2015年秋のリリースを予定している次期iOS 9には「コンテンツブロック」と呼ばれる新機能が搭載されると報じられています。
コンテンツブロック機能は使い方によって広告を非表示にすることも可能とされているわけですが、想定していたよりも強力なようです。
iOS 9の新機能「コンテンツブロック」とは?
報道によれば、iOS 9に搭載されるコンテンツブロック機能を利用することで、Safariでウェブページにアクセスした時に表示される画像や広告を含むコンテンツを非表示にできるようです。
With iOS 9, Apple has added a special case of extension for ad blockers. Apps can now include ‘content blocker’ extensions that define resources (like images and scripts) for Safari to not load. For the first time, this architecture makes ad blockers a real possibility for iOS developers to make and iOS customers to install and use.
引用元:Sneak-peek at Purify: ad-blocking (and more) on iOS — from uBlock dev : apple
デフォルトの状態ではコンテンツブロック機能を利用することはできないものの、開発者が提供する拡張機能・定義ファイルを追加した上で、設定画面からコンテンツブロック機能のスイッチをオンにすれば利用可能とのこと。
コンテンツブロックが動作している動画が公開。バナー広告だけでなくYouTubeの広告まで非表示に
コンテンツブロック機能の概要は開発者向けに提供されているベータ版から明らかになったものですが、ベータ版には拡張機能または定義ファイルが入っておらず、実際に広告ブロックとして機能するのか、どれほどの効力を持っているのかは明らかにされていませんでした。
そんななか、ChromeやFirefox向けの広告ブロック機能を提供する「uBlock」の開発者Chris Aljoudi氏が1本の予告動画をYouTubeに投稿。
上記の予告動画ではChris Aljoudi氏が開発中とされる拡張機能「Purify Blocker」をインストールしたSafariでいくつかのウェブページにアクセスし、さらにYouTubeの動画を再生しています。
拡張機能をオフにした動画の前半部分では、これまでと同じようにウェブページ内のバナー広告が表示されており、もちろんYouTubeの動画を再生前に表示される広告も正常に表示されています。
しかし、動画の後半部分では、コンテンツブロック機能を有効にしたあとで同じウェブページにアクセスすると、ページ内のバナー広告やポップアップ広告、画面下に張り付く追尾型のバナー広告、YouTube内の動画広告までをも非表示にしていることが確認できます。
iOS 9の広告ブロックが与える影響は非常に大きい
コンテンツブロック機能の存在をいち早く報じた9to5Macは、この機能は正式版のiOS 9にも搭載される見込みと伝えています。ただ、その一方で最近配信されたばかりのiOS 9ベータ2版ではこの機能が削除されたようです。(開発者が参照するライブラリにはコンテンツブロック機能の説明が健在)
Safari – In beta 2, the option for “Content Blockers” in the Settings app under Safari is hidden until a Content Blocker is installed. There are also new options to toggle on the Tab Bar and Favorites Bar.
引用元:iOS 9 Beta 2 Tidbits: iPad Keyboard Tweaks, New Podcasts Icon, Improved Search and More – Mac Rumors
コンテンツブロック機能が正式にリリースされるのかどうかはアップルのみぞ知るところですが、「Purify」のような強力な広告ブロック機能が利用できるとすれば、インターネットのコンテンツをより快適に楽しむことができるため、利用者側としては非常に魅力的に映るのではないでしょうか。
ただ、その一方でコンテンツを提供する側にとっては非常に深刻な問題となります。メディアやブログ、サービスを提供する側の多くは、広告によって運営されており、特に個人で運営されているものは広告に頼るところが大きいわけで、コンテンツブロック機能によって大きな打撃を受ける可能性もあります。
ウェブにおけるスマートフォンのトラフィックは年々増えており、iOSのシェアが高い日本ならば特に影響は大きいでしょう。
そうなれば提供する側も対策が必要になります。
会員制を導入するのか、有料化するのか、影響を受けないアプリに活路を見出すのか、このブロック機能を拒否できるのかどうかはわかりませんが、コンテンツは非表示にし、「広告ブロック機能が有効になっているため、コンテンツを表示できません」などのメッセージを表示する「広告ブロックブロック」機能の実装などで対策を取るところも出てくるのではないでしょうか。
また、2014年第4四半期で売上高の89%を広告収入が占めているグーグルにも大きな打撃となるわけで、何らかの対策は打ってくるものと思われますが、さて、どうなるでしょうか。
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