appleは2018年に発売する新型iPhoneにおいてデータ通信などを処理するモデムチップをすべてIntel製に変更し、Qualcomm製を採用しないだろうとレポートした。
現在、Apple・Qualcomm・Intelの関係は非常に複雑になっている。Qualcommは自社のモデムチップを採用するために2011年〜2016年までAppleに報奨金を渡していた事実が明らかになると、欧州委員会から約1300億円の制裁金が課せられた。その後、AppleはQualcommが過剰なライセンス料の支払いを求めてきたことを暴露し、支払われるはずの報奨金が支払われないとして提訴する。
その後、QualcommはAppleを特許訴訟で訴えるなど事態は泥沼化。この特許訴訟のなかで米国際貿易委員会にコメントを求められたIntelはQualcommが競争を回避するために報奨金を支払っていたことを批判し、報奨金を受け取っていたAppleにも釘を指している。
AppleとQualcommの関係悪化に加えてKuoはIntelのモデムチップに関する技術がAppleが要求する性能基準を満たし、CDMA2000と複数のSIMを挿入して複数の回線を同時に待ち受けるDSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)に対応することや魅力的な価格を実現していることが独占供給につながるとしている。
ちなみに、iPhone 7ではIntel製のモデムを採用したロットがQualcomm製のモデムを採用したロットに比べて性能が劣るとして問題となっている。なお、日本での販売分にはすべてQualcomm製のモデムが採用されたため大きな話題にならなかった。
2018年に発売される新型iPhoneは、iPhone Xの後継機である有機ELを採用した2機種と液晶ディスプレイを採用した1機種の3モデル体制になるとみられている。高価な有機ELモデルよりも安価な液晶モデルに人気が集中し、販売台数のうち半分を占めるとKuoは予想している。
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