Photo by Kārlis Dambrāns
サムスンは、同社のスマートフォン「Galaxy」向けの標準ブラウザで利用できる広告ブロック機能を2月1日に提供したばかりですが、グーグルの手によってたった3日で削除されてしまいました。
Galaxyの標準ブラウザに広告ブロック機能を追加するも、Googleに阻止される
サムスン、アップルのコンテンツブロッカーを“そっくりそのまま”提供
サムスンは、Galaxyに購入時からインストールしてある標準ブラウザ「Samsung Internet」に、iOSのSafariで実現されているコンテンツブロッカーを搭載しました。
これにより、第三者がコンテンツブロッカーのAPIを使って広告ブロックアプリを開発でき、ユーザーがアプリをインストールすれば、「Samsung Internet」に表示される広告をブロックできるという、すがすがしい程にアップルの機能をそのまま採用しています。
広告ブロックアプリ登場も、グーグルの手によりたった3日で削除
早速、Rocketshipが「Adblock Fast」を開発してGoogle Playストアに公開、提供開始からたった3日で50,000ダウンロードを突破しましたが、グーグルの手によってGoogle Playストアから削除されてしまいました。
TheNextWebによると、RocketshipはGoogle Playストアの審査チームからGoogle Playデベロッパー契約書の“4.4 禁止される行為”に該当するため削除したとの連絡を受けたとのこと。
4.4 禁止される行為: デベロッパーは、ストアに関して、第三者(Android ユーザー、Google、およびあらゆる携帯電話会社を含むが、これらに限定されない)の端末、サーバー、ネットワーク、またはその他の財産またはサービスへの妨害、中断、損害、または許可されていない態様でのアクセスとなる行為(そのような行為に該当する対象製品の開発または販売 / 配布を含む)に関与しないことに同意します。デベロッパーは、ストアから取得した顧客情報を、ストア外で対象製品を販売または配布する目的に使用してはなりません。
引用元:Google Play
規約は英語の直訳なので少しわかりづらいですが、既にGoogle Playストアには広告ブロック機能を備えたアプリが多数存在しているため、アプリの特性を考慮してグーグルが削除したわけではありません。
思い返すと、2013年にグーグルはAdBlock Plus・AdBlocker・AdAwayなどの広告ブロックアプリをストアから一斉に削除し、この時もGoogle Playストアの審査チームから上記の契約に違反したとの連絡を受けています。
さらに、Firefox・Sleipnir・Adblock Browserなどブラウザに広告ブロック機能を備えたブラウザが規約違反に該当していないところを考えると、「Adblock Fast」が第三者の端末等への妨害等に該当するとのことから削除されたようです。
これは、「Adblock Fast」に限った話しではなく、サムスンが提供するコンテンツブロッカーのAPIを使ったアプリは全て上記の規約に該当し、サムスンが開発したAPIは全て無駄になるはずです。
アップルとサムスンが広告ブロックを標準機能として提供しない理由
広告ブロック機能はユーザー体験を向上させるための機能とされていますが、なぜかアップルもサムスンもユーザーにアプリを検索させて、インストールさせるという回りくどい、ユーザー体験としては全く良くない方法で提供しています。
広告ブロック=ユーザー体験の向上だと主張するのであれば、ブラウザの標準機能として提供するべきだと思いますが、アフィリエイトやバナー広告も含め、自社製品の広告を打つ一方で、広告をブロックするというジレンマから来るのでしょうか。