Samsungの最新フラグシップモデルGalaxy S21 / S21+ / S21 Ultra 5Gが2021年4月22日に日本でも発売されます。
シリーズ初のSペン対応やモンスターパフォーマンスのGalaxy S21 Ultra 5Gに注目が集まりますが、5万円の価格差を考えればヒットするのはコストパフォーマンスの高い「Galaxy S21 5G」でしょう。
今回は新デザインに高速化された指紋認証センサー、大幅にアップグレードされたフルフラットディスプレイを搭載する「Galaxy S21 5G」をレビューします。
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目次
デザイン
Galaxy S21シリーズは、“コンターカット”されたカメラユニットとメタルフレームを融合させた新デザインを採用しています。良く言えばオリジナリティ、悪く言えばクセの強いデザインなので正直なところ評価は分かれるかもしれません。
背面の素材はGalaxy S21+ 5G/S21 Ultra 5Gの上位2機種がガラスを使用しているのに対して「Galaxy S21 5G」は“Glastic”(グラスティック)というガラス風のプラスチックを使用。ツヤ消し加工によって質感はサラサラで指紋が付きにくく汚れが目立たない仕様です。触った感覚はプラスチックですが、見た目に安っぽさはありません。
Allstateによる落下試験ではガラスを採用した上位2機種は画面と背面がバッキバキに割れたのに対してGalaxy S21のボディは凹みやキズ程度に済んでいます。フレームと融合させたメタルのカメラユニットも割れることはありません。
ディスプレイ
ディスプレイは片手に収まるちょうど良いサイズ感の6.2インチ。片手ですべてのボタンやアイコンに指が届くわけではありませんが、動画を見るにもゲームをプレイするにも快適な大きさ。もちろん片手モードやサイドセンスといった片手操作をサポートする機能も充実しています。
最大のアップデートは画面のスクロールや動画・ゲームの映像がなめらかに表示される最大120Hzのリフレッシュレートに対応したこと。
通常、1秒間に60回画面を書き換えるところ、Galaxy S21 5Gは2倍となる120回の書き換えによって、PS5と同じようにスマートフォンでもヌルヌルした映像が楽しめます。動きの激しいFPSゲーム、コール・オブ・デューティーモバイルをプレイしてみると、頻繁に行う視点の切り替え等で発生する残像が少なくストレスフリーでプレイできました。
高リフレッシュレートのディスプレイは消費電力が大きいため、機能をオンにした状態では電池持ちが短くなりますが、Galaxy S21 5Gは48〜120Hzの可変リフレッシュレートに対応しているため、ゲームをプレイしている時など必要な時には映像をなめらかに表示して、本を読んでいる時など不要な時は電池持ちを優先してくれます。
気になる点は賛否あるパンチホールを採用していること。パンチホールの位置はゲームをプレイしている時に指で隠れる左上が最適とされています。Galaxy S20 5Gの配置は真ん中ですが、パンチホールの大きさは小さいのでそれほど気になるものではありません。
また、ディスプレイの解像度はGalaxy S20 5GのQHD+からフルHD+にダウングレードしていますが、映像のあらさはまったく気になりません。
もう1つはディスプレイを囲う黒いフチーーベゼルは極薄仕様でデザイン性が良く、画面占有率も高いため迫力のある映像が楽しめますが、上下左右の4辺すべてが同じ厚さではなく下側のみ厚くなっています。
ディスプレイ指紋認証
Galaxy S21 5Gのディスプレイには指紋認証センサーが内蔵されているため、マスクを付けた状態でもディスプレイをタッチするだけで画面ロックを快適に解除できます。
指紋認証センサーは超音波を利用して指紋の凹凸など3Dデータを取得するQualcommの最新モデル。認証エリアが1.7倍に拡大したことで高速で画面ロックの解除が可能。センサー自体のスピードは前モデルに比べて50%高速化されています。
昨年、Galaxy S20 Ultra 5Gをレビューした時に“通常の指紋認証よりもワンテンポ遅れる”と評価しましたが、Galaxy S21 5GとPixel 5の指紋認証を比較したところ同じスピードで画面ロックを解除できました。
