KDDIがMVNO向けに提供するネットワーク機能利用料(パケット接続料)を大幅に値下げしました。
これまで提供してきたネットワークの利用料は、格安SIMとして最も利用されているドコモの倍以上の料金となっていましたが、一気に差額が縮まり、mineo(マイネオ)やUQ mobileなどau系の格安SIMが今後増えてくるかもしれません。
ドコモとauのネットワーク利用料がわずかな差に
KDDIが4月1日に更新した資料「MVNO様向けLTE通信サービス標準プラン」によれば、2015年4月1日のネットワーク機能利用料は10Mbps(帯域幅)で116万6191円とのこと。格安SIMを提供する事業者は、KDDIの回線を借り入れる代わりにこの料金をKDDIなどキャリアに支払うことになります。
つまり、この価格が安ければ安いほど、事業者は利益を出しやすく、サービスを提供しやすくなるというワケ。
ちなみに、ドコモは94万5059円(レイヤ2接続)、102万4321円(レイヤ3接続)
ソフトバンクモバイルは351万7286円となっています。
昨年比では、ドコモが23%または43%減、ソフトバンクモバイルは0%減となるなか、KDDIは57.61%減と、大幅な値引きとなりました。
これまで、ドコモの約123万円に対し、KDDIが約275万円と、2倍超の料金で提供していましたが、2015年度はドコモとほぼ同じ価格で提供することになります。
今、まさに普及しつつある格安SIMは、上で記載した利用料の違いからドコモ系の格安SIMがほとんどでした。格安SIM市場でシェア、知名度の高いOCNモバイルONEやIIJmioなどもドコモの回線を借り入れて格安SIMを提供しています。
利用料があまり変わらなくなったということで、2015年はau系の格安SIMが増えることになるかもしれません。
料金の大幅値下げでau系の格安SIMが増える?そんなにカンタンではないかも
KDDIの利用料が大幅に値下げされたことで、au系の格安SIMが増えることが予想されますが、そんなにカンタンな話しではないのかもしれません。
実は料金以外にもau系の格安SIMを提供するために気にしなければいけない問題が残っています。
例えば、mineoやUQ mobileといったau系の格安SIMでは、一部のiPhoneまたはiPadでデータ通信を利用することができません。これは、アップルが昨年9月に提供したiOS 8に起因するもので、OSのアップデート後、いきなりデータ通信ができなくなってしまいました。
iOS 8は既にバージョン8.3まで提供されていますが、データ通信は今の利用できないままとなっています。
2年前のiPhone 5sから日本でもSIMフリーが販売されるようになり、昨年はiPhone 6 / iPhone 6 Plusの発売と同時に日本でSIMフリー端末が発売されるなど、iPhoneユーザーにもSIMフリーと格安SIMが浸透してきているなか、iOS 8でデータ通信ができないというのは、通信サービスを提供する側として決して小さくない問題でしょう。
また、AndroidなどのOSを搭載するSIMフリー端末でもKDDIの回線をフルでサポートする端末はかなり限られており、Nexus 5やNexus 6といった比較的手ごろに手に入るスマートフォンでもプラチナバンドをサポートしておらず、都心以外で快適に利用するのは難しい状況にあります。
さらに、auが音声通話に採用している通信方式は「CDMA2000」となるため、音声通話もデータ通信も利用したいとなると、端末はかなり限られてくることになります。
そういうこともあってか、IIJmioは今年4月1日からau系の格安SIMとして「タイプK」を提供しましたが、法人向けのサービスとして提供されています。
ということで、利用料の大幅な値下げにより料金面は解消されたものの、実際に格安SIMを利用する端末の問題が残っているため、急激に普及するといったことは難しいかもしれませんが、少なくとも今よりはau系の格安SIMが充実化する可能性はあるかと思います。今後の動きに注目しましょう。
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