スマートフォンの機種代金が10万円を超え、割引が上限2万円に制限されたことで、Androidのハイエンドモデルが売れなくなった今、最もアツいのは4〜5万円で購入できるミドルレンジのスマートフォンです。
注目度の高いミドルレンジスマホの発売が集中する季節は夏。すでにXiaomiが「Redmi Note 11 Pro 5G」を発売し、モトローラが「moto g 52j 5G」を発売。さらに、Googleが「Pixel 6a」を7月28日に発売する予定です。
世界4位のスマホシェアを誇る中国メーカーOPPOも、指原莉乃さんをテレビCMに起用(現在は降板)して認知度を一気に拡大し、シリーズ累計130万台の出荷台数を誇るReno Aシリーズの最新モデル「OPPO Reno7 A」をきょう23日に発売しました。
この記事では、おサイフケータイや防水・防じんといった日本で需要の高い機能に対応しながら、36ヶ月後も快適に使えるとアピールする「OPPO Reno7 A」のデザインや便利な機能、電池持ち、性能・ベンチマークスコア、カメラをレビュー・評価します。
目次
- デザイン:フラットフォルムに一新。独自の背面加工で高い質感も
- ディスプレイ:有機ELで画質大幅向上。Reno Aシリーズ史上最強に
- 電池持ち:安心の電池持ち。電池劣化の防止機能も
- カメラ:動画性能が大幅低下。4Kにも非対応
- パフォーマンス:Apexモバイルは快適にプレイできる?
- サポート:36ヶ月後もサクサク操作できる?OSアップデートは?
- まとめ:熾烈な争いの4万円スマホ。OPPO Reno7 Aを選ぶ理由は?
デザイン:フラットフォルムに一新。独自の背面加工で高い質感も
OPPO Reno7 Aは、おサイフケータイや防水・防じんといった機能だけでなく、「色」「質感」「形状」といったデザインも日本市場を調査した上で、製品に反映されています。OPPOによれば、“必ず一度は耳にしたことがある”という日本のデザイン会社とも協力したとのこと。
調査の結果、ボディの形状はReno Aシリーズ3世代にわたって続いていた丸みのあるラウンドフォルムからトレンドを取り入れた直線的なフラットフォルムに一新されたことで、スタイリッシュな見た目に生まれ変わっています。
最大の特徴は独自の背面加工「OPPO Glow」で、指紋などの汚れが目立たないマット仕上げに、光が当たると“星空のように”キラキラ輝きます。
なお、歴代のReno Aシリーズで背面に搭載されていた指紋認証センサーは、ディスプレイ内蔵式に変更。控えめが嬉しい2色のグラデーションカラーが用意されています。
OPPO“が重要な課題”とするサイズと重さも前世代のReno5 Aに比べて0.6mm薄く、7g軽く改善。
画面サイズのわずかな変化によってコンパクト化され、片手でしっかり握れる大きさですが、横幅73.4mmのボディは片手操作が快適とは言えません。
ディスプレイ:有機ELで画質大幅向上。Reno Aシリーズ史上最強に
画面の大きさはゲームも動画も快適に楽しめるビッグサイズの6.4インチです。
ディスプレイの半分ぐらいに指が届くサイズ感で、片手で快適に操作するには画面を縮小表示する「片手モード」が必要です。ただ、片手モードはホームボタンのダブルタップやジェスチャー操作では起動できず、クイック設定パネルから起動しなければいけないのが残念。アプリの使用中は両手操作で片手モードを起動する必要があります。OSアップデートでの改善に期待したいところです。
片手操作を支援する機能として「スマートサイドバー」を利用できます。
画面の端に表示された小さなバーを中央に向かってスワイプすることで、あらかじめ登録したお気に入りにアプリやツールをショートカット起動(フローティング形式→単体表示、画面分割で起動可能)できます。残念ながらこの機能は片手モードには対応していません。
OPPO Reno5 Aはいずれも液晶ディスプレイでしたが、最新機種では有機ELにアップグレードされました。真の黒を表現できるため、映像の濃淡表現が豊かになり、色の発色も向上したことで表現力は大幅に向上しています。
画面の明るさは最大600ニト。残念ながらレビュー期間は天気に恵まれなかったので検証できていませんが、1200ニトのRedmi Note 11 Pro 5Gに比べて半分の輝度で、日差しの強い日に屋外で使うと画面が見づらいことが予想されます。
ディスプレイを保護する強化ガラスには、素材の会社でおなじみのAGC製「ドラゴントレイルスター2」を採用したことで、Reno5 Aに比べて強度が2倍に向上し、キズや割れに強いReno Aシリーズ史上最強のディスプレイになっています。
