2020年9月、新型Apple Watchとして「Apple Watch Series 6」と「Apple Watch SE」が発売されました。
新機能の血中酸素濃度の測定機能に対応し、20%も高速化された最新のチップセットを搭載する最上位モデルの「Apple Watch Series 6」に対して、販売価格を抑えた手ごろな「Apple Watch SE」は機能や性能を落としたモデルです。
価格差は13,000円ほどで、どちらを購入しようか迷っている人も多いはず。この記事では「Apple Watch Series 6」と「Apple Watch SE」にどういった違いがあるのかを比較します。
目次
- Apple Watch Series 6とSEの同じところ・違うところ
- デザイン・カラー・素材を比較
- 画面・ディスプレイを比較
- 性能・プロセッサを比較
- 電池持ちを比較
- 健康機能を比較
- 価格を比較
- まとめ:Apple Watch Series 6 / SEの選び方
Apple Watch Series 6とSEの違いを比較
Apple Watch Series 6とSEの同じところ
同時期に発売されたApple Watch Series 6とApple Watch SEの価格差は約1万円ですが、ケースのサイズやデザイン・仕上げ、機能、性能などほとんど同じです。2つのApple Watchの共通点を以下にまとめました。
- 40mmまたは44mmのケース
- GPSモデルとGPS+Cellularモデル
- Retina LTPO有機ELディスプレイ
- 64bit、デュアルコアプロセッサ
- W3ワイヤレスチップ
- 光学式心拍センサー
- 高心拍と低心拍の通知
- 不規則な心拍の通知
- 緊急SOS
- 海外の緊急通報
- 転倒検出
- 騒音のモニタリング
- 50mの耐水性能
- プールや海など浅瀬で
- ファミリー共有設定
- GPS+Cellularモデルのみ
- コンパス
- 常時計測の高度計
- 32GBのストレージ
- 最大18時間使える電池持ち
Apple Watch 6とSEの違うところ
Apple Watch Series 6とApple Watch SEの違いをカンタンにまとめたものが以下です。それぞれどういったところが違うのか詳しく紹介していきます。
- 常時表示のRetinaディスプレイ
- S6システムインパッケージ、64bit デュアルコア
- U1チップと超広帯域アンテナ
- 血中酸素ウェルネスApp
- 血中に取り込まれた酸素のレベル (血中酸素濃度)を計測できるアプリ
- 心電図App
- 心電図を計測できるアプリ
- 電気心拍センサー
- 第3世代光学式心拍センサー
- バッテリーの充電
- 80%までの充電:約1時間
- 100%までの充電:約1.5時間
- 新色レッドとブルー
- Retinaディスプレイ
- S5システムインパッケージ、64bit デュアルコア
- 第2世代光学式心拍センサー
- バッテリーの充電
- 80%までの充電:約1.5時間
- 100%までの充電:約2.5時間
デザイン・カラー・素材を比較
四角形のディスプレイや丸みを帯びたメタルケースなどのデザイン、ケースのサイズはApple Watch Series 4以降すべて同じですが、ケースの仕上げ・素材とカラーに違いがあります。
Apple Watch Series 6はアルミニウム/ステンレス/チタンの3種類からケースを選べますが、Apple Watch SEはアルミニウムしか選べません。
アルミニウムケースの特徴
アルミニウムは3種類のなかで最も軽いケースです。
光沢のないマット仕様でスポーツバンドが似合うカジュアルさでスポーツやワークアウトに最適。ステンレスよりもキズが目立ちにくく手ごろに購入できる安さも魅力です。
一方、カジュアルなアルミニウムケースとレザーバンドやミラネーゼループ、リングブレスレットといった高級感のあるバンドとの相性は良くありません。
アルミニウムケースのカラーはシルバー/スペースグレイ/ゴールド/ブルー/(PRODUCT) REDの5色と豊富。ただし、ブルーとレッドはApple Watch Series 6の限定色でApple Watch SEでは選べません。
- 光沢のないマット仕様
- 環境面に配慮した100%再生アルミニウムを使用
- 最も軽いApple Watchケース
- ワークアウトなどカジュアルな用途に最適
- カラー
- シルバー
- スペースグレイ
- ゴールド
- ブルー
- (PRODUCT) RED
- 最適なバンド
- ソロループ
- ブレイデッドソロループ
- スポーツバンド
- スポーツループ
チタンケースの特徴
アルミニウムやステンレスと違ってチタンは金属アレルギーが非常に起きにくい素材のケースです。
チタンケースはシックな質感で、高級感はアルミニウムよりも上、ステンレスよりも下。ケースの軽さはアルミニウムとステンレスのちょうど間です。
ツヤが控えめなチタンにはスポーツバンドやソロループ、ブレイデッドソロループといったカジュアルなバンドはもちろん、レザーリンクやミラネーゼループ、リングブレスレットといった高級バンドとの相性も良くフォーマルな用途にも使えます。
カラーはチタニウムとスペースブラックの2種類のみ。価格は3種類のケースのなかで最も高額です。
- ワークアウトなどスポーティ、カジュアル、フォーマルすべての用途に合うシックなケース
- 最も高いApple Watchケース
- カラー
- チタニウム
- スペースブラック
