みなさん、今使っているスマートフォンや携帯電話に今年いくらぐらい払いましたか?
キャリアが提供する料金プランは、約7000円ぐらいなので1年に換算すると約8万円です。通話料も端末代抜きでこの金額、みなさん高いと思いませんか?
今年は格安SIM―いわゆるMVNO SIMを提供する企業が増えてサービスが充実化したことや家電量販店でも販売されるようになり、身近な存在になったことで、実際に利用する人も増えていきています。そんな人たちが今年1年、携帯電話のために支払った金額はおそらく2万円〜3万円程度のはず。差額は5万円。
差額を聞いた瞬間にこれだけの金額を来年も払い続けるのは嫌だと思った人は結構いるはず。
格安SIMサービスを提供する企業はたくさんありますが、今回はフュージョン・コミュニケーションズが提供する「楽天モバイル」を紹介したいと思います。
格安SIMサービスってなに?MVNO SIMってなに?
楽天モバイルの料金プランなどを紹介する前に、格安SIMサービスについて説明をしておきます。
ドコモやau、ソフトバンクといったキャリアと呼ばれる企業は、携帯電話やスマートフォンに電話を送るための基地局と呼ばれる装置を自社で構築してサービスを提供しています。この基地局を構築するには膨大な費用がかかるため、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクといった数少ない企業のみが提供することが可能でした。
提供する企業が数少ないため、競争は起こりにくく、料金は提供されるプランもバリエーションが少ないため自分に見合ったプランを探すことができないなどの問題がありました。
そこで登場したのがNTTドコモやKDDIが構築した基地局を借り入れて通信サービスを提供するMVNOです。(MVNOが提供する通信サービスやSIMカードがMVNO SIMまたは格安SIMサービスと呼ばれています)
MVNOが登場したことで多数の企業が通信サービスを提供できるようになり、サービスや価格競争が起きたことでバリエーションの多い料金プランを選択できるようになりました。
今回紹介する「楽天モバイル」もドコモの回線を借り入れて格安SIMサービスを提供しています。
楽天モバイルの料金プランはこんな感じ。
まずは、料金プランをチェックしておきましょう。楽天モバイルで提供される料金プランの内容は以下のとおりとなっています。
ベーシックプラン | 2.1GBパック | 4GBパック | 7GBパック | |
---|---|---|---|---|
料金 | 月額1250円 | 月額1600円 | 月額2150円 | 月額2960円 |
(税込み) | (月額1350円) | (月額1728円) | (月額2322円) | (月額3196円) |
通信速度 | 200kbps | 下り150Mbps / 上り50Mbps (制限時は200kbps) | ||
データ通信容量(1ヶ月) | ー | 2.1GB | 4GB | 7GB |
3日間の通信速度制限 | あり | |||
(データ通信容量) | ー | 360MB | 800MB | 1.2GB |
(制限後の通信速度) | 非公表 | |||
音声通話・SMS | ○ | |||
通話料 | 20円/30秒 | |||
テザリング | ○ | |||
最低利用期間 | 12ヶ月 | |||
契約解除料 | 9800円 |
また、オプションとしてキャッチホンや留守番電話、速度制限を解除できる容量追加パックが提供されています。
キャッチホン | 月額200円 |
留守番電話 | 月額300円 |
容量追加パック | 300円/100MB |
特徴としては、他社がデータ専用プランとデータ専用+音声通話プランを提供するなか、楽天モバイルでは、全てのプランが音声通話対応プランとなっているため、格安SIMサービスを利用したことのない人でもわかりやすい料金体系となっています。
ちなみに、プランの変更はオンラインから可能で手数料無料となっています。解約の場合は、12ヶ月の最低利用期間が設定されており、最低利用期間内に解約する場合は契約解除料として9800円を支払う必要があるため、注意が必要です。
- ここがポイント!
