1000人以上で構成されるAppleの技術開発グループが7年もの開発をかけたAR/VRヘッドセットが、ついに今年発売されるようです。
製品名が「Reality Pro」として噂されるAppleのAR/VRヘッドセットは、パソコンのMac、音楽プレイヤーのiPod、スマートフォンのiPhone、タブレットのiPad、スマートウォッチのApple Watch、フルワイヤレスイヤホンのAirPodsに次ぐ、革命的な製品になることが予想されます。
この記事では、Reality Proがいつ発売されるのか、どういった機能が搭載されて何ができるのか、特徴や価格、デザインなど気になる噂や最新情報をまとめています。情報は正式発表されるまで随時更新します。
目次
- 1分でわかる「Reality Pro」の噂まとめ
- Apple初のAR/VRデバイスの名前は「Reality Pro」
- 発表日と発売日
- デザイン
- ディスプレイ
- 電池持ちは約2時間
- 指紋と顔の次は「瞳」で本人認証
- AppleのAR/VRヘッドセットでできること
- 価格
1分でわかる「Reality Pro」の噂まとめ
- Apple初のAR/VRヘッドセット。製品名は「Reality Pro」
- 4Kマイクロ有機ELディスプレイを搭載
- 目と手の動きを読み取るトラッキング機能
- 電池持ちは約2時間の外付けバッテリー
- 高負荷なVRを高速に処理するM2チップと音の遅延を解消するH2チップ搭載
- xrOS搭載。iPhone、Mac要らずで単独動作
Apple初のAR/VRデバイスの名前は「Reality Pro」
発売に期待がかかるApple初のAR/VRヘッドセット。
製品名には、さまざまな候補があるようですが、Appleはペーパーカンパニーを通じて「Reality Pro」「Reality One」「Reality Processor」といったネーミングを日本やアメリカを始めとした世界各地で商標登録(1,2,3)しています。
現在の最有力候補は「Reality Pro」のようです。
発表日と発売日
当初、AppleはAR/VRヘッドセットの発売を2019年までに計画していましたが、さまざまな理由で何度も何度も延期されました。
最近までは2023年1月に発表され、2023年後半に発売することを計画していたものの結局は延期に。その後、6月開催が予想される開発者向けのビッグイベントWWDCの前となる2023年春の発表を目標にしている報じられましたが実現せず。それでも、ついに6月6日午前2時から開催されるWWDC 2023の基調講演にて正式発表されるようです。
コロナ禍になってからはプレスリリースやオンラインイベントで発表を行うことも多かったApple。新しい分野で挑戦することになるReality Proについては、世界中から記者などを本社に集めて大々的なイベントになるでしょう。
発売日については早ければ2023年内、または2024年以降と予想されています。
また、Appleは高額で高性能な「Reality Pro」に加えて、性能の劣る手ごろに購入できるAR/VRヘッドセットも開発しており、2024年または2025年に登場する可能性があります。
デザイン
AR/VRヘッドセットの大きな課題の1つがデザインです。
筆者の触手が伸びないのもデザインとサイズが原因。Appleならばと期待を寄せている人も多いはずです。
これまでの噂によると、見た目はOculus Questなど既存のヘッドセットに似ているものの、より洗練されたデザインで軽さが特徴になる予定。
2022年3月時点のプロトタイプの重さは200g〜300gと報告されており、最終的には競合製品よりも軽い100g〜200gまで軽量化することを目標にしているようです。素材にはプラスチックではなくアルミニウムを採用するようで高級感も期待できます。
デバイスの前面にはカーブスクリーン、側面のこめかみ部にスピーカー、頭にフィットするApple Watchのバンドのような柔らかい素材のヘッドバンドが備えられる予定です。
ディスプレイ
AR/VRヘッドセットで最も重要な要素であるディスプレイには、ソニーまたはSamsungの4Kマイクロ有機ELが2枚搭載されて8Kに対応するようです。
マイクロ有機ELは通常の有機ELに比べて応答速度が高速(マイクロ秒単位)かつピクセルサイズが超微細であるため、間近で見ても画素が微細でARやVRに最適。また、120°という広い視野角でARを体験できます。
内側だけでなく外側には電池持ちに考慮した低リフレッシュレートのノーマル有機ELディスプレイが搭載。薄型のパンケーキレンズによってヘッドセットを装着した人の表情を撮影し、外側のディスプレイを通じて相手に表情を見せることでスムーズなコミュニケーションに繋げるのでしょう。
なお、メガネを使用している人のためにマグネットで脱着できるレンズが用意されるとのこと。
電池持ちは約2時間
発熱問題からReality Proは外付けのバッテリーをポケットに入れ、独自のケーブルを使ってヘッドセット本体と接続する利用スタイルになると報じられています。
さらなる発熱問題に対処するために冷却ファンも搭載する予定。バッテリーを外付けにすることでヘッドセットデバイス特有の重量問題も軽減されるはずです。
1つで2時間の電池持ちとなるバッテリーパックは、iPhone 14 Pro Maxを2台上下に重ねたようなサイズ感で高さ15cm、厚さ1.27cmになります。
指紋と顔の次は「瞳」で本人認証
AppleはiPhone、iPad、Macの画面ロックを解除するために指紋認証のTouch ID、顔認証のFace IDを提供していますが、AR/VRヘッドセットには虹彩認証が採用されるようです。
虹彩認証は専用のレンズによって瞳の黒目と白目の間にある「虹彩」をスキャンして本人認証するもので、虹彩の色やパターンは指紋のように一人ひとりに違いがあります。
虹彩認証の誤認識率はTouch IDの10万分の1、Face IDの100万分の1よりもはるかに低い120万分の1で、より高いセキュリティによって決済機能などが利用できるはず。
