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Google、Galaxyスマホのアプリストアや検索のデフォルト設定でSamsungに1.2兆円を支払う

Yusuke Sakakura

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ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

2023/11/15 7:45
Google、Galaxyスマホのアプリストアや検索のデフォルト設定でSamsungに1.2兆円を支払う

Googleは自社の検索サービスを他社のスマートフォンのデフォルトに設定するために多額の費用を支払った行為が市場競争を阻害し、検索市場を違法に独占しているとして米司法省に訴えられています。

GoogleはEpicにもフォートナイト関連で訴えられており、同裁判ではGoogleが同じ手法を用いてAndroid端末メーカーに同社のアプリをプリインストールさせて収益を分配していたことと、独自のアプリストアを提供するSamsungには、Galaxyストアをホーム画面から排除してGoogle Playストアのみを配置するよう持ちかけたものの拒否されていたことが明らかになっています。

プリイン保証と独禁法違反疑いの分配システムには年間45億ドル

The VergeのSEAN HOLLISTERが公開した日本時間14日に開かれた法廷レポートによると、GoogleがすべてのAndroidパートナーに対して、Google Playストアをプリインストールしてデフォルトのホーム画面に配置するーーMADA契約(Mobile Application Distribution Agreement)を求めていると指摘されると、Androidプラットフォーム・パートナーシップ担当副社長のJames Kolotourosがこの事実を認めています。

MADA契約の存在もその内容も約10年前の対Oracle訴訟で存在が明らかになっているため、新しい発見はなく驚きもありません。

ただし、今回はメーカーに対してGoogle Playと広告収入の一部を分配していたことに加えて、プリインストール保証と収入分配に使った資金が2020年で29億ドル(約4390億円)、2023年には45億ドル(約6780億円)まで増加していることも明らかにされています。

この事実を明らかにしたEpicの目的は、この分配システムがサードパーティのアプリストアの普及を妨げていると主張することです。

Epicが開発するフォートナイトはアプリストアから入手できず、Epicの独自ゲームアプリストアを含むサードパーティのアプリストアやクラウドゲームでプレイする必要があるなど、サードパーティのアプリストア普及はEpicにとってはとても重要です。

そういったなかでOnePlusはフォートナイトを入手できるEpicのアプリストアを同社のスマートフォンにプリインストールして出荷することを計画したものの、Googleからは後述するプレミア層を放棄する必要があるとの説明を受けて結果的にOnePlusは断念したそうです。

収益の分配システムにはティア制度が導入されていて、プレミア層ではGoogleアプリをプリインストールできるものの、競合アプリのプリインストールは認められていません。

Googleの説明によれば、プレミア層にするかどうかはメーカー側に機種ごとに決定権があり、プレミア層を放棄すればプリインストール規制を回避することも可能。なお、アメリカのスマートフォンの95%はプレミア層ではないそうです。

Galaxy StoreがプリインストールされたGalaxy Z Fold5
Galaxy StoreがプリインストールされたGalaxy Z Fold5

OnePlusが断念した一方で、SamsungのGalaxyスマートフォンのホーム画面には、Google PlayストアとGalaxyストアの両方がプリインストールされていてホーム画面に横並びされています。

GoogleはSamsungにも独自のアプリストアをホーム画面に置かないよう提案したものの拒否され、最終的にはGoogleのアプリストア、検索、アシスタントをデフォルト設定にすることを約束し、4年間で80億ドル(日本円で1.2兆円)を支払うことに同意しています。

この分配システムは日本でも公正取引委員会が独占禁止法に違反する疑いがあるとして審査を開始したことを発表しています。

Android端末メーカーらとの間で、自己と競争関係にある事業者の検索アプリケーションを搭載しないこと等を条件に、自己が検索連動型広告サービスから得た収益を分配する内容の契約を締結することにより、自己と競争関係にある事業者の事業活動を排除し、又は取引先事業者の事業活動を制限している疑いがあります。

これは政府のデジタル市場競争会議が問題視しているアプリのサイドローディング(公式ストア以外からアプリを入手すること)規制にも関わってくる話です。

同会議はAppleなど大規模なOSを提供する事業者に対してサードパーティのアプリストアを認めさせてアプリストアにも競争環境を作ろうとしています。

ただし、Androidでは最初からアプリストアの競争環境があったにも関わらず、今Google Playストア以外の有力な選択肢がないことから無駄だと筆者は主張しましたが、これまで有力なアプリストアが生まれる可能性をGoogleが摘み取っていたのであれば、アプリストアの競争環境はこれまでも無かったことになります(サードパーティのアプリストアが必要かどうかはまた別の話)

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