Googleが軽量化と新形状によって持ちやすくなったボディに最新のGoogle Tensor G3チップ、画期的なAI機能、直射日光でも明るくなめらかに動作するActuaディスプレイを搭載したPixel 8を発売しました。
Pixel 8の発売以降も在庫がなくなるまではPixel 7も販売が続くため、最新のPixel 8を購入するのか安いPixel 7を購入するのか悩んでいる人、発表されたばかりのPixel 8が前作からどれぐらい進化したのか気になる人も多いでしょう。
この記事では、最適なPixelスマートフォンを選ぶために必要な「Pixel 8」と「Pixel 7」の違いをまとめて比較しました。ぜひ購入の参考にしてください。
目次
「Pixel 8」と「Pixel 7」の違いを比較
Pixel 8 | Pixel 7 | |
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デザイン | ||
カラー | ObsidianHazelRose | ObsidianSnowLemongrass |
材質 |
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価格と容量 |
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大きさ |
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重さ | 187 g | 197 g |
ディスプレイ |
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メインカメラ |
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フロントカメラ |
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写真機能 |
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動画機能 |
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チップ |
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メモリ | 8GB | 8GB |
電池持ち |
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ワイヤレス充電 |
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5G | Sub6 | Sub6 |
SIM |
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Wi-Fi |
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Bluetooth | 5.3 デュアルアンテナ | 5.2 および デュアルアンテナ |
FeliCa | ○ | ○ |
防水・防じん | IP68 | IP68 |
USB Type-C | 3.2 Gen 2 | 3.2 Gen 2 |
生体認証 |
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センサー |
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アップデート保証 |
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パッケージ内容 |
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デザインとカラー
カーブエッジの背面ガラスに賛否あるカメラバーなど、Pixel 8とPixel 7は同じデザイン言語を使用しているため、よく似ています。
わずかな違いはPixel 8の方が丸いこと。
これは外観の違いだけでなく、持ちやすさを改善するもので、角の丸いPixel 8は深く握り込めるため、片手でも操作しやすいはず。
カメラバーもガラスの面積が拡大して存在感が増しています。ガラスが大きくなった理由は超広角レンズの視野角が大幅に広くなった影響かもしれません。
ボディの素材はどちらも同じマット仕上げアルミニウム製フレームとGorilla Glass Victus、IP68等級の防水・防じんを備えるなど耐久性に大きな違いはなし。
カラーはPixel 8がObsidian(黒)、Rose(赤)、Hazel(灰色)の3色。Pixel 7はObsidian(黒)、Snow(白)、Lemongrass(黄)の3色から選べます。
大きさと重さ
Pixel 8は、片手でも快適に操作できる幅70mmです。高さもPixel 7に比べて5mm短くなったことでステータスバーにも指が届きやすくなりました。
重さは197gのPixel 7から10g軽量化されました。劇的な違いはないまでも、手に取った時にやや違いを感じるはずです。
ディスプレイ
Pixel 8シリーズのディスプレイは大幅にアップグレードされ、AIカメラに次ぐ魅力になっています。
今回からActuaブランドを冠したディスプレイは、最大120Hz/最小60Hzのリフレッシュレートに対応したことで、ゲームや動画などのコンテンツ、スクロール、アニメーションがなめらかに表示されるようになりました。
