「iOS 9」で追加された実質的な広告ブロック機能「コンテンツブロッカー」の影響で、スマートフォン向けウェブページの表示速度に注目が集まっています。
アップルからの攻撃とも言える行動に対し、グーグルがどのような対策を打つのか注目が集まる中、今年10月にAccelerated Mobile Pages――「AMP」を公開。
AMPが提供するフレームワーク「AMP HTML」をウェブサイトに導入することで、ページの表示速度に少なくない影響を与える広告を表示しながら、爆速でウェブページを読み込むことが可能になります。
グーグルは、この「AMP HTML」を2016年に本格展開することを発表しています。
モバイル向けのページを爆速で表示する「AMP HTML」
百聞は一見にしかずということでまずは以下のデモページにスマートフォンでアクセスしてください。
少し下にスクロールすると、BBC NEWSやワシントンポストのエントリーが表示されるのでタップすると、オーバーレイ形式でウェブページが表示されます。表示されるまでにかかる時間はまさに一瞬。爆速です。
「AMP HTML」の仕組みとしては、キャッシュの利用やリクエスト本数を減らすことで高速化を実現しています。
2016年早期にも検索結果に「AMP」対応ページが登場。WordPressのプラグインも開発中
「AMP HTML」を導入するには、ページ内のHTMLタグをAMP仕様のタグに書き換える必要があり、ハードルは低くありません。
読み込み速度に大きな影響を与えるJavaScriptの利用も制限されるため、アクセス解析や広告を表示できず、結果的には「iOS 9」のコンテンツブロッカーとそう変わらないモノと思っていましたが、AMPは広告主や広告掲載者の利益、訪問者のユーザー体験を損なわないように、という方針のもと発足されています。
具体的には、広告配信大手のDoubleClickやGoogleアドセンス、アクセス解析ではGoogleアナリティクスと協力してAMPに取り組んでおり、すでに広告やアクセス解析に対応するAMP仕様のタグが用意されています。
アップルが導入した「コンテンツブロッカー」は、広告だけでなく、アクセス解析もブロックするため、ユーザーにとっては優しいものの、サイトの運営者や広告配信者にとっては嬉しくない機能で、「iOS 9」の公開直後に広告ブロックアプリを有効にしている訪問者にはコンテンツを表示しない“広告ブロック返し”を導入するサイトも増えており、米Yahoo!は試験的にYahoo!メールを利用できないような対策を打っています。
これからも“広告ブロック返し”は徐々に広まっていくものと思われましたが、「AMP HTML」であれば、広告やアクセス解析を有効にしつつ、爆速なウェブページの提供が可能になるため、唯一の解決策になるかもしれません。
前述したとおり「AMP HTML」を導入するハードルは低くありませんが、ブログの管理・開発ができるソフトウェア「WordPress」ではAMPのプラグインを開発しているとのことで、プラグインの公開後は徐々に広まっていくものと思われます。
なお、2016年の早い時期にも「AMP HTML」を導入したウェブページがGoogleの検索結果に表示されるようになるとのこと。AMPに参加するメディアは、BBCやニューヨーク・タイムズ、ワシントンポストなど数千となっており、日本のメディアでは朝日新聞、毎日新聞、産経が含まれています。
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