ついにオンライン専用の新ブランド/新料金プランとしてドコモのahamo、ソフトバンクのLINEMO、auのpovoがスタートしました。
LINEMOとpovoはサービス開始時点からeSIMに対応しているため、ネットで契約してSIMカードの到着を待たずにすぐにサービスを使うことができます。
ただ、eSIMも良いことばかりではなくデメリットもあります。先陣を切ったLINEMOではeSIMのトラブルが多発。上級者や経験者であれば大丈夫との声もありますが、個人的には上級者や経験者であっても詰んでしまう独自のコンボがトラブル多発の原因だと思っています。
LINEMOでeSIMのトラブルが多発した理由
物理的なSIMカードは、カードを差し替えてAPNを設定するとサービスを利用できますが、eSIMの場合はQRコードをスキャンするなどしてeSIMのダウンロードが必要です。
このQRコードが使えるのは1回のみ。一度ダウンロードするとQRコードが無効化されるので、機種変更/買い替えの時や何らかの理由でeSIMを削除した時もeSIMの再発行が必要になります。
現在、LINEMOはeSIMを削除してはいけないことを手順に明記していますが、サービス開始日には記述がありませんでした。それほどeSIMを削除した人が多かったということでしょう。
当然ながらeSIMを削除した状態ではLINEMOの回線は使えません。
なぜeSIMを削除した人が多発したのか
eSIMを削除すると回線が使えなくなるにも関わらずなぜ削除したのか。
これはeSIMのダウンロードに加えてAPNの設定が必要になるLINEMOの仕様が関係しています。
APNが必要になるのは物理的なSIMカードでも同じことですが、キャリアのメインブランドではAPNの設定が不要なのでソフトバンクからLINEMOにのりかえた人は戸惑ったはず。
eSIMをダウンロードしただけではAPNが入っていないのでアンテナの表示は圏外or3Gになりますが、これに違和感を感じ、eSIMのダウンロードがうまくいかなかったのではないかと考えて、eSIMを削除→再ダウンロードしようと考えた人も多くいたようです。
eSIMの削除について最も申し込みが多くなるサービス開始日に十分な注意喚起がなかったことも原因の1つでしょう。
ちなみに、LINEMO同様にeSIMをサービス開始日から提供するauのpovoでは、iPhoneであればAPNの設定が不要なため、LINEMOほどeSIMのトラブルが多くなかったと予想されます。
AndroidユーザーであればLINEMOでもpovoでも変わりませんが、日本はiPhoneユーザーが多く特に最初に日本でiPhoneを発売したソフトバンクはiPhone率が高いので、LINEMOに乗り換えて戸惑ったユーザーもpovoよりも多かったはずです。
自分の場合は初期設定の手順サイトの仕様にやられました。eSIMをダウンロード後にiPhoneを再起動してSafariを開くとエラーページが表示されて続きの手順を確認できない状態に。LINEMOの申し込み手順書を作っていたこともあってイチからやり直すためにeSIMを削除しました。
誤ったサポートの対応
eSIMを削除したユーザーはLINEMOの申し込み後に送られてきたウェブサイトにアクセスしてeSIMの再ダウンロードを試みますが、無効化されているためダウンロードはできません。
そこでサポートに問い合わせが殺到するわけですが、チャットサポートの対応は「サーバーが混雑していることが原因。後で試して」というものでした。
自分の場合は再ダウンロードできないことはわかっていたので、なかなか繋がらない電話窓口に問い合わせて「eSIMを再発行してくれないか」と問い合わせると、電話中にメールが届いてその場でeSIMのダウンロードを試しましたが同じエラーに。
メールを確認するとeSIMをダウンロードするためのURLが同じ。そこで発行されたQRコードも無効になったものと同じだったので再送信ではなく再発行を依頼。それでもよくわかっていないのか、もう一度同じURLが送られてくるという無限ループ。
再度説明しても「サーバーが混雑していることが原因。後で試して」という一点張りだったのでサポートの対応を諦めて自力で解決することにしました。
eSIMを再発行できない仕様
サポートの対応は期待できなくなったので自力でeSIMを再発行するしかありません。調べてみるとマイメニューからeSIMを再発行できるとのこと。
ただ、マイメニューが利用できない。サポートに聞いたところマイメニューを利用するには回線の切り替えが必要とのこと。
eSIMを削除してLINEMOに接続できない状態で回線を切り替えればMNP前のサービスにも繋がらなくなりますが、このままではどうしようもないので回線を切り替えることに。
