AppleがAirPods Proの後継機種として2倍の雑音を消すノイズキャンセリングと待望の音量調整に対応したAirPods Pro (第2世代)が2022年9月23日に、USB-C端子を搭載したアップグレード版が2023年9月22日に発売されました。
2019年発売の第1世代モデルから4年以上が経過しているため買い替えを検討している人もいるでしょう。また、整備済み品を含む第1世代の販売が継続されていることもあって、第1世代と第2世代のどちらを購入するのか迷っている人も多いはず。
さらに、4年前の発売日に買った筆者のAirPods Proはバッテリーの劣化によって電池持ちが悪化。片方から音が聞こえなくなったので1万円を払って修理するなど限界が来ていますが、おそらくみなさんのAirPods Proも似たような状況のはず。
AirPods Pro 2に買い換えるのか、それとも修理しながら使い続けるのか、どれがあなたにとって最適な選択肢か決めるために、この記事ではどれぐらい進化したのか、AirPods Pro (第1世代)との違いを徹底的に比較しています。
目次
AirPods Pro 2の違いを比較
AirPods Pro(第2世代) | AirPods Pro(第1世代) | |
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デザイン | ||
価格 |
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38,800円 |
大きさ |
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重さ |
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スピーカー |
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マイク |
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操作方法 |
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音声コントロール | Hey Siri | Hey Siri |
充電ケース |
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電池持ち |
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充電時間 |
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充電端子 | Lightning | |
ワイヤレス充電 |
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MagSafe |
Bluetooth | 5.3 | 5.0 |
耐水性能 | IP54 | IPX4 |
イヤーチップ | シリコーン製(4サイズ同梱) | シリコーン製(3サイズ同梱) |
チップ |
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センサー |
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アクセシビリティ |
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紛失したAirPodsを探す |
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同梱品 |
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価格を比較
第1世代のAirPods Proの価格は38,800円。AirPods Pro 2は少し値上げされて39,800円で販売されています。差額はわずか1,000円です。
ただし、AirPods Pro(第1世代)は2019年10月に30,580円で発売されたものの、円安の影響で2022年7月1日に8,220円も値上げされています。
次にAirPods以外のフルワイヤレスイヤホンと価格を比較してみます。
優れたアクティブノイズキャンセリング機能を搭載したフルワイヤレスイヤホンの「Sony WF-1000XM5」は41,800円、「Bose QuietComfort Earbuds II」は36,300円です。つまり、AirPods Pro 2の価格は競合機種の中間に設定されています。
サイズと重さを比較
AirPods Proの形状とデザインは前世代と同じ。本体は0.1gだけ軽量化されました。
