映画「THE FIRST SLAM DUNK」の感想。ネタバレあり

bio
Yusuke Sakakura最終更新日:2023/01/27 22:44

映画「THE FIRST SLAM DUNK」の感想。ネタバレあり

連載終了から26年、多くの原作ファンだけでなく、バスケットボールファンが待ちに待った映画「THE FIRST SLAM DUNK」が公開されました。

自身もスラムダンクに影響されて高校ではバスケをやりたいと思い、中学部活終了の3ヶ月前に野球部を辞めてバスケ部に転入した1人。混雑する週末を避けて週明けに見に行ってきました。

公開前に言われていた“イチャモン”はまったく気にしていませんでしたが、いやーもう素晴らしかった。素晴らしすぎてただの日記公開です。

壮絶ネタバレなので、まだ見てない人は見ない方がいいです。ネタバレなしの感想はこちら↓

映画の主人公は宮城リョータ

映画の主人公は、なんと宮城リョータ。

原作の主人公は1年生の桜木花道であり、同学年でライバルの流川楓。3年生にはゴリことキャプテンの赤木剛憲、中学MVPの三井寿、メガネ君こと木暮公延。

間に挟まれる2年生は最も地味な学年でスターターに名前が並ぶのも宮城リョータだけです。

しかしトップクラスで人気があるのも宮城リョータ。それでありながら、宮城に関するエピソードは原作でほとんど触れられておらず、映画で深掘りされることになります。一番書きしろがあったってことだね。

映画の物語は宮城の少年期から始まり、バスケットボールが盛んな沖縄出身ということが映画で初めて明かされます。

最初のシーンは、これまた初めて明かされた兄ソータとの1on1。ソータは将来を有望視されていた選手であり、歳の差が3歳差ということもあって完全に打ちのめされるも立ち向かっていくリョータ。1on1をもう1本申し込んだところで兄は友達との約束で釣りをしに海へ出て帰ってこない人に。

兄の期待を背負うリョータだけど、その期待に応えられずに挫折。家族はソータを忘れるために引っ越しを選択。原作ではヤスこと安田靖春との小学校からの付き合いという設定だったけど、引っ越し先で出会ったんだろうね。

挫折後もバスケを続けるリョータ。ある日コートで一人でバスケをしていると年上の少年が声をかけて1on1に発展。リョータが兄貴を重ねた少年は、のちに中学MVPに輝き、高校時代で喧嘩し、最後にはチームメイトになる三井寿だったとは。

映画の舞台は山王戦!アニメなのに本物の試合のような臨場感

ここまではフリです。映画館に来ている人たちは「一体どの試合が描かれるのか」を最も期待しているはず。この発表の演出が素晴らしかった。

The Birthdayの「LOVE ROCKETS」の音楽と共に井上雄彦の手によって書き出される宮城リョータと湘北高校のスターター。そして、今回の映画の舞台であり、対戦相手がアニメでは描かれず映像化されなかった山王工業と明かされる演出は鳥肌もの。

あの瞬間を見て鳥肌を立たせるためだけでも映画館に行く価値があります。

自ら監督を務める井上雄彦自身がこだわった音は他も素晴らしく、試合に疾走感を生み出す10-FEETの「第ゼロ感」と、曲のかかるタイミングもヤバくて映画の帰り道はリピートしまくり。

音がカッコいいだけでなく、歌詞も映画に沿ったものになっていてバスケワードが出てくるのも楽しい。

また、監督自身がバスケ経験者であるからこそ、細かなところにも音のこだわりが散りばめられていて、コンクリートでボールを突くとパァーンパァーンと鳴る高い音と、体育館でボールを突くとダムダムと鳴る低い音も忠実に使い分けられています。

ぜひ、IMAXなど音響に優れた劇場でも見ることをおすすめしたい。

音で気持ちが高揚する一方で、原作で話題になったセリフなしで読み手に息をつかせずページをめくらせる描写は映画でも見事に再現されています。

まるで本当の試合で起きるクラッチタイムを見てるかのように映画館で息がつけなくなります。結果知ってるのにホント不思議。

山王戦のラストシーンである読み手によって時間が止まる漫画と時間が流れる映像の違いから「左手はそえるだけ…」のセリフはカットされていましたが、映画館の観客全員が心の中でつぶやいていたはず。

