Amazon、AndroidベースのFire OS継続宣言。Vega OSへの移行が“慎重すぎる理由”とは
Yusuke Sakakura
Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

Amazonはこれまで、AndroidベースのFire OSを軸にストリーミングデバイスの「Fire TV」シリーズや、タブレットの「Fire タブレット」シリーズを展開してきました。
ところが今年、独自開発のVega OSを採用した「Fire TV Stick 4K Select」が登場。Amazonは独自OSに切り替えた理由について「お求めやすい価格と優れたパフォーマンスを両立するため」と説明しています。
今後、最も手ごろなHDモデルや、より新しいWi-Fiに対応した4K Plus/4K MaxなどもVega OSへ順次移行するように思えます。しかしAmazonはFire OSを今後も継続していく方針を明らかにしました。
Amazonは“マルチOS企業”
Amazonのデバイスソフトウェア&サービス担当バイスプレジデント、Robert Williamsは、Androidが現在も極めて重要な存在で、今後もAndroidを基盤に、Googleと連携して開発を継続すると投稿。さらにAmazonは自社を“マルチOS企業”と表現し、Fire OSの継続採用をあらためて強調しています。
一方でVega OSについては、低メモリの手頃なデバイスから、Alexa+のような高度なAI処理を行う大型デバイスまで対応できる柔軟な設計で、特定のカテゴリにとどまらないと説明しています。
We’re a multi-OS company, and Fire OS isn’t going anywhere.Vega OS gives us the flexibility to create premium experiences at every price point—notably on smaller, more affordable devices that run on low memory footprints, but also on larger devices running complex AI programs such as Alexa+.Creating and managing our own operating system lets us innovate across the whole tech stack within our devices where we need it.
初号機が4Kモデルだった理由とは?
では、Fire OSとVega OSをどう使い分けるのでしょうか。
結論として、Amazonは使い分けるつもりはないはずです。今後もFire OS搭載の新モデルが何年も続くとは考えにくく、Vega OSへ移行するための時間稼ぎと保険として残されていると考えるのが自然です。
特にアプリはFire OSを維持する大きな理由のひとつです。
AndroidベースのFire OS向けに構築された膨大な資産があり、開発者の負担が跳ね上がることから、一気にVega OSへの移行を進めるのは現実的ではありません。
Fire OSアプリをクラウド経由でVega OSに配信する仕組みも用意していますが、これはあくまでも暫定策。将来的には月間アクティブユーザー数に応じて有料化される予定で、長期的に利用されることは考えていないはずです。
アプリの移行が進むにつれ、Vega OS搭載モデルが徐々に増えていくことは間違いなさそうです。
ただし4KモデルからVega OSを導入した点からAmazonの慎重な移行姿勢が見て取れます。
というのもHDモデルから採用を始めた場合、Vega OS搭載機がシリーズで最も手ごろな選択肢になり、需要が一気に集中するでしょう。HDモデルはプライムデーやブラックフライデーなどで最も人気となるモデルです。
一方、4Kシリーズはもともと複数モデルが存在していて、そこに3機種目としてVega OSモデルが加わっても、需要は偏りにくいです。Vega OS初号機として4Kモデルを選んだのは、アプリ対応を促しつつ、移行のリスクを抑える意味で最適な判断だったと言えます。
Fire TV Stick 4K Selectは、11月21日(金)0時から始まるAmazonブラックフライデー先行セールに50%オフの3,980円で登場します。
HDモデルにわずか500円を追加するだけで、映画やスポーツを高画質な4K HDRで楽しめる価格設定は魅力的。WBCがNetflix独占配信となったこともあって需要が高まり、配送の遅れが予想されるため、早めの注文がおすすめです。





















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