回線の切り替えを終えて、マイメニューにログインしようと思ったら初回のログイン時にはSMSに届く初期パスワードが必要とのこと。・・・すでに回線を切り替えたのでSMSはもう使えない・・・。初期パスワードをメールアドレスに送ってくれたら良いのに・・・。
ここで詰みました。さすがに回線の切り替えまでやる冒険者はレアだろうなと思っていたら結構いたようです。
詰んでしまったのでeSIMを再発行できるマイメニューの初回ログイン時のパスワードをメールアドレスに送る仕様に変えてくれるか、サポートに問い合わせてeSIMを再発行してくれるよう対応が変わるか、とりあえず待つしかありません。
対応がバラバラのサポート
自分のように複数の回線を持っている人は待てますが、1つしか持っていない人は当然待てません。
eSIMを再発行してくれとチャットサポートに問い合わせた人は多くいましたが「ここでは対応できないから電話窓口に問い合わせて」という対応に。各社、オンライン専用を謳っていますが、実質的には申し込みがオンライン専用であってサポートの大部分は電話に頼っている状況です。
そういうこともあって電話窓口はパンクしているため、数時間待たないと繋がらない状況。
ようやく繋がると電話窓口では申し込みのキャンセルを促されるわけですが、元の契約に戻れるかどうかは前の事業者に問い合わせが必要と説明され、言われたとおり問い合わせると今度はLINEMOに問い合わせてくれという無限ループに。
開始4日目になってようやくサポートの対応が変わります。
チャットサポートに問い合わせると、LINEMOから電話がかかってきて本人確認ののち、郵送でマイメニューの初期パスワードを送ってくれるように。ただし、サポートによって対応はバラバラで「そんな対応はしていない」「SMSによる本人確認ができた場合だけ郵送できる」(SMSによる本人確認が可能なら郵送は不要なんだけど・・・)ということも。
開始5日目には時間のかかる郵送ではなくメールアドレスでマイメニューの初期パスワード送ってくれるようになりますが、これも担当者によって対応がバラバラ。対応してくれる担当に当たるまでチャットや電話窓口に問い合わせるという状況が続いています。
eSIM上級者でも回避できないLINEMOコンボ
こういった流れをうけてLINEMOはeSIMを契約する際に“上級者向け”の説明を追加したわけですが、確かに上級者向けではあるものの上級者やeSIM経験者であれば詰まないのかと言われるとそうでもありません。
LINEMOのeSIMと他社のeSIMでは仕様が違うからです。そしてこの仕様の違いがトラブル多発の原因になっています。
LINEMOでeSIM削除トラブルが起きた原因はAPNの設定が必要になること、サポートの対応が誤っていたりバラバラでユーザーが混乱したこと、eSIMの再発行ができなくなる仕様です。
なかでも1番の問題は、eSIMの再発行はマイメニューから→マイメニューを利用するには回線の切り替えが必要→回線を切り替えるとサービスが利用不可に→マイメニューの初回利用時にはSMSで送信した初期パスワードが必要→eSIMの再発行ができなくなるというコンボです。
このコンボはいくらeSIM上級者であってもLINEMOの仕様を知らない限りは回避できません。「eSIMを削除しなければいいだけ」という声もあって確かにそのとおりですが、他社に先駆けてeSIMを提供した楽天モバイルでは、eSIMの削除を意識することなく楽天IDでmy楽天モバイルにログインしてスムーズにeSIMを再発行できるので、eSIM経験者とてLINEMOコンボの存在を知らない限りは詰むことがあります。
契約時だけでなくスマートフォンを買い換える時も同じようなことが起こり得ます。
買い替え時はマイメニューにログイン→eSIMを再発行→新端末にeSIMをダウンロード→回線を切り替える→APNをダウンロードという流れですが、マイメニューのパスワードを忘れた場合もLINEMO回線のSMSにパスワードを送信する仕様なので、旧端末を下取りに出すなどして初期化したり手元にない場合はパスワードが受け取れないため同じようにeSIMを再発行できず詰みます。
初期パスワードやパスワードを忘れた時にSMSで送信する仕様は早急に変更すべきでしょう。
また、LINEMO、povoともにeSIM再発行には時間制限があり、povoのeSIM再発行は電話対応のみ(新型iPhone発売日は回線パンク必至)で、良いSIMというよりは残念なSIMという感じ。eSIMで回線を選ぶのであればトラブルのない楽天モバイル一択です。
#LINEMO はMyMenuからeSIMの再発行可能だけど、9時〜21時の時間制限あり#povo のeSIM再発行はまず電話してねという仕様#ahamo はサービス開始時eSIMなし#楽天モバイル はmy楽天モバイルから24時間再発行可能
— Yusuke Sakakura🍎携帯総合研究所 (@xeno_twit) March 23, 2021
eSIMなら楽天モバイルだね。