総務省が新たな改正案を公開し、スマートフォンの販売額を再び規制する方針を示しました。
昨年末の割引規制に続くもので、11月まで行う意見募集を経て改正が確定すれば、スマホが再び値上げされるため、iPhone 16やPixel 9などの購入を検討している場合は、今のうちに購入しておいた方がよさそうです。
1円スマホの廃止、転売ヤー対策の割引規制
総務省は昨年末、過度な端末割引競争を引き起こす1円スマホと転売ヤー対策のために法改正を行い、スマホの割引額の規制を強化して、実質的な値上げを行いました。
1円スマホとは、セット販売を条件にした割引と、端末のみ購入でも適用される「白ロム割」を組み合わせることで、高額なスマートフォンをたった1円で購入できるというものです。
セット割と違って白ロム割には、割引額に上限がなかったため、1円スマホを実現可能でしたが、総務省は白ロム割も規制対象にすることで、割引額を最大44,000円に制限しました。
しかし、ソフトバンクは、スマホの回収時期を大幅に早めることで実質36円スマホを生み出すカウンターを浴びせます。
スマホの価値が高いうちに早期回収、割引規制に強烈なカウンター
最近のスマホの購入方法は、2年など一定期間、利用したあとに端末を返却し、残りの支払額を免除して新機種に買い替える買い方が一般的です。
例えば、ソフトバンクはiPhone 15(128GB)の端末価格を145,440円に設定し、25ヶ月目に返却すれば70,800円の支払いが不要になる買い方を提供しています(いずれも昨年発表時の価格)
通常の48回分割購入であれば、毎月3,000円程度の支払いが必要になりますが、端末返却を前提にすることで毎月の支払額を2,000円程度に抑えることができます。
そして、ソフトバンクが導入した新しい買い方では、スマホの回収時期を25ヶ月目から13ヶ月目に大幅に短縮し、スマホの価値が高いうちに回収することで、負担を大幅に軽減することができます。
例えば、ソフトバンクのiPhone 16(128GB)の端末価格は、iPhone 15と同額の145,440円ですが、回収時期の短縮によって、支払い不要額が2倍以上の145,404円に上昇し、実質36円で購入可能になります(そのほかに19,800円の手数料と1,450円x12か月の保証サービス加入が必要)
36円スマホを生み出す「残価」「支払い不要額」を規制
総務省はスマホの回収を条件にした支払い免除についても、規制対象としていますが、割引規制ほど単純ではありません。
スマホを回収にした支払い免除は、実質的にはスマホの下取りに当たりますが、下取り額は機種の売れ行きや人気度によっても異なるため、発売前の機種に対しては曖昧な基準しか設定できません。
そこを突いたのがソフトバンクですが、新しいガイドラインでは「端末の販売価格x残価率xその他考慮事項」という式によって基準が明確化されることになります。
残価率は「発売からnヶ月目の買取平均額 / 各電気通信事業者における販売当初の販売価格」で算出されます。
なお、買取平均額はリユースモバイル・ジャパンが公表している額を採用し、残価率は事業者の負担も踏まえて、少なくとも1年ごとの更新が適当としています。
例えば、発売時18万円の端末が24ヶ月後に7.5万円で買い取られる場合、残価率は75,000円 / 180,000円で41.7%になります。
これをもとに支払い不要額を算出すると、支払い不要額は75,060円、負担金は104,940円になります(その他考慮事項については、現時点では想定されないとして実質的には、端末の販売価格と残価率で算出可能)
ただし、「発売からnヶ月目の買取平均額」とあるように、この式が適用できるのは発売後の機種のみです。
これから発売する機種については買取平均額はわからないため、発売予告機種については「最新の先行同型機種の残価率を参照する」とされています。
つまり、iPhone 17については、iPhone 16の残価率を参照することになります。
規制の影響は?新機種の購入は値上げ前に
法改正によって規制の影響が、どれほど大きくなるのか気になるところ。
残価に規制をかける残価率の算出には、買取平均額が使用されることから、中古の買取価格と比べてあまりにも高額な残価を設定しているほど、大きな影響を受けることになります。
例えば、携帯各社が設定しているiPhone 16(128GB)の残価は、ソフトバンクが145,404円、ドコモが89,760円、auが88,250円ですが、iPhone 16(128GB)の中古買取価格は平均8万円から10万円、iPhone 15(128GB)が平均6万円から8万円となっています。
また、Pixel 9(128GB)の残価は、ソフトバンクが151,164円、ドコモが88,440円、auが78,900円ですが、Pixel 9(128GB)の中古買取価格は6万円から8万円、Pixel 8(128GB)が平均3万円半ばから4万円半ばとなっています。
いずれもソフトバンクについては、残価と買取価格が大きく乖離していることから大きな影響を受ける可能性が高いです。また、AndroidはiPhoneに比べて買取価格の落ち込みが激しい傾向があるため、比較的影響が大きくなりそう。
昨年末にも法改正を前にした駆け込み需要がありましたが、おそらく今回もそうなる可能性があります。法改正までには、まだ時間がありますが、駆け込み需要が起きると、在庫切れで買えない可能性もあるため、今のうちに購入することも検討した方が良いでしょう。
- | 総務省
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