ただ、認証エリアが大きくなったと言ってもセンサーのタッチミスが頻発するため、認証エリアを目で確認してから画面ロックを解除することになるのでストレスゼロではありません。これはGalaxyだけでなくディスプレイ指紋認証の大きな課題でしょう。
カメラ
Galaxy S21 5Gには広角+超広角+望遠レンズで構成されるトリプルカメラが搭載されています。
レンズ性能は大幅にアップデートされたGalaxy S20 5Gとまったく同じで、今年はソフトウェアのみ進化しています。
広角レンズ | 望遠レンズ | 超広角レンズ | |
---|---|---|---|
センサーサイズ | 1/1.76” | 1/1.72” | 1/2.55” |
ピクセルサイズ | 1.8µm | 0.8µm | 1.4µm |
画素数 | 12MP | 64MP | 12MP |
絞り値 | f/1.8 | f/2.0 | f/2.2 |
焦点距離 | 26mm | 29mm | 13mm |
光学手ブレ補正 | ◯ | ◯ | X |
最大30倍のハイブリッドズーム
カメラはワンタップで0.5倍の超広角レンズ、等倍の広角レンズ、光学3倍の望遠レンズを切り替え可能。ズームスイッチのボタンを左右にスワイプするだけで自由に0.5倍〜30倍のズームをスムーズに変更できます。
夜景xズーム撮影
Galaxy S21 5Gのカメラは広角レンズがf/1.8、望遠レンズがf/2.0のため、夜景はもちろんズーム撮影時でも明るく、ノイズの少ないクリアな写真を撮影できます。
手持ちで月も撮れるカメラ
上の東京タワーは光学3倍ズームで撮影したもので、下は月を30倍のハイブリッドズームで手持ち撮影した写真です。少しピントがボケていますが、月の表情がくっきり記録できています。
普通のスマートフォンであれば手ブレによってここまでキレイに撮影することは不可能ですが、Galaxy S21 5Gは20倍以上ズームすると手の動きを検知して新機能ズームロックがかかり、手ブレを軽減してくれます。
広角レンズ
超広角レンズ
ポートレート撮影
一眼レフカメラのように背景をぼかせるポートレート撮影はAIによる3D解析によって強化されました。手前から段階的にボケる自然な仕上がり。ボケ感は強めですが撮影後に変更することで、さらに自然な仕上げにすることも可能です。
料理
8K動画
パフォーマンス
Galaxy S21シリーズのベースモデルながら搭載するプロセッサはシリーズ最上位モデルのGalaxy S21 Ultra 5Gと同じQualcommの最新チップ「Snapdragon 888 5G」です。
Geekbench 5で計測したベンチマークスコアはシングルコアが1078ポイント、マルチコアが3230ポイントで全スマートフォンのトップ10に入る処理性能を誇ります。
さらに、コール・オブ・デューティーやPUBG MobileといったFPSなどの高負荷なゲームアプリを快適にプレイする上で重要なグラフィック性能は、瞬間的な性能を計測できる3D MarkのWild Lifeにおいて5680ポイント/34fpsを記録。iPhone 12シリーズには敵わないものの全デバイスの89%よりも優れている結果に。
ゲーマーが気にするべきなのは長時間のGPU性能を計測できるWild Life Stress Testですが、Galaxy S21 5Gはテスト中に端末温度が7度上昇。温度上昇に伴い、最も良い時の性能が61.8%までダウンする結果になりました。
ただ、実際にコール・オブ・デューティーモバイルを長時間プレイしたところ、確かに発熱は感じるもののパフォーマンスの大きな低下やそれに伴うカクつきなどは感じられず終始快適にプレイできたので、それほど気にするものではないようです。
電池持ち
Galaxy S21 5Gのバッテリー容量は4,000mAhです。正直なところフラグシップモデルとしては少し物足りなさを感じる容量で、コール・オブ・デューティーモバイルを30分プレイすると電池は12%減少する結果に。
