Android PC向けの新OS「Aluminium」についていま分かっていること
Yusuke Sakakura
Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

今年のビッグニュースのひとつが、AndroidとChromeOSを統合する計画が正式に発表されたことです。
Androidの基盤にChromeOSの体験を構築して、スマホとノートPCの連携を強化する——こうした方向性は昨年から示されていましたが、今年は統合という明確な言葉で表現されました。
先日お伝えした、スマホとPCなどデバイス間でコピー内容を共有できるユニバーサルクリップボードも、統合を意識した連携機能の一部かもしれません。
さらに最近は、AndroidがAirDropに対応しましたが、こうした機能をWindowsではなく、Android PC向に優先的に提供する可能性も考えられます。
統合OSに関して、現時点で明らかになっている情報は多くありませんが、今回明らかになった求人情報から名称が「Aluminum OS」になる可能性や、エントリーからハイエンドまで幅広い価格帯・多様なデバイスに展開される見込みがあることが分かってきました。
名前はAluminium OS
Googleは現在、Android、ノートPC、タブレット領域を担当するシニアプロダクトマネージャーを募集しており、その求人にはAndroidベースの新しいAluminiumのOS開発に携わると明記されています。

名称は、ChromeOSのオープンソース版「Chromium」と同じ金属の名前。語尾がiumでそろっている点も含めて、ChromeOSの系譜を意識したものと考えられます。
これが正式名称として採用されるかはわかりませんが、少なくとも内部で使用されていることは確実です。
一方で、バグトラッカーでは現行版を示すために、「ChromeOS Classic」や「non-Aluminium ChromeOS」といった呼称が使われていることを考えると、新OS側がChromeOSの名前を引き継ぐ可能性も考えられます。

既存の名称を変えない場合、リブランドのインパクトが薄れ、教育市場向けといった既存イメージを大きく変えるの難しくなる一方で、ChromeOSという認知を活かすことができます。
AIをコアに据えたOSに
Aluminium OSは、AIを中心に据えて再設計される点が大きな特徴です。
今回の求人でも「AIをコアに構築された新しいOS」と説明されており、Geminiモデルやアシスタントを深く統合したプラットフォームになることがうかがえます。
Androidと強力な連携機能だけでなく、AIが前提の新しい体験を目指しているようです。
それが何をもたらすのか、詳細はわかりませんが、AIによるバッテリーやリソースの最適化、画像処理、生成機能など、スマートフォンで実装している体験が、PCでもそのまま利用可能になることは十分期待できます。
チップセットについても、現時点でPC向けGoogle Tensorの情報は出ていない一方で、GoogleはQualcommと再び協力すると表明しています。このことから、Snapdragon X Elite / X Plusのようなチップを搭載したAndroid PCが登場する可能性も考えられます。
エントリーからハイエンドまで、幅広いデバイスも
ChromeOSは当初、ネットブック全盛期の“低価格・軽量OS”として生まれましたが、AIを中核に据えるAluminium OSは、高性能なオンデバイスLLMを動すことを前提に、より高い性能が求められるOSになりそう。
実際、求人情報には、対象ティアにChromebook / Plus、AL Entry / Mass Premium / Premiumといったエントリーからハイエンドまで並び、ノートPC、キーボード着脱型のデタッチャブル、タブレット、ボックス型(おそらくMac miniのようなボックス型)とさまざまなタイプのデバイスで動作することを想定しているようです。
ChromeOSはどうなる?
求人情報によると、担当チームはChromeOSとAluminium OSの両方を担当領域としており、これらのプラットフォームとデバイス全体をカバーする役割をもっています。
両方を担当することから、2つのOSがしばらく並行することがわかります。
Android Authorityは、ChromeOSからAluminium OSへ移行するアプローチとして、移行可能な機種には任意のアップグレードパスが提供され、移行できない機種はサポート終了までアップデートを受けられる可能性を推測しています。
また、GoogleはMediaTek Kompanio 520および第12世代Intel Alder Lakeプロセッサを搭載した開発ボードでAluminium OSのテストをしているとのこと。同じチップ、および同クラスのチップを搭載したデバイスは新OSへ移行できるかもしれません。
ただし、稼働中のデバイスに新OSを移行させるのは技術的に極めて難しいと指摘されています。
Android PCの登場時期は?
Googleは現在、開発用のハードウェアでAndroid 16をテストしていることが確認されています。
投入時期については2026年とだけ公表されており、具体的な時期はまだ明らかにされていません。
Android 17と歩調を合わせるなら、5月開催の「The Android Show」が有力です。
The Android Showは、AIを中心に据えるようになったGoogle I/Oから切り離す形で今年新設された、Androidに特化したオンラインイベントです。今年の第1回では、Android 16の正式配信日や新しいインターフェース「Material 3 Expressive」が発表されました。
半年待たずに情報が出てくる可能性もあります。
昨年は11月中旬にAndroid 16のデベロッパープレビュー(DP)が公開されていましたが、今年は現時点(11月下旬)でもAndroid 17 DPが登場していません。Android PC向けの開発が影響してスケジュールが後ろ倒しになっているのかもしれませんが、DPの公開と同時にAndroid PCに関する新情報が出てくることを期待したいところです。





















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