電池持ち:安心の電池持ち。電池劣化の防止機能も
バッテリーはReno5 Aから500mAh増量した4,500mAhを搭載しています。それでもライバル機種のRedmi Note 11 Pro 5Gやmoto g 52j 5Gの5,000mAhより少なめです。
実際の電池持ちはどうなのか自動明るさとリフレッシュレート90Hzをオンにした状態で検証してみました。
朝10時すぎに利用を開始。Apexモバイルをプレイしたあと、電車移動中にTwitterやInstagramなどソーシャルメディアを利用したところ13時までに100%から80%に。その後、Googleマップで乗り換え検索やスポット検索、約150枚の写真を撮影すると18時までに60%に減少。Apexモバイルをプレイして50%まで減少しました。
割とヘビーに約8時間利用して50%の減少だったので、日常利用なら1日は余裕で電池が持つと思います。
OPPO Reno7 Aの大きな特徴が“36ヶ月サクサク使える”ということで、バッテリーの劣化と寿命も気になるところですが、充電パターンを学習して充電スピードと充電量を制御することでバッテリーの劣化を防ぐ機能も搭載されているので安心。夜間になると80%で充電量がストップすることを確認しました。
この機能は設定画面でオフにすることも可能。6,500円を支払えばバッテリーの交換もできます。
充電はUSB PDによる18Wの急速充電に対応。30分の充電で35%に到達し、1時間の充電で60%、2時間でフル充電になりました。遅くも早くもない平均的なスピードです。なお、充電器は同梱されていないので別途購入が必要です。
カメラ:動画性能が大幅低下。4Kにも非対応
カメラは広角+超広角+マクロレンズの3眼仕様です。前世代のReno5 Aは、広角+超広角+モノクロ+マクロレンズの4眼仕様だったので、モノクロレンズが1つ減っています。
さらに広角レンズの画素数が64MPから48MPに低下。動画撮影は4K、1080p/60fps、720p/60fpsに非対応。スローモーション撮影においてもフレームレートが最大120fpsにダウン、解像度もフルHDからHDになるなど、動画の撮影性能は大きく低下しました。
一方、カメラ機能は、お気に入りの作品の色調に合わせて思い出の一枚をより美しく仕上げる新機能「AIパレット」や背景の街明かりを玉ボケさせる「ネオンポートレート」がフロントカメラでも利用可能になっています。
OPPO Reno7 Aのカメラ作例
OPPO Reno7 Aのカメラで撮影した写真が以下です。
パフォーマンス:Apexモバイルは快適にプレイできる?
チップセットは6nmプロセス製造のSnapdragon 695 5G、メモリは6GBを搭載するなど、Redmi Note 11 Pro 5Gやmoto g 52j 5Gなどライバル機種と同じ構成です。
スマートフォンの性能を数値化するベンチマークスコアをGeekBench 5で計測したところ、シングルコアが600後半、マルチコアは1900後半を記録。2018年〜2019年に発売されたフラグシップモデルと同等の性能です。
さらに、快適なゲーム体験に関わる描画性能を3D Markで計測したところ、瞬間的な描画性能を計測できるWild Lifeは1200前後を記録。長時間の描画性能を計測できるWild Lifeのストレステストはベストが1210、ローが1200で発熱による性能低下はほぼありません。
高い処理能力を要求するゲームアプリ「Apex Legends Mobile」もおおむね快適にプレイできますが、描画性能が低いため、グラフィックがスムーズに表示されないこともあります。
OPPO Reno7 A | Redmi Note 11 Pro 5G | |
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チップセット | Snapdragon 695 5G | Snapdragon 695 5G |
Geekbench 5 |
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Wild Life | 1,200前後 | 1,200前後 |
Wild Life Stress Test |
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サポート:36ヶ月後もサクサク操作できる?OSアップデートは?
