先日「ソフトバンクモバイルとイー・モバイルがデータ通信で協業。」とお伝えしました。要約すればソフトバンクモバイルがイー・モバイルの通信網をMVNOで借りてデータ通信サービスを始めるということです。
これはさすがにインフラ整備を放棄していると言われても仕方がないと思います。
MVNOの導入された意味とソフトバンクモバイルが批判される理由。
MVNOと言えば皆さんが頭に浮かぶのは「ディズニーモバイル」ではないでしょうか?ソフトバンクモバイルへのMVNOで携帯電話市場に参入をしました。MVNOが導入されるまで携帯電話市場に参入するにはインフラを自分で整える必要があり、莫大な費用がかかりました。そのため携帯電話市場への参入はとても高い壁になっていましたが、MVNOの導入によって参入する会社自身でインフラを整える費用が不必要となり、携帯電話市場へ参入する際の高い壁が取り除かれ、携帯電話市場に参入するキャリアが増え携帯電話市場が活性化するという狙いが総務省には合ったわけです。
ディズニーモバイルの様に携帯電話などのインフラを持たない会社がMVNOを利用すると携帯電話市場の活性化が見込めますが、ソフトバンクモバイルの様にインフラを持っている会社がMVNOを使用してしまうのでは携帯電話市場の活性化はあまり見込めません。
また、MVNOという制度は無限に利用できるわけではなく、MVNOを受け入れるキャリアの許容するトラフィックが超え、MVNOを受け入れるキャリアがなくなってしまえばMVNOで参入したい会社があっても参入ができなくなってしまいます。
ソフトバンクモバイルがMVNOを利用する理由。
ソフトバンクモバイルがMVNOを利用して始めようとしているサービスは「定額制のデータ通信サービス」です。定額制のデータ通信サービスというのはかなりのトラフィックがかかり、トラフィックが増えると携帯電話で通話やメールができなくなったり、パケット通信を利用しにくくなります。
ソフトバンクモバイルではこれを回避するために、イー・モバイルの通信網を借りて「定額制のデータ通信サービス」を始めようとしたわけです。(本当ならばインフラを整備してトラフィックに耐えられるようになってからサービスを始めるようなもんですが・・・。)
しかし、これに対して周波数免許を持つキャリアが他のキャリアの通信網を借りてMVNOになるというのはインフラ整備の放棄であり、責務を放棄しているのではないかという批判的な声がありました。
ウィルコムとソフトバンクモバイルの違い。
昨年、ウィルコムがMVNOでNTTドコモの通信網を借りてHSDPAを提供するという事象に関してはこういった批判の声はありませんでした。恐らくウィルコムがPHSサービスを、NTTドコモが携帯電話サービスを展開していた事が原因だと思います。
MVNOを利用して展開する前にインフラを整備せよ!
自社でサービスを展開できるようなインフラを持っていないという理由でMVNOを利用するならばわかりますが、自社でインフラを持っているにも関わらずインフラの整備をしようともしないでトラフィックの増加を避けるためにMVNOを利用するというのはインフラ整備を放棄しているととられて当たり前です。新たなサービスを生むようなMVNOの使い方をしてもらいたいです。