KDDIが「つながる体感No.1説明会」を開催しました。
“つながる体感No.1”というのは、世界中のキャリアの通信品質を評価するOpensignalの最新調査において、auがトップ評価を獲得したことを受けて付けたものと思われます。
わずか5ヶ月前にふるわなかった前回調査から大きく飛躍した理由や、どのように体感品質が変わったのかを説明しました。
“なんちゃって5G”をあえて優先したKDDI
2020年3月に日本でもスタートした5G。KDDIはこれまでの4年間を「5G導入期」と位置づけ、4Gの周波数を5Gに転用する4G転用周波数を優先して、5G基地局を整備してきました。
4G転用周波数は使用する周波数が4Gと変わらないため、速度は5Gには遠く及ばず、スマホの画面には5Gと表示されているのに、通信速度は4Gと変わらないことから“なんちゃって5G”と揶揄することもありました。
5Gはまさに桁違いのスピードが出るものの、周波数の特性上カバー範囲が狭く、さらに衛星通信との干渉による出力制限でカバー範囲がさらに狭くなる問題がありました。
そこでKDDIは、電波が届きやすくエリア拡大に効果的な4G転用周波数を優先して整備を行った結果、2024年3月末の5G基地局数は業界最多となる9.4万局に到達します。
また、5G専用周波数の整備も疎かにしていたわけではなく、5G Sub6の基地局数も2位のドコモを大幅に上回る約3.9万局を整備するなど、こちらも業界最多となっています。
これだけ基地局数に違いがあれば、もっと早い段階でauの通信品質が高く評価されてもいいはずですが、5G Sub6の周波数が衛星通信の地球局と干渉することからこれまでは出力を制限し、アンテナの角度も下げていたことから本来のパワーを発揮できずにいました。
衛星通信との干渉問題は2024年3月末をもって緩和されたことで、KDDIだけでなく他社も出力制限を解除して運用を開始。圧倒的な5G Sub6の基地局数を誇るauは、出力制限の解除によって5G Sub6のエリアが最大2倍に拡大し、さらにアンテナの角度を最適化することで、最大2.8倍まで拡大しています。
この結果、Opensignalの通信品質調査において18部門中、13部門(うち単独受賞10部門)を獲得する形になりました。
特にKDDIが誇らしく語るのは「一貫性」と「信頼性」で単独受賞したことです。
一貫性は、つながった後の品質を評価するもので、快適な通信体験に影響するスループット(実効速度)やレイテンシ(遅延)が評価項目に含まれています。
これまで一貫性の部門は、KDDIと同じように4G転用周波数を優先してエリア整備してきたソフトバンクがトップを獲得していましたが、KDDIが奪取する形になりました。
新しい評価項目の信頼性は、一貫性につながりやすさを評価項目に加えたもの。そもそもつながるのか、その上で品質の良さが審査されています。
エリアの広さが評価されながらも、通信品質の低下が叫ばれているドコモが一貫性で4位、信頼性で2位になっているところから評価内容の違いが読み取れます。
Opensignalの調査では、4G転用周波数を整備してきたKDDIとソフトバンク、5Gの周波数を整備してきたドコモと楽天モバイルで評価が綺麗に分かれた形になりました。
KDDIはナンバーワンの評価を獲得できた理由について、浸透度の高い4G転用周波数による広範囲な5Gエリアの上に、業界最多局数の5G Sub6を高密度に展開することで高速・高品質な5Gを形成できたことを挙げています。
一方で、ドコモと楽天モバイルについては、4G転用周波数で整備したエリアが狭い、または帯域が薄いため、カバー範囲の狭い5G Sub6にエリア展開が依存し、速度低下や品質劣化に結びつくと分析。
具体的には、5G Sub6のエリア端で弱い電波を保持したり、5G Sub6への過剰な誘導によって混雑が発生するとのこと。
これらを踏まえて、かつて「なんちゃって5Gと揶揄された4G転用周波数がやはり重要」と語りました。
最強のデュアル5Gでナンバーワンに
KDDIは、広範囲をカバーする4G転用周波数と、高速なSub6で構築されたネットワークを「最強のデュアル5G」とアピールします。
高密度に展開されたSub6エリアは、電波強度も高く、屋内や車内でも高速通信が可能で、100Mbpsを超える高速通信を8割以上で実現。平均でも300Mbpsを超えを達成するなど、KDDIは「いよいよ本来の高速な5Gの提供が始まる」とします。
実効速度も20Mbps以上(YouTubeで4K UHD動画を視聴するための推奨速度)を記録する割合が91%から95%に向上し、50Mbps以上も71%から82%まで大幅に改善。
遅延も30ms以下(対戦型オンラインゲームで推奨される応答時間)を記録する割合が88%から92%に改善、20ms以下も51%から71%まで大幅に改善されたとのこと。
今後の品質改善については、実証実験で混雑したエリアでの通信速度が1.6倍になることを確認できたMassive MIMOを導入するほか、100Mbpsの帯域幅x2ブロックを活用したデュアルバンドのMassive MIMOを来年以降に提供するとしています。
また、Starlinkとの業務提携によるスマホと衛星の直接通信については、年内にサービス開始が予告されていましたが、ついに日本でも実証実験が可能になったとのこと。
サービス開始時期については延期せず、「少し楽しみに待ってもらえれば」と語っており、近いうちに何らかの発表があるものと思われます。
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