バスケ経験者のこだわりは音だけではなくもちろん映像にも。

桜木のバスケ素人っぽい動きは当時のアニメのような大袈裟な動きではなく、本当に細かなところで再現されています。桜木が山王戦までの4ヶ月で急激に成長していることもあるのか、明らかな素人の動きではないものの、どこか素人感の残る動きが表現されている。ゴリのビッグマンらしい動きや前傾姿勢も細くリアルに再現されていました。

原作やアニメでは再現度の薄かったバスケットボール1つ1つのシーンもめちゃくちゃリアルに描かれています。

シュートモーションはもちろん、オフボールスクリーンやハンドオフ、ディナイ、面取り、スクリーンアウト、ポジショニング、バックドア、フローター(へなちょこシュート)などすべてが当時のアニメとは段違いのレベル。

アイソレーションを見せるための俯瞰映像や三井にフリーでスリーを打たせるためのスイングエントリー、ハンドラー目線でどこに誰がポジショニングしているのかなど、バスケット経験者が楽しめる細かい戦術描写も描かれています。

宮城の成長と主人公の理由

山王に勝つために必ず攻略しなければいけないのがゾーンプレス。

体力と引き換えにフロントコートまでボールすら運ばせないことで心まで折る戦術で、最も精神的ダメージを負うのがポイントガード/ハンドラーの宮城リョータですが、0-26のランを喰らって20点差がつき、心が折れそうなところを点差を縮めればまだチャンスがあると心を繋ぎ止めます。

心が折れなかったのは兄ソータの存在と受け継いだ目標を実現するために真摯にバスケットボールと向き合い、人間としてもポイントガードとしても成長したからでしょう。

ハドルを組みチームの士気を上げる姿、声がけをゴリから託されたシーンからも宮城の成長が確認できて感動しました。

兄ソータの死から成長したのはリョータだけでなく母もでしょう。飾らずしまっていた兄ソータの写真を飾れるまで向き合えるようになり、その姿を見たからこそリョータは最後の決断をしたものと思われます。

ルールは当時のまま

当然ながら試合内容はほぼ原作のまま。

ルールも当時のもので、ペイントエリアは台形、ショットクロックは30秒、各20分の前半後半制。試合の中で重要なインテンショナルファウルも現在のアンライクスポーツマンファールではなくそのままです。

バスケットボール自体はリングにボールを入れるだけの簡単な競技で小学校や中学校の体育で行われるほど簡単な競技ですが、ルール自体は複雑で時代によってコートも時間制も大きく変化する稀有なスポーツです。

こういったルールの変化を考慮していないため、当時のルールを知らない人にとっては「?」がいくつも生まれるため、少しストレスを感じるかも知れませんね。あとで書くようにTHE FIRST SLAM DUNKは原作ファンファーストな作品だと思います。

聖地への配慮

原作は神奈川の高校バスケが舞台でした。アニメのオープニングには鎌倉高校駅前や由比ヶ浜といったスポットが登場しますが、映画にはモチーフを感じるだけの砂浜と海が登場するだけです。

これは映画に登場するスポットに人が集まらないための配慮でしょう。

連載終了から26年経った今も鎌倉高校駅前には写真を撮るために人だかりができていて決してマナーの良い行動が取れているわけではなく、見かけるたびに近隣住民も迷惑しているかもしれないなと思っています。

映画が公開されたことで、おそらくさらに人が集まっているはず。現地住民の人がスラムダンクを嫌いにならないためにも、せめて歩道から短時間で撮るようにしてもらいたいものです。

おそらく続きはない。THE FIRST SLAM DUNKの意味

THE FIRST SLAM DUNKの題名を聞き、映画の中盤までは続きが存在するーーつまりTHE “SECOND” SLAM DUNKもあると思っていました。

FIRSTの1番は映画の主人公である宮城リョータのポジション番号ですし、スターターの5人を描き切るのかな?と予想していましたが、今回の映画で山王戦は描き切っているので続きはないでしょう。