Pixel 7は最大90Hzだったので、1秒間に画面が更新される回数が最大で1.5倍に向上しています。
なお、画面の更新回数が増えると消費電力も大幅にアップしますが、Pixel 8は画面をそれほど頻繁に更新しなくても良い場面ーー例えば、写真を表示しているとき、電子書籍を読んでいるとき、常時表示機能オンでロック画面を表示している時は画面の更新回数を最小60回に減らすことで過剰にバッテリーを消費しないように設計されています。
Actuaディスプレイ最大の特徴は画面の明るさです。
ピーク輝度はPixel 7の1400から2000ニトにアップ。1750ニトのGalaxy S23 Ultraを超え、iPhone 15 Proに肩を並べるなど、プレミアム価格帯と同じ明るさ。屋外でマップを使って目的地を確認したり、カメラで撮影したり、動画を視聴する時も快適です。
なお、画面サイズはPixel 7が6.3インチ、Pixel 8が6.2インチで大きな違いはありません。解像度も同じです。
カメラ
カメラはどちらも50MPの広角レンズと12MPの超広角レンズで構成されるデュアルカメラを搭載しています。
レンズの性能はPixel 8の方が高く、広角レンズは多くの光を取り込める絞り値 ƒ/1.68。超広角レンズは100%以上も多くの光を取り込めるようになり、視野角が10°以上も広く、オートフォーカスに対応しているためクリアな撮影が可能です。
また、Pixel 8だけで利用できる画期的な写真機能や動画機能も豊富に用意されています。以下にまとめます。
写真機能
最も注目される新機能の1つが「ベストテイク」です。
Pixel 8がベストな表情をいくつか提案して好みのものを選択するだけで顔を交換できます。例えば、カメラ目線でない顔、まばたきしている顔などを交換することで残念な写真を減らすことができます。
今年のGoogle I/Oで披露されて多くの人の度肝を抜いた「編集マジック」にも初めて対応します。
編集マジックは選択した被写体を好きな位置に移動させたり、サイズを大きくしたり、小さくしたり、消しゴムマジックのように不要なものを削除することも可能。空の色を変えることで昼間撮影した写真をサンセット風に仕上げることもできます。
マクロフォーカスに対応した超広角カメラでは接写撮影も可能。
ハイライトをより明るく、シャドウをより暗く、鮮やかな色で写真を表現するウルトラHDRでの撮影もサポートします。なお、ウルトラHDRで撮影した写真はすべてのデバイスで表示できるわけではなく、HDR対応のディスプレイ、OS(Android 14は対応済み)/ブラウザのサポートが必要です。
動画機能
動画では風の音などの邪魔なノイズを低減して、強調させたいメインの音を際立たせる「音声消しゴムマジック」が利用できます。
#Pixel8 音声消しゴムマジック🪄 pic.twitter.com/X653Cjp1SG
— Yusuke Sakakura🍎携帯総合研究所 (@xeno_twit) October 15, 2023
さらに、これまで写真に限定されていた多数の人気機能も動画に移植されます。
Pixel 7では露出(明るさ)を一括でしか調整できませんが、Pixel 8では暗い部分と明るい部分を個別に手動調整できる「デュアル露出補正」に対応。暗いところを明るく、明るいところは暗く調整することができます。
また、マクロ動画撮影や評価の高い肌の色を忠実に再現する「リアルトーン」にも新たに対応しました。
性能
Pixel 8には最新のGoogle Tensor G3が搭載されています。
これまでよりも高度な機械学習を高速で実行できるようになり、Googleアシスタントが会話の間や「えー」「あのー」といった間をつなぐ言葉を理解できるようになったことで、より自然な会話が可能に。
機械学習の進化によって顔認証のセキュリティレベルも向上したことで画面ロックの解除だけでなく、銀行系アプリの起動やパスワード管理アプリ、決済アプリといった重要な情報にアクセスするためのアプリでも使用できます。
チップの基本性能を比較したところ、Pixel 7のTensor G2に対して、Pixel 8のTensor G3はCPUが最大15%、GPUが最大25%向上しています。前作から性能アップしているものの、多くのフラグシップAndroidスマートフォンに採用されているSnapdragon 8 Gen 2からは大きく引き離されています。
残念なのはPixel 8 Proと同じチップを搭載しながらも、Googleの新しい高性能AIモデル「Gemini nano」をサポートしていないことです。
電池持ち
Google Tensor G3は電力効率も改善されているようで電池持ちも向上しています。
バッテリー容量はPixel 8が4,575mAh、Pixel 7が4,355mAh。電池持ちはどちらも24時間以上と案内されています。
24時間以上の電池持ちはスマートフォンの機能を大幅に制限するスーパーバッテリーセーバーをオンにした時のものでまったく参考にならないので、電池持ちの報告を行なっているメディアのレビューを引用しましょう。
Android PoliceはPixel 8の電池持ちを「素晴らしい」と評価しています。
ヘビーに使っても1日が終わる前に電池残量がゼロになることなく、Wi-Fiに接続していた日の画面オンの時間は6時間30分を記録。旅行で電波状況が悪い場所で過ごした時でさえも電池持ちは1日を超え、画面オンの時間が5時間50分を記録したと報告しています。Pixel 7は最高でも5時間だったとのことで電池持ちは大幅に改善されていると言えます。