- 全てのプランが音声通話に対応したプラン
- キャッチホンや留守番電話などのオプションが利用できる
- 12ヶ月の最低利用期間がある
- プランを変更する場合は、オンラインから手数料無料で可能
一体どれぐらい安いのか?キャリアの料金プランと比較してみる
楽天モバイルの料金プランが一体どれぐらい安いのか気になるところ。楽天モバイルのデータ通信容量をベースに各キャリアが提供する料金プランと比較すると、旧料金プランの場合は約2700円〜5000円安く、新料金プランの場合は約5000円〜6700円安くなる計算になります。
楽天モバイル | 大手キャリアの 旧料金プラン | 大手キャリアの 新料金プラン | |
---|---|---|---|
2GB | 1600円 | ー | 6500円 |
4GB | 2150円 | ー | ー |
5GB | ー | ー | 8000円 |
7GB | 2960円 | 6743円 | ー |
8GB | ー | ー | 9700円 |
※旧料金プラン・新料金プランともにドコモを想定。
詳細なプラン内容は、旧料金プランが月額743円の「Xiプラン にねん」、月額300円の「spモード」、月額5700円の「Xiパケ・ホーダイ フラット」
新料金プランが月額2700円の「カケ・ホーダイ」、月額300円の「spモード」、月額3500円の「データSパック」/月額5000円の「データMパック」/月額6700円の「データLパック」
通話料は、楽天モバイルと旧料金プランが20円/30秒、新料金プランがカケ・ホーダイへの加入で無料となります。音声通話が多いユーザーは新料金プランがおトクですが、あまり音声通話を利用しない、または月によって使うこともあれば全く使わないこともあるという場合は、従量制で使える楽天モバイルと旧料金プランがおトクかと思います。
楽天モバイル | 大手キャリアの 旧料金プラン | 大手キャリアの 新料金プラン | |
---|---|---|---|
国内通話 | 20円/30秒 | 無料 |
※auとソフトバンクは、1時〜21時まで同じ事業者間の通話が無料
また、楽天モバイルに新規加入する際に同時加入ができる「楽天でんわ」を利用することで、10円/30秒で通話することができ、より安く音声通話を利用することができます。
楽天でんわについては、以下の記事で詳しくレビューしているので参考にしてください。
ということで、データ通信はキャリアと比較しても安く、音声通話に関しても通話をあまりしない人はキャリアよりもおトクに使うことが可能です。ただ、料金が安い分、これまで利用していたサービスで受けられないものが出てきますが、少しづつ説明していこうと思います。
- ここがポイント!
- 大手キャリアとの旧料金プラン比で約2700円〜5000円安い
- 大手キャリアとの新料金プラン比で約5000円から6700円安い
- 通話料は、通話機会の少ないユーザーにとっては新料金プランよりも安く利用できる
- 楽天でんわを利用すると、さらに安く通話が可能
気になるアフターサポートはどんな感じ?
格安SIMサービスを契約する時の懸念事項として挙げられるのが、アフターサポートです。キャリアの場合、プランの変更やスマートフォンの使い方をキャリアショップで受け付けていますが、楽天モバイルではどういったサポートが受けられるのでしょうか。
楽天モバイルにはキャリアショップのような実店舗はありません。申し込みはオンラインまたは東京・渋谷にある楽天カフェ(申し込みのサポートをしてくれる)で申し込みが可能となっており、申込み後のプラン変更やSIMカードのサイズ変更は、オンラインに加えてカスタマーサポートを利用することで電話で手続きが可能です。
また、月額500円の「あんしんサポートサービス」を利用することで、端末の初期設定や旧機種から新機種へのデータ移行など、スマートフォンの使い方を電話でサポートしてくれます。
キャリアショップの店員と面と向かってサポートを受けることができないため、説明に時間がかかるかもしれませんが、待ち時間の長いキャリアショップに並ぶよりも効率的にサポートを受けることができるかもしれません。
楽天モバイルでは、端末とのセット販売も取り扱っているため購入した端末のアフターサポートについても気になるところ。
基本的にはメーカーのサポートを受けることができますが、楽天モバイルでは月額350円のオプション「端末お見舞金サービス」を提供しており、このオプションを利用すると、水没・破損・全損・故障といったトラブルが起きた場合にお見舞い金を受け取ることが可能です。(保証期間は最大36ヶ月、メーカー保証期間内はお見舞金を受け取ることができない)
落下や水濡れ、自然故障による一部破損の場合 | 5万円を限度として修理費用から5000円を差し引いた金額 |
全損の場合 | 修理不能など全損の場合は1万円 |
- ここがポイント!