フィット感や使用感はほとんど同じ。ただし、XSサイズを追加した全4種類のイヤーチップが同梱されるようになったので、耳穴の小さな人はより高いフィット感を得られるかもしれません。
充電ケースは新たにスピーカーとU1チップを搭載。IPX4の防滴にも対応しました。それでもサイズと重さに変化はありません。
電池持ちを比較
AirPods Pro 2では、イヤホン本体と充電ケース併用時ともに電池持ちが改善されています。
アクティブノイズキャンセリングをオンにした時の連続再生時間は4.5時間から6時間に。マイクを使った連続通話時間も3.5時間から4.5時間に伸びています。
充電ケースでの充電を含めた再生時間は24時間以上から最大30時間に向上しています。
耐汗・耐水を比較
AirPods Pro(第1世代)は本体のみIPX4の耐水性能を備えていました。
AirPods Pro 2は本体の耐水性能は変わらないものの、充電ケースも新たにIPX4に対応しています。
音質・音楽機能を比較
最新のAirPods Proには、新しいH2チップが搭載されたことで音質も向上しています。
新しいアルゴリズムによってサウンドの高速処理が可能になり、音が耳に届く瞬間にオーディオをチューニングすることで、耳の形に合わせてディテールを再現。より原音に忠実なサウンドを鳴らします。
また、ドライバとアンプとの連携によって、オーディオ再生中の歪みを低減し、どんな音量で音を聴いている時でも、鮮明でクリアな高音と深みのある豊かな低音が楽しめます。
マイクも進化しました。自分の声を一段と正確に認識してクリアに再現し、音声通話やビデオ通話中でも声がより自然に相手に聞こえます。
2倍の雑音を消すアクティブノイズキャンセリング
もともと高く評価されていたアクティブノイズキャンセリングはAirPods Proがもたらす音楽体験で最も大きく進化したポイントです。
外から入ってくる音を最もすばやく検知できる場所にノイズキャンセリングマイクと後部の通気口が配置され、新しいドライバと進化した音響アルゴリズムによって、AirPods Pro(第1世代)に比べて最大で2倍の雑音を消すことが可能に。
また、付属のイヤーチップにXSサイズが追加されたことで、耳穴の小さい人でも耳の中を密閉することが可能になり、音漏れと雑音の流入を防ぐことができます。
大幅に進化した外部音取り込みモード
適度にノイズキャンリングを効かせながら周囲の音を取り込むことで、街中でのランニングなど周囲の安全を確保しながら音楽を楽しめる「外部音取り込みモード」も新しいH2チップによって大幅にアップグレードされました。
新機能の「適応型環境音除去」によって、通過する車のサイレンや工事の音、コンサートでの大音量スピーカーなど大きな周囲の雑音を検知すると、オンデバイスでノイズを処理して、周囲の音がより快適に聞こえるように。
実際には、ある一定の音量を検知するとノイズキャンセリングが働くような感じです。ノイズの低減量や周りの音をどれぐらい取り込むかはiPhoneの設定画面から自由に調整できます。
パーソナライズされた空間オーディオ
3Dサウンドの空間オーディオとダイナミックヘッドトラッキングには、iPhoneのTrueDepthカメラと連係して頭の形をもとに最適化するパーソナライズ機能が追加されます。
音の感じ方は、頭や耳の大きさと形状によって異なるため、iPhoneのフロントカメラでそれぞれの形を認識して自分専用に調整し、より臨場感のある3Dサウンドを体験できます。
こういったスマートフォンのフロントカメラを利用した体験向上は大きな変化を感じにくいことがほとんどですが、パーソナライズされた空間オーディオにはかなり大きな効果があり、セットアップが超むずかしいことを除けば国内外で高く評価されています。
なお、パーソナライズされた空間オーディオは、iOS 16によって追加された機能でアップデートすれば、AirPods Pro(第1世代)でも利用できます。
ようやくAirPodsだけで音量調整が可能に
AirPodsシリーズ最大の不満は耳元で音量調整ができず、ポケットやカバンからiPhoneやApple Watchを取り出して音量を変えるか、Siriを利用する必要があることでした。
AirPods Pro 2は、新しい「タッチコントロール」を搭載したことで、スピーカーから伸びるステム(軸)を上下になぞる(スワイプ)ことでAirPods単体で音量の調整が可能に。
スワイプを認識すると「トン」と音が鳴り、最大音量になると「ピン!」と高い音で警告。音量がゼロになると「ポン」と低い音でフィードバックしてくれます。
音量が変わるのはスワイプした瞬間ではなく、ステムから指を離した時のため、ちょっとだけ慣れが必要ですが、やはりAirPods単体による音量調整はかなり便利な機能です。
もちろん、これまでのAirPods Proと同じように1回つまんで音楽の再生と一時停止、電話への応答と通話の終了、長押しでアクティブノイズキャンセリングと適応型環境音除去を切り替えることもできます。
