レビュー「iPhone 6s」 3Dタッチ、着実な性能向上を遂げiPhone 6 Plusからの買い替えは大成功
9月25日にiPhone 6s / 6s Plusが発売されました。今年は前年に発売されたiPhoneの品質を向上する「s」シリーズの発売年。
これまでに発売された「s」シリーズのiPhone 3GS / 4s / 5sといった3機種はいずれも高評価を得たモデルになっていますが、iPhone 6s / 6s Plusの評価はどうなのかレビューします。
新色「ローズゴールド」はやはり女性に似合うカラー
iPhone 6s / 6s Plusでは、iPhone 5sのゴールド以来、2年ぶりとなる新色「ローズゴールド」が追加されました。スペースグレイ、シルバー、ゴールドは性別問わず使える3色に対して、女性向けの印象が強い新色です。
実際、手に取ってみると、やはり女性向けという印象が強いです。また、女性の中でも若い女性というよりは高年齢の女性向けで、「オバサンくさい」という意見も聞かれました。
昨年発売されたiPhone 6 / 6 Plusからボディの素材は、6000番台のアルミニウムから7000番台のアルミニウムに変更。強度をアップしつつ、わずかな軽量化を実現。ディスプレイには、スマートフォンにおいて「世界で最も強いガラス」が搭載されています。
ボディデザインに大きな違いはなく、明確な区別ができるポイントはカラーと背面にプリントされた「s」のロゴのみ。
前作で不評だった背面のiSightカメラはボディから突出しており、アンテナの役割を果たすDラインと呼ばれるプラスチックのパーツにも変化なし。色が濃いローズゴールドでは特にDラインが目立つ印象です。
iPhone 6s / 6s Plusともにボディサイズは縦・横・厚さともにサイズアップしていますが、いずれも0.2mm以下であるため、違いはほとんどありません。
一方で重さはiPhone 6sは129gから143gと14gアップ。iPhone 6s Plusにいたっては172gから192gと20gもアップしています。今回購入したiPhone 6sでもズッシリと重い印象を受けます。
iPhone 6s | iPhone 6 | iPhone 6s Plus | iPhone 6 Plus | ||
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サイズ | 縦 | 138.3mm | 138.1mm | 158.2mm | 158.1mm |
横 | 67.1mm | 67.0mm | 77.9mm | 77.8mm | |
厚さ | 7.1mm | 6.9mm | 7.3mm | 7.1mm | |
重さ | 143g | 129g | 192g | 172g |
新機能の「3Dタッチ」で片手操作がますます便利に
新機能の「3Dタッチ」は、ディスプレイを深くプレスすることで、アプリの特定機能のショートカット起動やSafari、メールアプリではリンクを開く前のプレビュー、文字入力時の上下左右のカーソル移動、文字の範囲選択が利用できます。新機能の割には地味ながらも利用機会が多く利便性の高い機能です。
カーソル移動はサードパーティ製の文字入力アプリがすでに提供していますが、標準の文字入力機能が対応したこと、さらに直感的な文字の範囲選択が利用できるのは嬉しいところ。片手での文字入力がさらに捗るようになりました。
iPhone 6 / 6 Plusからボディサイズが大きくなったことで、ホームボタンに指を伸ばして2回クリックする動作が手間になっています。
3Dタッチによるアプリの切り替えは、ホームボタンに手を伸ばさずともアプリの切り替えができてしまう感覚でPCで言うところのマウスに手を伸ばさなくても良いキーボードショートカットに近いものがあります。ボディサイズの大きいiPhone 6s Plusであれば特に重宝する機能になるでしょう。
これまでのタップ・スワイプ・ピンチに加えて新たな操作方法が加わったことで、これまでにはなかった面白いアプリが生まれてくる可能性に期待したいところですが、アプリ側も「3Dタッチ」に対応する必要があるため、現時点では限られた場面とアプリでしか利用できず、「3Dタッチ」が利用できるのは、iPhone 6s / 6s Plusに限られるため、サードパーティ製のアプリが本腰を入れて対応するのはもう少し先になるような気がします。
