Pixel 9aのGemini Nanoは小規模なAIモデル→Pixelスクリーンショットなど非対応か


Googleが4月中に発売予定の手ごろな価格のスマートフォン「Google Pixel 9a」は、AIとチャットすることで、優れた回答を得られるGeminiをはじめとした多数のAI機能に対応しています。
AIと音声で自然な会話ができ、カメラの映像や表示中の画面内容を共有できる「Gemini Live」、複数の写真をAIが合成して簡単に集合写真が撮れる「一緒に写る」、写真の見切れた部分や重要な構図をAIが補正する「オートフレーム」、そして日本でも提供が始まったAI画像生成アプリ「Pixelスタジオ」などが含まれます。
一方で、AIがスクリーンショットを自動解析して整理し、アプリで検索できる「Pixelスクリーンショット」など、一部の機能は利用できない可能性があります。
安価なGemini Nano対応モデル
Pixel 9aは、500ドル以下の価格帯で初めて「Gemini Nano」に対応したモデルです。
Gemini Nanoを搭載することで、パーソナルな情報をクラウドに送ることなく、スマホ内部に留めた状態で高度なAIを活用してさまざまな機能を提供します。
例えば、レコーダーアプリの要約機能やGboard・Googleメッセージ・コールスクリーニングのスマートリプライ、天気予報アプリのAIレポートはGemini Nanoによって実現されている機能です。
さらに、テキストだけでなく画像や音声も理解できるGoogle Tensor G4のGemini Nanoでは、PixelスタジオやPixelスクリーンショット、録音した音声通話の要約機能「通話メモ」に対応しています。
Pixel 9aのメモリ容量は“わずか”8GB

Pixel 9aもGoogle Tensor G4のGemini Nanoを搭載していますが、AIにとって最も重要なメモリ容量はわずか8GBです。
1-2年前まで8GBのメモリは“わずか”と表現されることはありませんでした。
しかし、オンデバイスAIの飛躍的な向上とともにメモリも急速な増量傾向にあります。上位モデルのPixel 9 / 9 Pro / 9 Pro XL / 9 Pro Foldが12GBまたは16GBのメモリを搭載していることを考えれば、“わずか”と表現されてもおかしくありません。
実際、8GBのメモリを搭載したPixel 8も「ハードウェアの制限」を理由に、当初はGemini Nanoに対応しないと発表されたものの、批判を受けたあとに開発者メニューから有効化する形で提供されました。
AppleのAIツール「Apple Intelligence」も8GBのメモリを対応基準としていることを考えれば、オンデバイスAIを提供するための最小容量ともいえます。
Pixel 9aが採用するGemini Nano 1.0 XXSとは?
Ars Technicaは、Pixel 9aではこの小さなメモリ容量が原因で、GoogleがAIモデルを「Gemini Nano 1.0 XXS」に縮小せざるを得なかったと報じています。
これはPixel 9に搭載されている「Gemini Nano 1.0 XS」よりも小規模なAIモデルであることを意味します。
極小規模なAIモデルの制約
極小規模なAIモデルを搭載するPixel 9aには、いくつかの制約があります。
1つはバックグラウンドで常時動作せず、必要になったときにAIモデルがメモリに展開されるため、レスポンスがやや遅くなる可能性があるとしています。
また、マルチモーダルに対応していないことから、画像や音声も処理できないとのこと。
これにより、Pixel 9aはスクショの分析が必要な「Pixelスクリーンショット」や、音声の解析が必要な「通話メモ」には対応しておらず、詐欺電話の検出機能にも対応していない可能性があると指摘されています。



一方で、レコーダーアプリの要約機能には対応しています。
これは、AIが直接音声を解析するのではなく、まずアプリが音声を文字起こしを行い、そのテキストをGemini Nano 1.0 XXSが要約する仕組みになっているためです。
画像生成AIアプリの「Pixelスタジオ」はなぜ利用できる?

テキストから画像を生成する「Pixelスタジオ」にも対応するのも同じような理由でしょう。
Pixelスタジオは、Gemini Nanoと画像生成のクラウドAIモデル「Imagen 3」を組み合わせたAIアプリですが、ユーザーが入力したテキストはGemini Nanoが処理するため、Pixel 9aのGemini Nano 1.0 XXSでも問題なく機能すると考えられます。
であれば、Pixel 8もPixelスタジオに対応できるはず、、、そんな簡単なものではないのか、それともただの戦略なのかもしれません。
Pixel 9aは、Gemini Nanoに制約があるものの、500ドル以下という低価格ながらPixelスタジオのような最新のAIアプリもできます。
ただし、上位モデルのPixel 9シリーズに比べて、提供されるAI機能には違いがあります。このような傾向は年々強くなっていくのかもしれません。

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