なお、複数人分の虹彩を登録することでマルチユーザー認証にも対応する予定です。
AppleのAR/VRヘッドセットでできること
多くの人が気になるのはAppleのAR/VRヘッドセット「Reality Pro」で何ができるのかです。現時点での噂を以下にまとめます。
コントローラー不要。操作は手と目で
Reality Proは多数のカメラによって手の動きを解析し、内蔵センサーによって目の動きを読み取ることが可能です。
これにより、スクリーン上に表示されたボタンやアプリのアイコン、リスト項目などを目で見るだけで操作したり、親指と人差し指をつまむピンチ操作を始めとした空中で手を動かす操作にも対応します。
MetaのAR/VRヘッドセットのようなハンドコントローラーを必要とせず、人間の目と手だけで操作が完結することを目指しているようです。
スティーブジョブズが初代iPhoneを発表したときの「どう操作する?マウスは無理だ。スタイラス?スタイラスなんて誰が欲しがるんだ!?人類が生まれながらにして持つ世界最高のデバイス、あだ」とプレゼンしたシーンはあまりにも有名ですが、次はハンドコントローラーが酷評され、目が賞賛されるかもしれません。
MR:ARとVRのスイッチ機能
ARとVRは似て非なるもので、現実世界にデジタルコンテンツが重ねて表示するARに対して、VRではヘッドセットのディスプレイを使って異空間にワープできるようなバーチャル体験が楽しめます。
例えば、マップアプリで確認できるような店舗の口コミや目的地までのルート案内が現実の街中に重ねて表示するのがARで、自宅にいながら観光スポットや映画館、砂漠、宇宙にまで行けてしまうのがVRです。
Reality Proには、Apple Watchに搭載されているようなデジタルクラウンが搭載され、簡単な操作でARモードとVRモードを切り替えできるようです。
魅力的な動画視聴
Reality Proのコア機能としてディズニーやドルビーなどをパートナーに据えた没入型のビデオ視聴が提供されるようです。
砂漠や宇宙空間などのVR空間で映画を観ているような気分になれる機能も実装される予定。AppleはAirPods MaxやAirPods Proで音に包まれるような音楽体験を実現していることから自宅にいながら映画館のような体験が楽しめるかもしれません。
音はヘッドバンドに内蔵されるスピーカーから出力されるほか、AirPodsシリーズとペアリングすることで空間オーディオが楽しめる予定。H2チップによって遅延も気にならないレベルになるとのこと。サードパーティのイヤホンは利用できない可能性があるほか、有線イヤホンは利用できません。
また、AppleはVRゲームを動かすための独自エンジンを開発中とも報じられています。
Macの外部ディスプレイ
Macユーザーにとって非常に魅力的な機能としてヘッドセットが作り出すVR空間にMacのディスプレイを表示できるようです。
物理的なキーボードやマウス、トラックパッドで操作できるほか、iOS、iPadOS、macOSとの連携機能も備え、Siriや近くのiPhone、Mac、iPadでテキストを入力することも可能と報じられています。
自宅でも場所を選ばず、外出先でも広大なスクリーンで作業できるかもしれません。
xrOS:スタンドアロンで動作
Reality Proは、MacやiPhoneと連携することをメインとしたデバイスではなく、iOSライクなインターフェースを持つ専用の「xrOS」(コードネーム:Borealis)が動作するスタンドアロンデバイスになります。
MacBook Airに搭載された5nmプロセスのM2チップを2つ搭載することでVRのような高負荷な処理にも対応し、Safariや写真、メール、メッセージ、カレンダー、リマインダー、ミュージック、メモ、App Store、Apple TVなど、多くの標準アプリに加えて、VRのなかでインストラクターを見ながらエクササイズができるFitness+アプリや、瞑想をガイドするヘルスアプリも登場し、ヘッドセット単体で動作する予定。
ビデオ通話のFaceTimeでは、顔を含めた体全身が仮想空間にレンダリングされてアバターを通じたコミュニケーションが取れるようになります。
Appleは少数の開発者に対してテスト用のデバイスをシェアし、デベロッパーに対してReality Proアプリの開発に着手させていて、AR/VRヘッドセット向けのApp Storeも用意されます。
なお、iPhoneおよびiPadユーザーがすぐになじめるiOSに似たインターフェースを持ち、アプリやウィジェットを自由に並べ替えられる専用のホーム画面が用意されます。
文字入力においては、SiriのほかにペアリングしたiPhone、空中を使ったタイピングも可能になるようです。
Wi-Fi 6E
Reality Proで取り扱うコンテンツは大容量データになることから超高速かつ安定した通信が必要になります。
そこで2.4GHz帯と5GHz帯に加えて6GHz帯も利用できるWi-Fi 6Eをサポートし、安定した高速通信が可能になるとのこと。
なお、Wi-Fi 6Eを利用するには対応ルーターが必要になります。
価格
Reality Proの気になる価格はおおよそ3,000ドル、39万円と報じられています。Meta Quest Proが226,800円なので競合製品の約2倍の価格設定です。
高額路線はHomePodで大失敗になりましたが、AR/VRヘッドセットにおいては受け入れられるのでしょうか。
ただ、Appleは他の製品と同じように価格の異なる複数のモデルを展開することを計画しているようです。
Reality ProがMac用のチップを搭載するのに対して、廉価版はiPhoneと同じチップおよび解像度の低いディスプレイを採用することでiPhoneと同等の価格に設定されるとのこと。iPhone 14シリーズの販売価格を参考にすると、12万円から24万円になることが予想されます。
発売時期は2024年か2025年と報じられています。
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