もし、存在するとすれば、原作でも描かれなかった愛和学院戦を用意することになるはずですが、それは期待できません。

山王戦で背中を痛めた桜木はプレイできないだろうし、接戦で負けた陵南との練習試合や海南戦とは違って嘘のようにボロ負けした試合は見どころがなさそうです。

結局のところTHE FIRST SLAM DUNKの意味とはなんなのか。理由は劇場とオンラインで販売されているパンフレットや「THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE」で語られていますが、多くの人が納得するはず。

原作では「おい…見てるか谷沢…」「聞こえんのか?あ?」などのセリフや、仙道と流川の1on1、魚住の登場シーン、河田美紀男と桜木の対決など印象的なシーンも映画では、ことごとくカットされていますが、この理由もパンフレットでは明確に説明されています。

映画を見て腑に落ちなかった人はぜひパンフレットを購入しましょう。

映画「THE FIRST SLAM DUNK」の感想。ネタバレあり

また、原作をあのような形で終わらせた作者がどのような感情でこれまで過ごしていたのか、映画化を拒み続けた井上雄彦がなぜ今回OKを出したのか、なぜ主人公に宮城リョータを選んだのか、制作における漫画と映画の違い、どのように映画化していったのかが書かれたロングインタビューを収録した「THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE」を見ると映画が倍以上楽しめます。

THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE

全体的に少年漫画の匂いはほぼ消えていました。宮城リョータがマネージャーの彩子にデレデレする様子はほとんどありませんし、ギャグのような要素もカットされていて大人になったスラムダンクファンが楽しめる内容になっています。

上で書いたように映画内のルールが当時と変わっていないなど、事前知識のない一見さんの方向を見てない原作ファンファーストです。

宮城以外のバックグラウンドには、ほとんど触れられていないので原作を見ないまま映画だけ見ても頭の中には?が並ぶはず。

「お前、当然読んできてるよな?」の上から目線もいいところですが、それが通用するのもスラムダンクです。

でも、それで良いんじゃないでしょうか。自分もワンピースや鬼滅の刃とか原作読んでない作品の映画をいきなり見に行くことはないし、そういう人がほとんどでしょう。

原作を忠実にして映像化して欲しい人はどうでしょうね。

当時との変化も受け入れらない人も映画を見て変わったんじゃないでしょうか。原作で描かれてなかった戦前と戦後の沢北の心境、原作やアニメにはなかった湘北高校のメンバーの今後など追加シーンも描かれているため、いずれにしても見ないままはもったいない。

そんなわけで絶賛できるTHE FIRST SLAM DUNKでした。3日土曜日に公開されて5日月曜日の昼に見に行ったけど、すでにグッズはほとんど買えないほどの人気。

映画を見てから、または見る前にもう一度原作を読みたくなったファンは多くいると思います。

自分もその1人ですが、映画化のタイミングでアニメがYouTubeで無料公開された一方で電子書籍化されなかったので、あきらめて新装再編版を購入。

新装再編版の山王戦の表紙で宮城が赤のリストバンドをしてるのを確認してさらに感動してしまいました。個人的には原作を読まないまま見に行くと「懐かしい」ぐらいで終わってしまうと思うので読み込んでから見に行くこと、再視聴することをオススメします。

自分は1回目は音と映像に圧倒されて、2回目の観戦で宮城のストーリーがグッと入ってきて泣きました。。。

入場者特典として第1弾はコースター、第2弾は安西先生タプタプステッカー、第3弾はポストカードと、時期によって入場者特典も配布されていて複数回楽しめるようなキャンペーンも行われているようです。

SLAM DUNK 新装再編版 全20巻
SLAM DUNK 新装再編版 全20巻¥ 13,255ジャンプコミックス全31巻を「湘北vs.翔陽」などに物語の節目ごとに巻数を区切り直して全20巻にした新装再編版。オリジナルコミックスよりもかなり読みやすくなっています。新たに描き下ろされたカバーイラストと各巻ごとに登場する印象的なセリフが書かれた帯も魅力の1つ。

コメント

コメント利用規約

質問は必ず記事を読んでから投稿してください

誹謗中傷を含む場合は発信者情報開示請求します。

過激な表現を用いたコメントは修正後に投稿するか削除します

攻撃的な表現を含む場合はIPアドレスを明記して公開します

コメントを残す

(任意)

Recommendこんな記事も読まれています