新しい肌検出センサー
AirPodsは耳から外すと自動で音楽を一時停止し、再び耳に入れると自動で再生を再開するスマートな機能が備わっています。
AirPods Pro(第1世代)では、デュアル光学センサーで光の差分を判断して、耳への出し入れを検知していましたが、ポケットやカバンに入れた時でも耳に装着したと判断して誤作動することがありました。音楽を聴いていないのにAirPods Proのバッテリーが切れていた経験がある人は、この誤動作のせいでしょう。
AirPods Pro 2では、進化した新しい肌検出センサーによって耳への出し入れを正確に検知して、音楽を自動で一時停止および再生します。
大幅に進化した充電ケース
充電ケースは、紛失してもすぐに発見できるように大きく進化しました。
ケースの側面には、ストラップホールが追加されたことで、バックパックやカバン、ポーチなどにカンタンに取り付け可能に。「どこのポケットに入れたっけ?」とAirPods Proを探すためにバックパックやカバンを漁る必要はありません。
さらに、AirTagと同じU1チップを追加したことで近距離での正確な位置情報も確認できるようになりました。
AirPods Pro 2の充電ケースを自宅で見失ったり、どこかに置き忘れた時は「探す」アプリを使ってAirPods Pro 2が、どの方向にあるのか確認しながら見つけることが可能です。
また、スピーカーも内蔵されたことで、より大きな音を鳴らしてAirPods Pro 2を見つけやすくなるなど、より紛失しにくく、より探しやすくなっています。
ちなみに、2019年の発売当時には対応していなかったMagSafeによる充電にも対応しています。
iOS 17で進化したAirPods Pro 2
2023年秋に公開されたiOS 17では、AirPods向けの新機能が追加されました。
AirPods Pro (第2世代)には、アクティブノイズキャンセリングと適応型外部音取り込みモードを動的に組み合わせた「アダプティブオーディオ」機能が追加。
アダプティブオーディオは、作業や勉強、音に集中できるようノイズを低減しつつ、注意する必要がある自転車のベルの音などを取り込み、びっくりするような巨大な音をカットする良いとこどりの機能です。
さらに、音楽を聴いている時でも会話しやすいように誰かと話し始めるとAirPods Pro (第2世代)が自動的に音量を下げる会話感知機能も追加されます。
ほかにも通話中にステムを押すだけで素早くミュート/ミュート解除が可能に。使用しているデバイスに自動接続/スイッチする便利な機能は、スイッチスピードが大幅に向上し、信頼性も向上します。なお、これらのアップデートはAirPods Pro(第1世代)も対象です。
まとめ:AirPods Pro 2に買い替えるべき?
以上がAirPods Pro 2とAirPods Pro(第1世代)の違いです。
デザインの変更などを含むビッグアップデートではないものの、高い人気を誇る機能が大きく進化しました。
なかでも魅力的な進化は最大2倍の雑音を消すことができる新しいノイズキャンセリング機能です。
AirPods Pro(第1世代)も不快感のないレベルまでノイズを低減してくれますが、さらに1段階上のレベルのノイズキャンリングが欲しいならAirPods Pro 2を選ぶべきです。
Appleがアピールする最大2倍の効果が確かに感じられるほど効果の差は歴然。これまで満足していたものが途端に物足りなく感じるほど。
特に通勤や通学の電車内や図書館、カフェなどで勉強や作業する時間が多い人は迷う必要はありません。
待望のAirPods単体による音量調整も追加されています。
これまでは音量を調整したいだけなのに手首を上げてApple Watchのデジタルクラウンを回したり、ポケットからiPhoneを取り出す必要がありましたーーHey Siriを使って音量調整をする人はほとんどいないでしょう。
これからは耳元で指を上下に動かすだけ。特にワークアウトなど、iPhoneやApple Watchに手が伸ばしづらい状況でAirPodsを使用している人にとって魅力的な機能です。
また、2023年9月に発売された最新モデルは充電ケースの端子がLightningからUSB-Cに変更されたことで、iPhone 15やiPadのバッテリーをおすそわけしてAirPods Proを充電することも可能になりました。
価格は39,800円。初めてAirPodsデビューする人には手を出しづらい価格です。決して安く払いません。
ビッグアップデートではないイヤホンに約4万円を出して無理に買い換える必要性はないため、現在使っているAirPodsの電池が全然持たなくなった、片方から音が聞こえなくなった、ノイズキャンセリングが物足りないなど、買い替えのタイミングで購入するのが良いと思います。
AirPods Pro以外のモデルを使用しているのであれば、今すぐに買い換えることをオススメします。