OPPO Reno7 Aは、“36ヶ月サクサクな操作感を提供する“ことも大きな特徴です。
これはシステムの劣化具合をわずか5%以内に収める機能やストレージを最大5GBの仮想メモリとして拡張する機能によって実現するもの。
両機能が正しく動作すれば、3年後もサクサクな操作感は続きそうですが、OSアップデートによって要求される処理能力が上がる場合は、やはりチップセットの性能が心配です。
OPPOによれば、1回目のOSアップデートはすでに計画されているものの、2回目以降のOSアップデートについては、Googleやチップセットを提供するQualcommとの協議が必要で提供未定とのこと。
長期間安心・安全に利用するためのセキュリティアップデートについては、36ヶ月間のセキュリティアップデートを配信する意思はあると説明しています。
つまり、サクサクな操作感は保証されていますが、GoogleやSamsung、シャープのような複数年のアップデートまでは保証されていません。“36ヶ月サクサクな操作感を提供する”のであれば、最新OSによる機能追加やセキュリティアップデートによる安心・安全な長期利用も保証して欲しかったところです。
まとめ:熾烈な争いの4万円スマホ。OPPO Reno7 Aを選ぶ理由は?
It's GOOOOD!!
- 抜群の電池持ち。バッテリー劣化防止機能にも対応
- 液晶から鮮やかな有機ELへのアップグレード
- フラットフォルムに一新されたボディ
- 綺麗なグラデーションと高質感のボディ
- 使いやすいディスプレイ指紋認証
TOUGH...
- ダウングレードしたノイズが目立つカメラ
- 4K動画非対応
- 片手操作に優しくないColorOS
「OPPO Reno7 A」は、45,000円を切る価格で最大90Hzのリフレッシュレート、6.4インチのビッグ有機EL、大容量バッテリーによる抜群の電池持ち、一新されたフラットフォルムのデザイン、5G、おサイフケータイ、eSIMにも対応するなど、コスパに優れたスマートフォンです。
まったく同じ価格の「Redmi Note 11 Pro 5G」、4万円を切る「moto g 52j 5G」と購入を迷う人も多いと思います。
数年前と違い、最近のミドルレンジスマートフォンは、日本市場に最適化されたものが多く、3機種ともおサイフケータイに対応。防水・防じんは「OPPO Reno7 A」と「moto g 52j 5G」最高等級のIP68をサポートするのに対して、「Redmi Note 11 Pro 5G」はIP53です。
良い写真が撮れるカメラで選ぶのであれば、1億800万画素の広角レンズを搭載し、9つのピクセルを1つにまとめて扱うピクセルビニングによってノイズを低減する「Redmi Note 11 Pro 5G」になるでしょう。作例はこちらからどうぞ。
撮影環境が大きく違ったので比較はしませんが、「OPPO Reno7 A」のカメラは全体的にノイズが目立ちました。超広角レンズも広角レンズに比べると、明るさとノイズに明らかな違いがあり、ポートレートモードは被写体とかなり距離を取る必要があるので、料理の撮影には使用できません。
ディスプレイは「moto g 52j 5G」のみ液晶、ほか2機種は発色の鮮やかな有機ELを採用しています。リフレッシュレートは、なめらかな映像が体験できる120Hzの「Redmi Note 11 Pro 5G」と「moto g 52j 5G」、ややなめらかな90Hzの「OPPO Reno7 A」です。
性能面では、いずれもSnapdragon 695 5Gと6GBのメモリを搭載しているので大きな違いはありませんが、「OPPO Reno7 A」は、2/3/5GBの3段階で仮想的にメモリを拡張できる機能を搭載。将来的にメモリ不足になった時も複数のアプリを快適に利用できる方法が用意されています。
「OPPO Reno7 A」を選ぶ決め手は、デザイン・サイズ・重さの3つです。
デザインや質感は好みが分かれるところですが、嫌う要素は圧倒的が他の2機種に比べて少なく、重さは他の2機種に比べて約30gも軽く、横幅は75mmを切っているので片手でしっかりホールドできるなど、明らかに優れたポイントです。