スマートフォン各社はデフォルトの検索エンジンを選ぶことができますが、Appleも含めて多くのメーカーがGoogleを選択しています。
その理由は検索エンジンの精度や通常は検索結果から各サイトにアクセスする必要がある情報を検索結果に表示することで求めている情報をすぐに確認できたり、Googleマップなどを含めた自社サービスとの連携といった利便性のほかに、Googleが各メーカーに多額の費用を払っていることも大きな理由の1つです。
SamsungはGalaxyスマートフォンにおいてデフォルトの検索エンジンをGoogleからMicrosoftのBingに変更することを検討していると報じられましたが、結局はGoogleから変更しないことを決めたようです。
Googleは年間30億ドルをSamsungに支払っている
Samsungがデフォルト検索エンジンの変更を検討した理由はBingにテクノロジー業界で今最もホットなChatGPTの技術が活用されたことが大きく関係しているはずです。ChatGPTが活用されたBingに変更するインパクトは大きく、世界中のメディアが取り上げてGalaxyスマートフォンにも大きな注目が集まり、ユーザーの利便性向上にもつながるかもしれません。
しかし、The Wall Street Journalは、Samsungがデフォルトの検索エンジンをBingに変更せず、現状維持することを決めたと報じています。
理由はGoogleとの関係を維持するため。
というのもSamsungはGoogle独自のチップセットGoogle Tensorの製造を行っているだけではなく、モデムやカメラセンサーなどPixelスマートフォンに多くのSamsung製ハードウェアが搭載されています。先日発売されたPixel 7a、来月から販売がスタートするPixel Fold、Pixel Tablet、今年秋に登場するPixel 8、Pixel 8 ProにSamsungが広く関わっています。
仮にSamsungがデフォルトの検索エンジンをBingに変更した場合、GoogleがチップセットのメーカーをTSMCに変更し、カメラセンサーをソニーに変更する報復のような行為に出るかもしれません。もしかすると、Bingを提供するMicrosoftが自社の折りたたみスマートフォンSurface DuoシリーズにSamsungの部品を多く採用するかもしれませんが、Samsungにとってそれほど旨みがないのは明らかです。Surface DuoとGoogle Pixelでは出荷台数に大きな違いがあります。
もう1つの大きなデメリットには、Googleから得られる年間30億ドルの収益がなくなってしまうこともあげられます。これは冒頭でも書いたようにデフォルトの検索エンジンをGoogleに設定することでSamsungが得られる収益です。
なお、GoogleはAppleに対しても90億ドル〜120億ドルを支払っています。
両者の契約は今年切れるようですが、Googleの支払額が大きくなるのか、それともiPhone、iPadなどApple製品のデフォルトの検索エンジンが変更されるのか時期が近づけばまた新たな報道が出てくるでしょう。
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