米司法省がGoogleを反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴した件で、今年8月、連邦地裁はAndroidのデバイスメーカーや携帯キャリア、ブラウザメーカーとの契約が競争を阻害する独占的な内容であると司法省の主張を認める判断を下しました。
司法省は独占状態を解消するためにChrome、Android、Google Playの売却等を求めていますが、Googleはこれを拒否。司法省の提案が判決の範囲を超えており、イノベーションを阻害する恐れがあるとして批判し、代わりにAndroidメーカーやブラウザメーカーとの契約を大幅に見直す案を発表しました。
Googleアプリを単独でプリインストール可能に
Googleの提案では、AndroidメーカーがGoogle検索、Chrome、Google Playのプリインストール不要で、GoogleマップなどのGoogleアプリを単独でプリインストール可能になります。
ブラウザメーカーとの契約では、Googleが対価と引き換えにデフォルト検索にすることを求めることを継続しつつ、長期的な契約を禁止し、1年ごとに契約を更新できるようにするとしています。また、AppleがiPhoneとiPadで異なる検索エンジンをデフォルトに設定したり、通常モードとプライベートブラウジングで別の検索エンジンをデフォルトに設定することもできます。
さらに、今後Google検索の代替となり得るGeminiについてもライセンス強要を禁止し、ChatGPTのような競合の生成AIチャットボットサービスを排除する行為を禁止する内容が含まれています。
- Android契約の変更
- Google Playストアやその他Googleアプリのライセンスを、他のアプリライセンスの条件にすることを禁止
- 競合の検索エンジンやサードパーティのブラウザをモバイル端末にプリロードしたり、配置することを制限しない
- Geminiアプリをライセンスすることなく、Google Playや検索(またはChrome)をライセンスする
- 競合の生成AIアシスタントチャットボットサービスのプリロードを制限しない
- ブラウザ契約の変更
- 検索エンジンのデフォルト設定に関する契約は1年ごと更新が必要に
- iPhoneとiPadといった異なるプラットフォームや、プライベートモードなど異なるブラウジングモードにおいて、異なる検索エンジンをデフォルトに設定可能に
司法省は10年間の適用期間を求めていますが、Googleは、AIの進化により検索業界が急速に変化し、新規参入企業や新しい検索情報が登場するなど、競争が激化していることを理由に3年間に短縮するよう求めています。
仮にGoogleの提案が認められれば、メーカーや消費者にとって検索エンジンやブラウザの選択肢が広がります。ただし、GoogleはGoogle検索やGoogle Playをプリインストールする代わりに収益を分配する仕組みを導入していることから、メーカーが分配収益を手放す可能性は低いと見られます。また、仮に手放しても端末価格に転嫁されて消費者に影響が及ばないのか気になるところです。
Googleは控訴する方針
Googleは裁判所の発言を引用しながら、自社が最高の検索エンジンを構築し、モバイル分野への初期投資のような賢明な投資と経営判断、イノベーションを通じて人気と成功を獲得したと述べ、「利用者はGoogleを使わなければならないから使うのではなく、使いたいから使っている」と説明するなど、他社を市場から追い出すことで現在の圧倒的な地位を確立したわけではないと主張しています。
Googleの提案は、2025年4月に予定されている司法省の公聴会を経て変更される可能性があります。判決は2025年9月までに下される予定ですが、Googleは控訴する方針を示しているため、訴訟の長期化が予想されます。
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