毎年たくさんのスマートフォンをレビューしていますが、2023年は特に多くのレビュー記事を公開しました。
iPhoneのような定番のものから、背面が光る奇抜なデザイン、光学数十倍のズーム/100倍ズームでスマホ離れした写真が撮れるカメラや物議を醸すほどのAIパワーによって進化したカメラ、例年に比べて特に熱かった折りたたみスマホまでレビューしたスマートフォンは15機種にもなります。
本来は年が明けるまでに公開したかったところですが、今回は2023年のベストスマートフォンをまとめてみました。3位まであります。明けましておめでとうございます。
1位:iPhone 15 Pro
1位はダントツでiPhone 15 Proでした。毎年、マイナーアップデートと言われますが、2023年のアップデートは使い勝手を大きく向上させるもので、過去最高と言ってもいいほどよくできていたと思います。
なかでも大きく変わったのは持ちやすさでした。
ボディフレームの素材がステンレススチールから新しいチタニウムに変更されたことで19gの大幅な軽量化を実現。一気にProシリーズ史上最軽量に。
フレームの形状もフラットエッジから丸みをおびた形状に変更したことで手にフィットするようになりました。画面サイズの大型化や重量化によって年々悪化していた持ちやすさが大幅に改善されています。
ケースをつけない筆者にとってフレームの質感が光沢からマットに変更されたのも嬉しいところ。指紋の跡や手の油による汚れは期待していたよりも改善されなかったものの、チタニウムの質感は素晴らしく2024年はチタニウムを採用するスマートフォンが増えるかもしれません。
ちなみに、Appleは環境保護のためにレザーケースを廃止しました。Apple Watchのバンドも含めてレザー製品を廃止したことは大英断でしたが、レザーケースに変わって追加された新しいファインウーブンケースの質感や耐久性は劣悪で失敗作と評価できるものでした。
カメラはアプリの使い勝手が大きく向上。
頻繁に使われる重要な焦点距離(24mm-等倍/28mm-1.2倍/35mm-1.5倍)を簡単なタップ操作で切り替えられるようになり、よく使うポートレート撮影は、撮影モードを切り替えることなく、通常モードの状態で被写体をタップするだけで撮影可能に。
ポートレートモードはシャッター音が大きいため、店内での利用を遠慮することもありましたが、被写体タップによるポートレート撮影は小さいシャッター音で撮影できます。
左側面に追加された新しいアクションボタンによって、画面オフの状態でもカメラアプリを即起動できるようになり撮り逃しが減少。使い勝手を大きく向上させました。
なお、アクションボタンはカメラアプリ専用ではなく、ショートカットにも対応しているため、X(旧Twitter)やPayPayなどのコード決済をスリープ画面から即起動することもできます。
左手でスマホを操作する筆者にとっては左側面に配置されたのもGoodでした。ロック画面からカメラアプリを即起動できるショートカットアイコンは右側に配置されているため、指を精一杯伸ばす必要がありますが、アクションボタンなら左手の親指ですぐにアクセスできます。
最大のアップデートはLightningの廃止とUSB Type-Cへの変更です。
iPhoneしか使わないなど多くの人してみれば、これまで使っていた充電ケーブルが使えなくなることから迷惑に感じた人もいるかもしれませんが、MacBookもAndroidも使う筆者のような人にとっては、旅行や出張時にわざわざLightningを持ち運ぶ必要がなくなるなど、とてもありがたい変更です。
AppleがLightningをやめてUSB-Cに移行した理由は、EUにてスマートフォンやイヤホンを含む多くの電子機器を対象にUSB-Cの搭載が義務付けられたことが大きいです。
USB-C義務付けは今年12月28日以降に発売される製品が対象になるため、今年発売が噂されるAirPods 4の充電ケースやMagic Mouseなど多くの製品がUSB-Cに移行するでしょう。
2位:Pixel Fold
最高到達点を叩き出したiPhone 15 Proに対して、デキは悪いものの素晴らしいコンセプトで2位になったのは折りたたみスマホの「Pixel Fold」です。
折りたたみスマホのメリットと言えば、タブレットクラスの大画面を半分に折りたたんで、ポケットに入れて持ち運べることでしょう。
そのためメインディスプレイに目が行きがちですが、Pixel FoldはGalaxy Z Fold5に比べてベゼルは分厚く不格好で、画面は柔らかいため耐久性に不安があり、保護シートは中途半端な大きさでハードウェアの完成度はイマイチ。
それでも2位にPixel Foldを選んだのは、メインディスプレイよりも利用機会の多いカバーディスプレイが細長いおまけ画面ではなく通常のスマートフォンと同じように使えるから。Pixel Foldはただの折りたたみスマートフォンというよりも、スマートフォンとコンパクトタブレットの2in1デバイスと言えます。
折りたたみスマホで特に重要なソフトウェアは貧弱です。
同時起動した複数のアプリペアさえ保存できず、本体を閉じた時にカバーディスプレイでアプリの利用を継続するか終了するかはOS任せ、大画面に最適化されてないアプリなど、足りないものは多くあります。
ただ、Googleはこれらの足りない機能を追加するために作業を進めており、Pixel Foldの最高到達点は今ではなく、数ヶ月後、半年後、1年後になるでしょう。25万円という価格に見合ったデキではないため、実用品として買うことはおすすめしませんが、スマートフォン初期のように数ヶ月単位で進化していくあの懐かしい感覚をもう一度体験できる贅沢品です。
3位:Galaxy Z Flip5
最後は光学10倍ズームカメラと長時間の電池持ちを実現した“ダブルモンスター”のGalaxy S23 Ultraと迷ったものの、Galaxy Z Flip5を3位にしました。
折りたたみスマートフォンには、Pixel FoldのようなFoldフォンとGalaxy Z FlipシリーズのようなFlipフォンの2種類があります。
Foldフォンはタブレットサイズの大画面を半分に折りたたんで持ち運べるというわかりやすいメリットがあるのに対して、縦折り型のFlipフォンは折りたためる以外に魅力的なメリットが見当たらないことから自分にはまったく刺さりませんでした。
ただ、Galaxy Z Flip5は、本体外側に搭載されたカバーディスプレイが大型化したことで、本体を開かずにより多くのアプリを操作できるように。さらに、キーボードを使ってメッセージに返信できたり、Googleマップで地図を確認したり、カレンダーで予定を確認したり、カメラのファインダーも実用的に。
大型のカバーディスプレイを搭載したFlipフォンは新たな魅力を生み出し、次のステージに突入したと言えます。
同じFlipフォンには、より大型のカバーディスプレイを備えたmotorola razr 40 ultraもありますが、デザイン性と価格面ではGalaxy Z Flip5が優れていて、カバーディスプレイで起動できるアプリを大幅に拡張するGood Lockがようやく日本に対応したことも3位に選出した理由です。
おそらくカバーディスプレイは今後も大型化していくでしょう。将来的にはFlipフォンが、年々縮小しているコンパクトスマートフォンの需要を引き継いでいくような予感もします。
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