- ショップでのサポートは受けられない
- 月額500円の「あんしんサポートサービス」でスマートフォンの使い方を電話でサポートしてくれる
- 月額350円の「端末お見舞金サービス」で水没・破損・全損・故障といったトラブルが発生した時にお見舞金が受け取れる
楽天モバイルの対応エリアと通信速度はどんな感じ?
楽天モバイルなどの格安SIMサービスはドコモの回線を借り入れてサービスを提供しているため、対応エリアはドコモと同じですが、通信速度についてはサービスによって多少の違いが出てきます。
自身もこれまで5〜7つのサービスを使ってきましたが、どれも同じ速度ではなく、時間帯によって大幅に速度が落ちたり、どの時間帯で使っても速度が遅いといったことがありました。当然、逆もあって安いけど満足した速度が出てストレスフリーで使えるサービスもありました。
さて、楽天モバイルは一体どうなのか。通信速度を測定したところ下りは常時10Mbpsを計測。24の時間帯のうち、15の時間帯で計測した平均値は17.48Mbpsになり、通信速度が大きく落ちる時間帯も見られませんでした。
SNSに写真をアップロードする時に重要なのが上りの通信速度ですが、こちらは測定する度に大幅に上限したので平均値はあまり参考になりませんが、3.8Mbpsとなりました。
体感としては、スマートフォンでLINEやTwitter、Facebookなどのテキスト、画像ベースのコンテンツなら全くストレスを感じることはなく、動画の視聴に関しても快適。YouTubeでは、通信速度に応じて画質が変化する仕様になっていますが、楽天モバイルで視聴している時は常に高画質で再生され、再生も途切れることはありませんでした。
また、テザリングをオンにしてパソコンでブラウジングするのも快適。公衆無線LANでは2Mbps前後ぐらいを計測することがほとんどですが、楽天モバイルは下り方向の通信速度が安定して10Mbps以上を計測するのでより快適にインターネットを楽しむことができました。
※速度調査は独自に行ったものであり、速度を保証するものではありません
- ここがポイント!
- 対応エリアはドコモと同じ
- 通信速度は常時安定して10Mbps以上を計測(下り)
- LINEやTwitter、Facebookなどは快適に利用できる
- 動画の視聴もストレスフリーで視聴できる
データ通信量や3日間の速度制限はどんな感じ?
今回、記事広告を書くにあたって利用したプランは4GBパックでした。1ヶ月のデータ通信量に関しては、使い方によって大きく異なるため参考にするのは難しいかと思いますが、今年、MMD研究所が行った調査でスマートフォンユーザーが1ヶ月で利用するデータ通信量は約50%が3GB未満だったという結果が出ています。
1ヶ月のデータ通信量に加えてもうひとつ意識しなければならないのが、3日間のデータ通信量です。今回、利用した4GBパックでは、3日間のデータ通信量が800MBを超えた場合、速度を落とすという制限がありました。
各キャリアが設定しているのは1GBなので4GBパックの場合は200MBほど容量が少ないため、この制限にもかかりやすくなります。
この3日間のデータ通信量がやっかいなのは制限後の通信速度や時間帯などが公表されていないことです。試しにわざと800MBをオーバーするように使ってみた結果、制限後の通信速度は、下り・上りともに300kbps〜500kbspを計測。さすがに動画ほどの大容量のコンテンツを視聴するのは厳しいですが、テキストと画像ベースのページやLINE、Twitter、Facebookといったアプリでの利用は特にストレスを感じることなく利用することができました。
また、速度が制限される時間帯はデータ通信量が超過した当日のみのようです。翌日の朝にはまた10Mbps超を計測するようになっていました。
データ通信量が多い方である僕としてはこれぐらいでいい感じ。もう1つ下のプランである2.1GBパックだと半分以下の360MBになってしまうので、度々制限がかかることになりそうです。ただ、ライトユーザーや職場、自宅などではWi-Fiを意識して使うようにすれば日常生活の中では困ることがないという人もいるかと思います。
- ここがポイント!