また、「3Dタッチ」の感度は良いとは言えず、思った通りに動いてくれないことが多々あります。カーソル移動や文字の範囲選択、アプリの切り替えなどは頻繁に使うため、より高い操作性を求めたいところ。「3Dタッチ」を搭載した初めてのモデルということで、来年以降の改善に期待です。
第2世代の「Touch ID」搭載 指紋の認証速度・精度が大幅に向上
iPhone 6s / 6s Plusでは、2倍に向上した「LTE(下り最大300Mbps)」と「Wi-Fi(最大866Mbps)」、70%向上した「処理速度(CPU)」、90%向上した「描画速度(GPU)」などあらゆるポイントで高速化が図られていますが、その中で最も高速化を体感でき、オドロキまで得られたのが第2世代の「Touch ID」を利用した指紋認証です。
これまでのiPhoneの指紋認証は、決して認証速度・精度も悪い方ではありませんでしたが、飛び抜けたものではありませんでした。ただ、iPhone 6s / 6s Plusの指紋認証は爆速と言って良いレベルにあります。
画面ロックの解除、アプリや音楽の購入など利用機会の多い指紋認証なのでここまでの進化を遂げた点は非常に嬉しいですね。
着実な性能進化 1.85GHz×クアッドコア、RAM容量2GB、L3キャッシュ3MB
iPhone 6s / 6s Plusは、「s」シリーズならではの着実な性能進化も遂げています。CPUは1.3倍増となる1.85GHzのクアッドコア、RAMの容量は倍増となる2GB、L3キャッシュも3MBの3倍増。
RAMが1GBのiPhone 6 Plusでは、ゲームをプレイしている途中でLINEやメールなどを確認し、もう一度ゲームアプリに戻ってくると、オープニングの画面が表示され、オートセーブに対応していないゲームでは進行状況が消えてしまったり、乗り換え検索アプリなら検索結果がクリアされてしまう、Safariならばページの再読み込みが発生する、といった事象に度々直面しましたが、iPhone 6sでは今のところそういった事象は起きていません。
また、CPUの性能が向上したことでアプリの起動時間も高速に。電車やバスの乗り換え検索アプリやGoogleマップなど、少しでも早く起動したい時にストレスを感じません。
iPhone 6s / 6s Plusへの買い替えはアリ?ナシ?
進化の度合いが鈍くなってきたiPhoneの買い替えにおいて重要なポイントとなるのは、もはや新機能ではなく画面のサイズでしょう。
昨年購入した5.5インチのiPhone 6 Plusは、大容量のバッテリーを搭載しているため、電池を大量に消費するテザリングやゲーム用途には向いているものの、文字入力やブラウジング、カメラといった利用機会の多い機能が非常に使いづらくなってしまいました。特にカメラはポケットからサッと取り出して、サッと撮影したいのにそれが出来ないのが非常にストレスでした。
結局はiPhone 6 Plusの購入から3ヶ月後に4.6インチの小型スマホ「Xperia Z3 Compact」を購入。メインで利用するスマホはiPhoneからAndroidに変わってしまいました。それほど画面サイズは重要なポイントです。
iPhone 6s / 6s Plusには、「3Dタッチ」や1,200万画素に向上したカメラ、写真に動きと音楽を記録できる「LivePhotos」、第2世代の「Touch ID」など、唯一使える機能を搭載し、CPUやRAMなど中身も着実な進化を遂げていますが、これらの要素は魅力的ではあるものの、無いと困るものではなく、画面サイズと引き換えにするほどでもありません。
今、利用しているiPhoneの画面サイズに不満を抱いている人なら、iPhone 6s / 6s Plusへの買い替えはアリだと思います。自分はiPhone 6 Plusのサイズに耐えられなくなり、iPhone 6sに買い換えた結果、サイズが小さくなったことはもちろん、3Dタッチの恩恵もあって片手操作が劇的にラクになったため、とても満足しています。
ただ、このタイミングで買い替えを検討している人の多くは2年前に発売されたiPhone 5s / 5cの利用者だと思いますが、唯一、4インチ台のiPhoneとして販売が継続されている「iPhone 5s」が販売終了になるタイミングで4インチ台の後継機となるiPhoneの登場も予想できるため、あと1〜2年待つという選択肢もアリではないでしょうか。