きょう全面施行、スマホ新法で何が変わる?Googleが検索・決済への影響を説明
Yusuke Sakakura
Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

12月18日、スマホソフトウェア競争促進法——いわゆるスマホ新法が全面施行されました。
GoogleやAppleといった巨大プラットフォーマーの影響力を抑制して、公正な競争環境を整えることを目的とした法律で、主に選択画面(チョイススクリーン)や独自課金システムの解禁といった大きな変更があります。
検索エンジンとブラウザの選択画面(チョイススクリーン)
これまでのスマートフォンでは、多くの人がブラウザや検索エンジンを意識して選ぶことはなく、初期設定のまま使い続けてきました。
こうしたデフォルトを巡っては、GoogleがAppleに年間2〜3兆円、Samsungにも4年間で約1.2兆円を支払ってきたとされるなど、巨額の資金が動いてきた背景があります。
スマホ新法では、この状況を是正するため、公正な競争を確保する仕組みとして、利用者が必ずブラウザと検索エンジンを選択する「選択画面(チョイススクリーン)」が導入されます。
Googleは、選択画面をAndroidおよびiOS上のGoogle Chromeアプリで順次表示するとしています。
アプリ内課金の代替システム
かつて、アプリ内でアイテムなどを購入する場合、原則としてGoogle Playの課金システムを利用する必要がありました。
Google Playを通じた課金では、売上の最大3割が手数料——いわゆる”Google税”として差し引かれ、残りが開発者の収益となります。
これに反発したEpic Gamesは、「フォートナイト」に独自の課金システムを導入し、Google Playの課金システムよりも割安でアイテムを販売しましたが、Googleはポリシー違反として同作をGoogle Playストアから削除しました。
Epicの捨て身の行動は、アプリストアの課金ルールや手数料のあり方に対する問題提起として大きな注目を集め、プラットフォーマーと開発者の力関係を改めて浮き彫りにするきっかけとなりました。
その後、Googleはゲーム以外のアプリを対象に「選択型決済プログラム」の提供を開始。開発者が独自の課金システムを導入できる仕組みを整えてきました。
今回、スマホ新法に基づき、この仕組みはゲームを含むすべてのアプリへと拡大されます。
独自の課金システムが容認されることで、最大3割のGoogle税を支払う必要がなくなり、これまでよりも割安でアプリ内のアイテムを購入できる可能性があります。
最大2割のGoogle税、外部決済プログラム
独自の課金システムなど、外部決済で懸念されるのが、セキュリティや返品などのアフターサポートです。
これまで、クレジットカード情報をGoogleに登録しておけば、すべてのアプリで同じように決済でき、誤って購入した場合でも返品手続きに対応してもらえました。
一方、独自決済では、返品の可否や手続き方法も異なり、決済サービスごとにクレジットカード情報を登録する必要があるため、流出のリスクも増えるなど、価格面のメリットと引き換えに、ユーザー側の負担が増える可能性があります。
そこでGoogleは、開発者がGoogle Playの課金システムでの購入と自社ウェブサイトでの購入という2つの選択肢を並べて提示できる外部決済プログラムの提供を開始します。
プログラムの参加要件には、カスタマーサポートや不正取引の異議申し立てを行うためのプロセス、払い戻し方法の提供(不可であることを明示した場合を除く)が含まれているため、安心して利用が可能です。
ただし、開発者は最大2割の手数料の支払いが必要になります。
ユーザーが外部決済リンクをたどってから 24 時間以内に、開発者のウェブサイトまたは開発者のアプリ内デジタル機能やサービスの決済アプリで取引を完了した場合、次の手数料が適用されます。これらの外部取引の手数料は、すべての自動更新定期購入で 10%、対象となる開発者の年間総収益の最初の 100 万ドル(USD)以内の取引で 10%、アプリ内デジタルコンテンツのその他すべての購入で 20% となります。
スマホ新法とDMAの違い
Googleは、公正取引委員会との1年半にわたる協議の経緯を公開し、同委員会への感謝を述べています。
興味深いのは、他国の事例(おそらくEUのDMAを指していると思われます)を引き合いに出し、「規制がセキュリティやユーザーの安全に悪影響を及ぼすトレードオフ」について、以前から懸念を伝えてきたと明かしている点です。
その点において、スマホ新法には重要なセーフガードが含まれていると評価しています。サイバーセキュリティやプライバシー保護などを目的とする場合には、「正当な理由」に基づく例外措置が認められており、便利な機能が規制によって損なわれるリスクを最小限に抑えられるとしています。
また、セキュリティへの不安はGoogleだけのものではないとも強調しています。日本のデベロッパーを対象とした調査では、79%が主要ストア以外でのアプリ配信にセキュリティリスクを感じているとしています。






















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