- 料金プランを選ぶ上で自分が利用するデータ通信量を把握することが重要
- 1ヶ月のデータ通信量だけでなく、3日間のデータ通信量も意識することが重要
- 3日間のデータ通信量による速度制限時の通信速度は、300kbps〜500kbps
- 3日間のデータ通信量による速度制限は、データ通信量が超過した当日のみ
楽天ポイントとの連携はどんな感じ?キャンペーンは?
楽天モバイルは、楽天が提供するサービスということで、期待したいのは楽天ポイントとの連携です。
今のところ、楽天モバイルの料金に応じて楽天ポイントが貯まったり、楽天ポイントを使って毎月の料金を支払うということはできません。また、SIMカードと端末とのセット購入時に端末代金を楽天ポイントで支払うということもできないようです。
ただ、SIMカードと端末を一括で購入した場合、端末に応じて楽天ポイントがプレゼントされたり、楽天でんわとの同時利用で特典を受けられる各種キャンペーンが実施されています。
ASUS Zenfone5 | 1500ポイント |
Huawei Ascend Mate7 | 3000ポイント |
SHARP AQUOS SH-M01 | 4000ポイント |
ということで、楽天ポイントを一時的に受け取れるキャンペーンはあるものの、継続的に楽天ポイントを貯められない、使えないというのは残念。ここはぜひとも追加対応されることを期待したいです。
- ここがポイント!
- 端末を一括購入する場合、購入した端末に応じて楽天ポイントがプレゼントされる
- 楽天でんわの同時利用で楽天ポイントがプレゼントされる
- 楽天モバイルを継続的に利用することで楽天ポイントは貯まらない
- 楽天モバイルを使用料金を楽天ポイントで支払うことはできない
楽天モバイルはこんな人にオススメ
今年、各キャリアが発表した新料金プランは「音声通話をあまり利用しない、データ通信がほとんど」という人にとっては、毎月支払う料金は値上がりするケースが多いと思います。
旧料金プランを使い続けることで料金の値上がりを防いでいる人もいるかと思いますが、ドコモ以外が提供するパケット定額サービスのデータ通信量は7GBのみとなっており、バリエーションがありません。そのため、毎月データ通信量の7GBを使い切っていないのに高い料金を支払わざるをえないことに不満を感じている人も多いのではないでしょうか?
今回紹介した楽天モバイルは、データ通信量にバリエーションを持たせたプランを提供しており、自分に見合ったプランに移行すれば最大で毎月6000円もの節約ができます。
格安SIMに移行する場合の懸念事項として「キャリアで満足している」「キャリアに不満がない」というものがよく挙げられますが、今一度、毎月利用しているデータ通信量を確認して、自分の使い方にあったプランとキャリアを見なおしてみてはどうでしょうか?
上でも書いたとおり、楽天モバイルはドコモの回線を借り入れているため、利用できるのはドコモが販売するスマートフォンとSIMフリーのスマートフォンとなっています。ただ、MNPにも対応しているので電話番号はそのままにauやソフトバンクから楽天モバイルに移行することも可能です。
▼楽天モバイルへの申し込みは以下のリンク先から行えます
次回予告:楽天モバイルでも使える格安のSIMフリー端末「ZenFone 5」
今回は楽天モバイルのサービス内容を紹介してきました。次回は、楽天モバイルで使用できるSIMフリーの格安スマートフォン「ZenFone 5」を詳しく紹介したいと思います。
※当記事内の料金は特別に税込みで表記している場合を除き、税別で表記しています。