- 最適なバンド
- ソロループ
- ブレイデッドソロループ
- スポーツバンド
- スポーツループ
- レザー
- ステンレススチール
- Apple Watch SEでは選べない
ステンレスケースの特徴
3種類のケースのなかで最も万能でバランスが取れているのがステンレスケースです。
iPhoneのProモデルと同様に高級感のあるツヤのある光沢の強いケースに合わないバンドはありません。スポーツバンド、スポーツループ、レザー、ステレンススチール、そして最も高額なHermesのバンドとの相性もバツグン。スポーツ、カジュアル、フォーマルすべての用途で使えます。
アルミニウムケースに比べて約10g重いケースですが特に違和感はありません。カラーはシルバー、グラファイト、ゴールドの3色から選べます。
- 光沢のあるツヤありケース
- スポーティ、カジュアル、フォーマルすべての用途に合うバランスの良さ
- ハードフォーマルもカバー
- 最も重いApple Watchケース
- カラー
- シルバー
- グラファイト
- ゴールド
- 最適なバンド
- ソロループ
- ブレイデッドソロループ
- スポーツバンド
- スポーツループ
- レザー
- ステンレススチール
- Apple Watch SEでは選べない
画面・ディスプレイを比較
Apple Watch Series 6とApple Watch SEには、日差しの強い屋外でも時刻や消費カロリー、走行距離などを確認できる1000nitsの明るいRetinaディスプレイが搭載されています。
違いはApple Watch Series 6のみ画面の常時表示に対応していること。
Apple Watch SEは使っていない時や見ていない時に、電池節約のために画面が消灯する仕様のため、ふと時刻を確認しようとすると画面が真っ黒で何も表示されていない、一瞬遅れて画面が表示されるといったことがよくあります。
この仕様を嫌ってApple Watchを使わない、使うのをやめてしまったという声がよくありましたが、常時表示に対応したApple Watch Series 5/6ならば常に時計として使えます。
また、常時表示中のディスプレイはApple Watch Series 5に比べて画面の明るさが最大2.5倍になったことで、電池を節約しつつ文字盤が確認しやすくなり、通知センターやコントロールセンターにアクセスすることが可能です。
常時表示は確かに便利ですが、必須な機能ではありません。そのために1万円も高く支払ってApple Watch Series 6を購入する必要はないと思います。
- 画面サイズ
- 40mmケース: 324 x 394ピクセル
- 44mmケース: 368 x 448ピクセル
- LTPO OLED常時表示Retinaディスプレイ
- 画面サイズ
- 40mmケース: 324 x 394ピクセル
- 44mmケース: 368 x 448ピクセル
- LTPO OLED Retinaディスプレイ
性能・プロセッサを比較
両Apple Watchには64ビットのデュアルコアプロセッサが搭載されています。
Apple Watch Series 6のS6チップは、iPhone 11シリーズに搭載されているA13 Bionicをベースにしたもので、Apple Watch SEのS5チップよりも20%高速化されていて、Apple Watch Series 6ではアプリを20%も高速に起動できます。
S6チップとS5チップを比較したところで大きな差はありません。アプリの起動が20%高速化されたぐらいなので性能差は購入の決め手にもなりません。
ただし、watchOSのアップデート提供期間は最新のチップを搭載したApple Watch Series 6の方が長いことは間違いありません。また、アップデートを重なるごとにアプリの起動やレスポンスが遅くなるので頻繁に買い換えず長期間利用するのであればApple Watch Series 6がおすすめです。
U1チップ
Apple Watch Series 6には、S6チップのほかにU1チップも搭載されています。
U1チップは、Bluetooth LEやWi-Fiよりも位置検出の精度が高く、電波干渉に強い、そして少ない消費電力といった特徴を持つウルトラワイドバンドを使った短距離での無線システムです。
既にiPhone 11やiPhone 12シリーズにも搭載されていて、動画や写真を簡単にシェアできるAirDropや、iPhoneとApple Watchが車の鍵になる「Car Key」もU1チップに対応しています。
Car Keyに対応した車種では、Apple Watchをカバンに入れたままカギをあけてエンジンをかけることも可能。今後数年でU1チップを活用したより多くの新機能が登場します。
- S6 SiP
- S5に比べて最大20%高速
- U1チップ
- 5GHzのWi-Fiをサポート
- S5 SiP
- S3チップに比べて最大2倍高速
電池持ちを比較
Apple Watchの電池持ちについてはどちらも最大18時間でAppleは1日中使えると説明しています。
Apple Watch Series 6は、屋内や屋外でのランニングなど、特定のワークアウトの測定、オーディオ再生時の電池持ちがSEよりも長く、急速充電にも対応しています。
充電時間はSeries 5に比べて20%高速で1.5時間以内にフル充電が可能。充電を忘れた時やwatchOS 7で追加された睡眠記録を使った後も起床から出かけるまでのわずかな時間でより多く充電できます。
- 最大18時間の電池持ち
- 時間確認:90回