さらに、9to5Googleは、午前7時から利用を開始すると23時または0時には電池残量が30%以下に低下するとして1日使用が可能と報告しています。チャンネル登録者が1800万人を超えるMKBHDも電池持ちがとても良いと評価しています。
ちなみに、画面オンの時間とは、ゲームを含むディスプレイのタップ操作やスクロール操作や動画を視聴しているときなど、画面が点灯している時間が計測されるもので、5時間を超える場合は電池持ちが優秀と言えます。例えば、筆者がバッテリーモンスターと評価したGalaxy S23 Ultraは、500枚以上の写真撮影や15分のYouTube視聴、Googleマップを使ったスポット検索と乗換案内、Samsung Notesでメモ書きなどを行なって5時間20分を記録しました。
急速充電とワイヤレス充電
USB-Cケーブルを使った充電では、Pixel 7の最大20出力に対して、Pixel 8は27W出力による急速充電に対応。
別売りの「Google 30W USB-C 充電器」を使用した場合、どちらも30分間で50%まで充電できます。発売後の検証ではPixel 8が約80分間でフル充電できることが確認されています。これはPixel 7に比べて約20分も早い充電時間です。
Google純正の充電器以外を選ぶ場合はPPS・30W出力・USB PD対応の充電器を購入しましょう。単ポートであれば、折りたたみ式のプラグを搭載した超コンパクトサイズで持ち運びも便利な「Anker 511 Charger」がおすすめです。
ワイヤレス充電は最大12W出力に対応しています。
Pixel Stand(第2世代)では、最大20W出力のPixel 7に対して、Pixel 8では最大18出力で充電できます。なぜか対応出力がダウンしています。
残念ながら2023年末から対応製品が登場し始める次世代のワイヤレス充電規格「Qi2」には対応していません。
Qi2はマグネットを活用することで、スマートフォンに内蔵された充電コイルと充電パッドをピタッと正確に吸着させて、ワイヤレス充電特有の問題である“位置ズレ”による効率を低下させることなく充電できる標準規格です。
Wi-Fi 7(日本では6E)
Pixel 8はWi-Fi 7をサポートしています。
Wi-Fi 7は通信速度がWi-Fi 6Eの9.6Gbpsから4.8倍となる最大46Gbpsに超速スピードに対応。遅延が最大1/100になり、複数の帯域(2.4GHz/5GHz/6GHz)を同時利用するマルチリンクに初めて対応することで通信の信頼性も向上します。
ただし、Wi-Fi 6Eが認可されたばかりの日本に投入されるモデルはWi-Fi 7非対応となっています。もし、ハードウェアは対応していてソフトウェアで制限しているのであれば、正式に認可された際に、アップデートによってWi-Fi 7に対応するかもしれません。
7年間のアップデート保証
Pixel 8とPixel 7の最も大きな違いの1つはアップデート保証の長さです。
Pixel 7は発売から3年間のOSアップデートと5年間のセキュリティアップデートをサポートしており、保証期間は2025年10月で切れます。
Pixel 8はOSアップデート、セキュリティアップデート、3ヶ月に一度の機能追加アップデート(Feature Drop)をそれぞれ7年間保証しているため、2030年10月まで最新の状態で使い続けることができます。
5年も長く利用できますが、おそらくOSアップデートを重ねるごとにPixel 8では利用できない新機能が増えていくことが予想されます。
価格と容量
Pixel 8のGoogleストア価格は112,900円から。Pixel 7は82,500円だったので、30,400円も値上げされました。
Googleストアに加えて、ドコモ、au、ソフトバンクからも購入できます。
キャリアから購入するメリットは「端末購入サポートプログラム」で購入すると、端末を返却することで機種代金の大部分を支払い不要にできることです。
例えば、各種条件を満たすと負担金数十円で購入することも可能です。
詳しい機種代金や負担金、割引や料金プラン込みの支払額はこちらの記事でまとめているので、ぜひチェックしてください。
どの容量を買えば良い?
容量はほとんどの人が128GBで十分ですが、写真や動画をたくさん撮る人は256GB以上の容量が必要です。
現在使っているスマートフォンの容量と使用済みの容量を確認して決めましょう。以下の手順で確認できます。
まとめ:Pixel 7からPixel 8に買い替えるべき?
Pixel 8は最新のGoogle Tensor G3を搭載することで、基本性能だけでなく高度な機械学習による各種音声機能の向上に加えて、画期的なAIカメラ機能に対応した機種です。
撮影後に残念な表情をベストな表情と交換できるベストテイク、被写体を自然に移動できる編集マジック、動画のノイズを抑えられる音声消しゴムマジック、100%以上も多くの光を取り込めるようになりマクロ撮影/マクロ動画にも対応した超広角レンズも備えています。
機械学習を中心に性能の優れたチップ、画期的なAIカメラ機能、なめらかで屋外でも明るいディスプレイ、軽量で持ちやすい新形状のボディ、画面ロック以外でも使える強固な顔認証、そして7年にも渡る長期間のアップデート保証に価値を感じるのであれば、下取りを利用して84,900円で買い替えを検討しても良いですが、「買い換えるべき」というほどでもありません。