また、カメラテストのために朝10時30分に外出し、Googleマップで撮影スポットやスポットまでの経路を検索したり、NBAの試合をストリーミングで見たり、459枚の写真と33の動画を撮影して夜19時10分にバッテリーが0%になりました。
日常生活の上で不満は少ないと思いますが、休日に遊びにでかけたり、旅行といったバッテリーの消費量が大きくアップする時にはモバイルバッテリーの携帯は欠かせません。
バッテリーの充電は最大25W出力の急速充電に対応していますが、フリスクサイズながら最大45W出力を誇るクイックチャージャーの「Anker PowerPort Atom III 45W Slim」で充電したところ15W出力に制限される問題を確認しています。それでも30分で+40%の充電が可能ですが、最大出力で充電するのであればSamsung公式の充電器を別途購入するのがおすすめです。
なお、15W出力のワイヤレス充電やGalaxy S21 5GのバッテリーをGalaxy BudsなどのQi対応デバイスにシェアできるリバースワイヤレス充電にも対応しています。
デメリット
Androidスマートフォンを使い続けている理由は?と聞かれて「microSDカードが使えるから」と答える人もいると思いますが、最近ではSDカード非対応のAndroidスマートフォンが増えてきています。
そしてついにGalaxy S21シリーズもSDカード非対応に。これまでのように購入後に容量が足りなくなっても追加することはできません。Googleフォトの無制限仕様も6月に廃止になるため大きな痛手です。
せめてもの救いは日本で発売されるモデルはドコモ版、au版ともにストレージ容量が256GBであることぐらい。
SDカードに保存してある写真や動画をいつでも確認したのであれば、クラウドサービスを利用するしかありません。Galaxyスマートフォンを使い続けるのであれば、MicrosoftのOneDriveがおすすめです。
Galaxy S21シリーズでもう1つなくなったものがあります。それは充電器とイヤホン。薄くなったパッケージにはUSB-Cの充電ケーブルとSIMカードを取り出すためのピンしか入っていません。
ただ、スマートフォンを買い替えるたびに付いてくる充電器やイヤホンを不要だと感じていた人も多いと思います。環境破壊を防げるのであれば、今後スタンダードになりそうな取り組みに賛同する人も多いでしょう。
まとめ:S10からの買い替えアリの5Gミリ波対応モデル
It's GOOOOD!!
- 5Gミリ波対応モデル
- 最大120Hzの可変リフレッシュレートをサポート
- プラスチックとは思えない質感の“グラスティック”
- 高速になったディスプレイ指紋認証
TOUGH...
- microSDカードが使えない
- イヤホン端子なし
- 充電器の同梱なし
- 急速充電の仕様
正直なところ昨年発売されたGalaxy S20 5Gからの大きな進化はありません。カメラのレンズ性能は同じでソフトウェアのみ進化しています。チップの処理性能や描画性能は向上していますが、たった1年でS20のパフォーマンスに不満を持っているユーザーはいないでしょう。買い換える必要はありません。
5G対応スマートフォンに買い替えたい人には推せます。それも「5G対応のスマホに買い替えたい。Sub6だけじゃなくミリ波も。ゲームするから性能が劣るミドルレンジのスマートフォンは嫌。写真もキレイに撮りたい。価格は10万円前後ぐらいが良い」というわがままな人に。
今年のトレンドにこと間違いなしのリフレッシュレート120Hzのディスプレイに対応。おサイフケータイ/FeliCaも搭載しているため、SuicaやiDなどタッチ決済も利用できるほか、IP68の防水防じんにも対応しています。
トレンドだけでなく価格も抑えられています。販売価格はau版が11.8万円、ドコモ版が9.9万円で、いずれも実質負担額は6.6万円。
ライバル機種としてソニーの「Xperia 1 III」が6月中旬以降に携帯3社から発売されますが、発売日まではまだ遠く、おそらく販売価格はもう少し高く設定されることが予想されます。
Galaxy S21 5Gの発売日は4月22日。発売日の前日までに予約して購入後、キャンペーンサイトから応募すると、Samsung純正のフルワイヤレスイヤホン「Galaxy Buds+」が無料でもらえるので早めにどうぞ。