- 通知:90回
- アプリの使用:45分
- 音楽を聞きながらワークアウト:60分
- ストレージから音楽再生
- Series 6:11時間
- SE:8時間
- ストリーミングで音楽再生
- Series 6:11時間
- SE:10時間
- 屋内ワークアウト
- Series 6:11時間
- SE:10時間
- GPS+屋外ワークアウト
- Series 6:7時間
- SE:6時間
- GPS+Cellular+屋外ワークアウト
- Series 6:6時間
- SE:5時間
- 連続通話は1.5時間
健康管理(心電図・血中酸素濃度)を比較
Apple Watchを含むすべてのスマートウォッチで最も人気の高い機能が健康管理です。健康管理でApple Watch Series 6かApple Watch SEのどちらを買うかが決まります。
血中酸素濃度の測定
新しい血中酸素ウェルネスセンサーが追加されたApple Watch Series 6では血中酸素濃度を測定できます。
血中酸素濃度とは血中に取り込まれた酸素のレベルを表すもので、赤血球によって肺から全身に運ばれる酸素の割合のこと。専用のアプリを起動して15秒待つと血中に取り込まれた酸素のレベルが70%から100%の間で表示されます。睡眠中などバックグラウンドでも定期的に計測されます。
血中酸素濃度の値は様々な条件によって変化します。新型コロナウイルス感染症や肺気腫、睡眠時無呼吸症候群などの呼吸器系疾患が影響することもあれば、加齢や運動、標高でも上下するため、血中酸素濃度の数値だけで体の異常を特定することはできません。
そういうこともあってApple Watchは測定結果によってどのような対応をするべきかを案内しません。また、Appleは血中酸素濃度の測定機能は医療目的ではなく、健康管理や運動に活用する目的と説明しています。
心電図の測定
電気心拍センサーが搭載されたApple Watch Series 4以降のモデルでは心電図を計測することができます。
Apple Watchで心電図を測定することで、世界で2番目に多い死因の脳卒中に繋がる心房細動の兆候を確認でき、早期治療によって命を救われたユーザーが多数報告されています。
計測するには心電図アプリを起動してデジタルクラウンに指を乗せて30秒待つだけ。測定された心電図はiPhoneのヘルスケアアプリに記録され、データをPDFで書き出すことも可能。データを医師と共有することでスムーズな診察ができます。
Apple Watchの心電図測定は医療認可の関係で長年利用できませんでしたが、2021年2月にようやく日本でも利用可能になりました。ただし、残念ながらApple Watch SEには電気心拍センサーが搭載されていないため、心電図を計測することはできません。
不規則な心拍の通知
Apple Watch Series 6とApple Watch SEは「不規則な心拍の通知」に対応しています。
最低65分以上の時間をかけて5回の心拍リズムをチェックし、不規則な心拍リズム(心房細動の兆候)が検出されるとApple Watchが通知を表示します。
不規則な心拍リズムを放置すると、心臓内で血栓を引き起こし、脳卒中や心臓まひ、心不全、その他の合併症につながる可能性があるため、早期診断と早期治療が重要。この通知機能に命を救われたと多くのユーザーが報告しています。
- 血中酸素濃度センサー
- 電気心拍センサー
- 心電図測定に対応
- 不規則な心拍の通知
- 高心拍数と低心拍数の通知
- 転倒検出
- 血中酸素濃度センサーなし
- 電気心拍センサーなし
- 心電図測定不可
- 不規則な心拍の通知
- 高心拍数と低心拍数の通知
- 転倒検出
価格を比較
販売価格は「Apple Watch SE」が29,800円から、「Apple Watch Series 6」が42,800円から購入できます。
価格はすべて税別です。
- アルミニウムケース: 42,800円〜
- ステンレススチールケース: 72,800円〜
- チタニウムケース: 82,800円〜
- 29,800円〜
まとめ:Apple Watch Series 6 / SEの選び方
以上がApple Watch Series 6とApple Watch SEの違いでした。
軽く違いをまとめておきましょう。Apple Watch Series 6は、常に時計として使えるディスプレイと高性能なチップ、血中酸素濃度や心電図を測定できる優れた健康管理機能に対応。充電時間は短く、すべてのバンドと相性の良いチタニウムケースやステンレスケースが選べて、アルミニウムケースは新色のレッドとブルーもラインナップされていて、それ以外はApple Watch SEとほぼ同じです。
まだ迷っているのであれば、人気の高い健康管理機能を使いたい、バンドを付け替えてファッションとしても楽しみたい、次の買い替えは3〜4年後で長期間使いたい人にはApple Watch Series 6の購入をおすすめします。HermesとのコラボモデルもApple Watch Series 6のみです。
健康管理機能は不規則な心拍の通知や転倒検知で十分。ケースはアルミニウム、バンドはスポーツバンドやスポーツループ、ブレイデッドソロループで良い。価格を重視したいのであればApple Watch SEを選びましょう。初めてApple Watchを利用するのであればApple Watch SEから始めるのも良いと思います。
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