コード決済普及でもおサイフケータイは必要? OPPOが語る「データで見えない必要性」と日本市場の「100点からの減点方式」
Yusuke Sakakura
Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

おサイフケータイ、本当に必要?——QRコード決済が普及した昨今、日常の買い物だけでなく、駅の改札でもQRコードを使った乗車サービスが普及し始めています。
さらに、コストの上昇やグローバル版との差異による日本発売の遅れ、アップデートの負担増加、、、こうした背景から、あえておサイフケータイを非搭載とするメーカーも増えています。
そんな中で発表されたOPPOの最新フラグシップモデル「OPPO Find X9」が、Find Xシリーズ初となるおサイフケータイに対応しました。
なぜ今、あえてコストと時間をかけてまで搭載を決断したのか。その理由について、オウガ・ジャパン専務の河野氏がデータからは見えてこない、おサイフケータイの必要性と、日本市場特有のシビアな評価基準である”100点からの減点方式”について語りました。
データでは測れない、おサイフケータイの価値
Find X9の発表後に行われたグループインタビューで、おサイフケータイの需要について聞かれた河野氏は、公表データを踏まえつつ、利用回数については「それほど多くはないと思う」と率直に語りました。
実際、経済産業省の調べによると、決済額ベースではQRコード決済が電子マネーを上回り、すでに倍以上の規模に成長しています。また、MMD研究所の調査でも、普段利用している支払い方法は、QRコード決済が46.7%であるのに対し、非接触型の電子マネーは31.1%にとどまります。

いずれの調査においても、おサイフケータイが含まれる電子マネーの存在感は年々低下しています。需要が低下する機能と引き換えに、コストアップや発売タイミングの遅れといったデメリットを受け入れず、おサイフケータイに対応しないことを選択するメーカーがいるのも不思議ではありません。
それでも、河野氏は「データだけ見てもFeliCaの必要性は見えてこない」と述べます。
使わなくても、使える安心
6年前、OPPOはおサイフケータイに対応したReno Aを発売しました。

当時、SIMフリーのスマートフォンでFeliCaを搭載する海外メーカーはまだ多くありませんでした。それでも対応に踏み切ったのは、10年、15年と長く信頼して使ってもらうメーカーになるために、何が必要かを考えた結果だったといいます。それはユーザーの声を聞いて製品に反映することです。
そして近年、機能が増え、複雑化するなかで、OPPOはあらためて「現代のスマホに求められるものは何か」と原点に立ち返り、フラグシップの意味を再定義。その中で導き出された答えが「安心して使えること」でした。
河野氏は、おサイフケータイ対応のスマホを購入し、結果的に使わなかったとしても、いざ必要になったときに使えない不安がないこと、そして「載っていて安心」と感じてもらえることが、大切だと語ります。
使われなくても選ばれるために、減点方式の日本市場
加えて河野氏が語ったのは、日本市場の「目の厳しさ」です。
端末の評価において、海外ユーザーは70点を基準点に加点・減点を行うのに対し、日本のユーザーは100点からの減点方式であり、主要な機能を漏らさず対応しないと、選ばれる存在にはならないとのこと。
海外の方は評価の点数が70点ぐらいから始まってそこから上がったり、下がったりすることが多いですが、日本市場においては100点からスタートする。あれがない、これがない、これも使えない、こういうことが残念だ、といったことがよくある話。「日本で販売する以上はおおまかな機能としては、やはり100点満点をとっていないと、お客様から選ばれる存在にはなれないよ」といった話を本社とはずっとしていました。
また、筆者の感覚として、キャリア採用になった途端におサイフケータイに対応するというケースも珍しくないと感じます。
今回auの通常ラインナップに入ったことも、おサイフケータイ対応に関係しているのではないか?とも考えましたが、河野氏は「auに採用されたから(FeliCaを)つけたとかそういうことではない」「私どもの努力が認められた結果、採用されたと思っている」と、否定しました。
決済額や利用率といったデータだけを見れば、おサイフケータイの存在感は以前より小さくなっているのは確かです。
それでも減点方式の日本市場では、「どれだけ使われているか」だけでなく、「いざというときに使えない不安がないか」も、端末選びにおいては重要な判断軸になっているのかもしれません。





















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