AppleとGoogleが協力、iPhone↔Androidのデータ移行が強化。パスキーやウォレットカードなど移行対象が拡大へ
Yusuke Sakakura
Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

音楽はサブスクで楽しむのが当たり前になり、写真や動画もクラウドで管理するのが一般的になりました。
それでも、iPhoneからAndroidへ、あるいはAndroidからiPhoneへ乗り換えるためのデータ移行は、依然として手間のかかる作業です。
こうしたなか、EUはデジタル市場法(DMA)にもとづいて、iOSとAndroidの間で容易にデータ移行できる仕組みを整備するよう求めてきました。最新の声明でEUは、AppleとGoogleがこの要件に応えるために、データ移行の改善に協力して取り組んできたことを明らかにしています。
移行対象のデータを増やして負担を軽減
データ移行で最も厄介なのは、手順そのものよりも「標準機能で何が移せて、何が移せないのか」が非常にわかりづらい点にあります。
例えば、ケーブルを使うか、Wi-Fiを使うか、セットアップ後に移行するか、といった移行方法や端末のセットアップ後などタイミングによっても移行できるデータが大きく変わります。
- アプリ内購入
- デバイスの設定(Wi-Fi パスワードなど)
- デジタル著作権管理(DRM)で保護された音楽
- Safari のブックマーク
- Google Play で公開されていない有料アプリ
- 一部のアプリのデータ(クラウドに保存されていないアプリのデータなど)
移行できるデータの種類が増えるだけでも、ユーザーの負担は大きく軽減されるはずです。
EUによると、AppleとGoogleが協力して開発したデータ移行では、連絡先、カレンダーの予定、メッセージ、写真、文書、Wi-Fiネットワーク、パスワード、さらにはサードパーティ製アプリのデータなど、より多くの種類のデータ移行に対応するとのこと。ワイヤレスでも可能になります。
なお、日本で12月18日に全面施行となるスマホ新法にも、容易なデータ移行や具体的な移行対象のデータが指定事業者に義務付けられており、日本でも提供されることになりそうです。
Android Canaryで確認。パスキーやウォレットカードも移行対象か
新しい移行機能の詳細は両社からは発表されていませんが、早速実装されているAndroid Canaryからヒントを得ることができます。
開発中の機能が早期に実装されるAndroid CanaryをインストールしたPixel 9で確認したところ、設定画面>プロフィール>すべてのサービス>iPhoneまたはiPadとペア設定する>データをコピーに進むと移行画面が起動しました。
iOS 26からも同じように移行画面を起動して、セッションIDとパスコードを入力するとiPhoneへデータ移行が可能になるようです。




逆にiPhoneからデータを移行する場合は、初期設定時または設置直後に設定画面から起動できるセットアップ画面でQRコードをスキャンするか、セッションIDとパスコードを入力すると、iPhoneのデータを引き継げるようです。
なお、iOS側には実装されていないため、現時点では実際に移行することはできません。




さらに、Android Authorityは、Android CanaryにプリインストールされるAndroid Switchアプリを解析し、移行できるデータのマッピングを発見しました。
ここからEUの声明では明らかにされていない、移行可能なデータのヒントも発見されています。
- アクセシビリティ設定
- 音楽プレイリスト
- パスワードおよびパスキー
- ウォレットカード?
- Wi-Fi認証情報
音楽プレイリストの移行は興味深いポイントです。
DRMで保護された音楽自体は移行できなくても、プレイリストを移行できれば、Apple Musicで作成したプレイリストをYouTube Musicでも使えるようになるのかもしれません。独占配信の楽曲を除けば、ほとんどの楽曲は移行後も楽しめるはずです。
移行が大変なパスワードやパスキーも、簡単に移行できるようです。また、Wi-Fiの情報はSSIDのみが対象でしたが、Wi-Fiパスワードまで含まれれば、長く複雑なパスワードを手入力する必要もなくなります。
ウォレットカードのマッピングも確認できるため、Apple Payで管理しているクレジットカードやSuicaなども簡単に移行できるのか期待が掛かります。
ただし、ウォレット以外のデータが異なるOS間の移行を示す識別子で分類されているのに対して、ウォレットカードだけは異なる形式になっています。この点からAndroid Authorityは、移行の対象として扱われるかどうかは現時点ではわからないとしています。
あくまでも開発時点のものであるため、リリース時には異なる可能性があるということです。今後、開発が進むに連れて、さらなる詳細が明らかになるでしょう。





















コメントを残す