来月9日にも発表されるiPhone 6でようやくNFCが搭載され、iPhoneがおサイフケータイに対応するのではないかという噂が出ています。
ただ、iPhoneがNFCを搭載してもおサイフケータイが使えるということではありません。なぜ、NFCを搭載してもiPhoneでおサイフケータイが使えないのか、ちょっとだけ書いておきたいと思います。
iPhoneがNFCを搭載してもおサイフケータイが使えない理由とは
海外で採用されているおサイフケータイには「NFC」という規格が使われていますが、日本では「FeliCa(フェリカ)」という規格が広く使われています。おサイフケータイには、SuicaやEdy、QuickPay、WebMoneyといったサービスがありますが、いずれもFeliCaを採用しているため、iPhoneが「NFC」に対応したとしてもSuicaやEdyなどを使うことはできません。
「でも、GALAXYやXperiaなど海外発のモデルもおサイフケータイが使えるよね?あれはNFCじゃないの?」と思われるかもしれませんが、日本向けに発売されているGALAXYやXperiaは日本で発売するにあたってFeliCa対応のチップを搭載しているため、SuicaやEdyなどを使うことができます。
iPhoneでSuicaやEdyなどのおサイフケータイが使える可能性があるとすれば、iPhoneがFeliCaにも互換性を持ったNFCチップを搭載することですが、開発を手がけるのはソニーとドコモの合弁会社であるフェリカネットワークス株式会社です。
1.世界初※、NFC標準規格に準拠し日本でも世界でも使えるチップ
世界で初めて、日本のFeliCa対応サービスとの互換性があり、NFC標準規格にも準拠したスマートフォンをはじめとしたモバイル端末向けチップです。海外のFeliCa対応サービスやNFCサービスにも対応可能なため、携帯メーカーの端末個別カスタマイズ負荷を軽減します。
※2014年7月現在、フェリカネットワークス調べ
引用元:NFC標準規格に準拠した次世代モバイル FeliCa IC チップ の量産出荷開始をSamsung、ソニー、東芝、それぞれと合意~日本でも世界でも使える非接触ICサービスの普及を促進~
現在、iPhone 6への搭載が噂されているNFCチップはNXP製であるため、FeliCaとの互換性を持っている可能性は限りなく低く、やはりiPhoneでおサイフケータイを使うことは不可能と考えて良いでしょう。
※そもそも、このチップがNFC決済に対応しているかまではリリース文からは読み取れませんが・・・
iPhoneがNFCに対応するメリットってなに?
じゃあ、iPhoneがNFCに対応してもあまりメリットがないの?と思うかもしません。おサイフケータイに関してはその通りです。現時点では、ほとんどメリットはありません。メリットがあるとすれば、海外旅行時だと思います。海外ではNFCを使ったおサイフケータイが徐々に普及しており、ドコモは「iD/PayPass」、VISAが「Visa payWave」を提供しており、これらのサービスは日本のスマートフォンでも利用することが可能です。
いずれのサービスも現在は、Androidのみの対応となっていますが、iPhoneにNFCが搭載されるとなれば、もちろんiPhoneにも対応するものと思われます。
また、「Visa payWave」は日本でも利用可能であるため、将来的に対応店舗数が増えれば、日本でもNFCでおサイフケータイが広く使えるようになるかもしれません。
おサイフケータイ以外では、ワイヤレスのイヤホンやウェアラブル端末との接続がカンタンになるというメリットもあるかと思います。現在は、BluetoothでのペアリングやWi-Fiでの接続が基本となっていますが、どちらも接続に時間がかかりますし、何よりも手順がメンドクサイですが、iPhoneがNFCに対応すればワンタッチで接続が可能になります。
アップルは、「iOS 8」にて血圧や体重、摂取カロリー、消費カロリー、睡眠時間や睡眠状態などを確認できる健康管理アプリ「Health」を提供することを発表しています。血圧などはウェアラブルデバイスから取得することになりますが、ウェアラブルデバイスとiPhoneを接続する時にNFCを使うことで接続がよりカンタンになるというメリットも考えられますね。
日本でFeliCaが広く採用されている理由とは?
ここまで読んだところで、なぜ日本ではNFCが採用されておらず、FeliCaが広く使われているんだ?と思われる人が多数いるかと思います。「また、ガラパゴスかよと」
これにはきちんと理由があって、NFCがFeliCaよりも読み取り速度が遅いのが理由の1つです。
なんでも、1分で26人〜35人以上の乗客が改札を通過するロンドンの地下鉄をさばくことができなかったそう。
40~50の駅で1分に約26人がゲートを通過しており、ピーク時にこのレベルで人をさばく必要があるという。これを可能にするには、カードの読みとり時間が0.5秒を切る必要があるが、「現在のNFCではこのスピードに達しない」と語る。なお、ピーク時の利用者数が集中するシティ・オブ・ロンドンのBank駅では、ゲート1台あたりで1分間に35人以上が通過しているという。
引用元:ASCII.jp:ロンドン地下鉄がNFCでの乗車券サービスを始められない理由 (2/2)|末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢
海外を含めた列車の乗降客数ランキングにおいて、上位100の中に日本の駅が83駅もランクインしており、乗降客数では89.3%を日本の駅が占めるという調査結果が出ており、日本の駅では読み取り速度がとても重要になります。
日本のとある駅では1分で60人以上もの乗客が改札を通過すると言われており、NFCでこれをさばくことは不可能でしょう。
コンビニなどあまり速度を求められないところでは、将来的にNFCにも対応する可能性はあるかもしれませんが、おそらくSuicaなど交通系のおサイフケータイではこれからもFeliCaが使われることになるかと思います。
ということで、「iPhone 6にNFCが搭載されるかも!?ようやくおサイフケータイが利用可能に!」と伝えるところもありますが、NFCが搭載されたとしても日本で広く利用されているSuicaやEdyといったサービスが使えるわけではないのでご注意を。
※当記事では、用語の使い方を本来の使い方と便宜上変えている部分がありますが、ご了承くださいませ。
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