GoogleはPixelスマートフォン/タブレット向けに、ほかのAndroidよりも数ヶ月早い単位でOSアップデートを提供し、毎月1回(ほかは2ヶ月に1回)のセキュリティパッチを含むソフトウェアアップデートを提供しています。
今年10月に発売されたPixel 8シリーズでは、7年間にもおよぶ長期間のアップデートも保証したことによってアップデートに関するストレスはほぼなくなりました。
1つだけ残されているのは1回のアップデートが完了するまでの時間です。Androidのアップデートは明らかにiPhoneよりも長く、アップデートを始めると1時間かかることもあるため、早朝にアップデートが降ってきてもインストールをスキップしてしまう人も多いはず。
Googleはようやくこの問題を解消したようです。
3つの改善でシームレスアップデートを大幅短縮
Googleがアップデートシステムに改良を加えるのは2016年にリリースされたAndroid 7.0 Nougat以来のことです。
7年前のAndroid 7では、バックグラウンドで仮想のパーティションにアップデートをインストールしたのち、端末を再起動する際にメインのパーティションと切り替える「シームレスアップデート」が導入されたことによって、スマホを使えない再起動の時間が大幅に短縮されました。
シームレスアップデートの導入によって、アップデートの配信から数日が経過した後に通知を確認してアップデートを適用する場合ーーつまり仮想のパーティションにアップデートがインストールされた状態では、端末を再起動してパーティションを切り替えるだけでアップデートを適用できるため、待ち時間はそれほど長くありません。
一方で、携帯総合研究所でAndroidアップデートの配信速報を確認してすぐにアップデートボタンを連打してアップデートを開始しても仮想パーティションにアップデートをインストールする時間が必要になることから「デバイスを最適化しています。しばらくお待ちください」の画面を延々と見続けることになります。
ところがベータ版のAndroid 14では、シームレスアップデートにおけるインストール時間が大幅に改善されており、1時間どころか30分もかからなかったとの報告もあります。
これほどまでの劇的な改善をどうやって実現したのかーーAndroid Policeの創設者であるArtem RussakovskiiがGoogleに確認したところ、複数のアップデート処理を改善したことが明らかになりました。
1. Android now parallelizes compression operations. OTA installs require individually compressing thousands of small blocks. This was a 26% reduction in install time in Google's tests.
— Artem Russakovskii (@ArtemR) November 17, 2023
まず1つ目。Androidのアップデートをインストールする際には、数千もの小さなブロックを個別に圧縮する必要がありますが、Googleは圧縮処理を並列化することでアップデートにかかる時間を26%も短縮することに成功。
2つ目。例えば、4KBの書き込みを200回行うのではなく、800KBの書き込みを1回行うなど、複数の小さなブロック操作をバッチ処理することでインストールにかかる時間を24%短縮。最も効果の高い3つ目は、圧縮方式をGZから数倍速いLZ4に変更することでインストールにかかる時間を50%も短縮しました。
これら3つの短縮によって約25分かかるインストール時間がわずか6分に短縮されています。
圧縮方式以外の改善については、Androidパートナーが利用するAOSPにも適用されることから、Pixelデバイス以外のAndroidデバイスにおいてもアップデート時間が短縮されます。
最も効果の高い圧縮方式の変更については圧縮方式の変更はメーカー次第です。アップデートを重要視しているメーカーはLZ4を採用するかもしれません。
PixelデバイスにおいてもPixel 7シリーズ、Pixel 8シリーズ、Pixel Tablet、Pixel Fold、そして今後発売されるデバイスには適用されていることが確認されているものの、それ以前のデバイスについて圧縮方式の変更が適用されているかは確認されていません。
なお、今回のアップデートの高速化はあくまでもシームレスアップデートの改善であり、今使用している機種がシームレスアップデートを採用していない場合は効果がありません。
Googleは将来的にすべてのAndroidスマートフォンが採用することになると説明しているものの、シームレスアップデートはアップデートに積極的なSamsungさえも採用していませんが、今回のスピードアップによってシームレスアップデートを採用するメーカーが大幅に増えることに期待です。
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